犬を飼う前に知ってほしいこと 柴犬は子犬期の社会化が重要

 柴犬を代表とする日本犬には独特の魅力があります。愛くるしい顔と犬らしい外貌。自立心があって一匹でも平気な顏をしていながら、大好きな人に会うと尾を振り耳を伏せてとびきりの笑顔で甘える姿……。犬好きにはたまりません。

 しかし日本犬(日本犬系雑種も含めて)は、いわゆる洋犬に比べて難しい面があることも知っておく必要があります。

 日本犬は洋犬と比較して遺伝的距離が最もオオカミに近いとされています。野性的な気質を持ち、成長とともに警戒心が強くなり、知らない人や犬を受け入れにくくなる場合があります。また身体に触れられることに敏感で、飼い主への攻撃行動も比較的多く見られます。

 このような気質でも、昔の日本では庭で鎖につながれて飼われ、人や他犬とのふれあいも少なかったため、あまり問題にならなかったのかもしれません。しかし現在は家族の一員として室内で飼われるようになり、飼い主はもちろん、他の人や犬と会う機会も増えているため、子犬期の教育が非常に重要となります。

 日本犬は社会化期*も短いとされるため、できるだけ早期に社会化トレーニング(家族以外の人や犬、さまざまな場所などに慣らしておくことで、人間社会に順応しやすくしておくこと)をスタートすることが重要です。そして成長とともに新しい物を受け入れにくくなるので、社会化期以後も社会化のための努力を継続することが大切です。

 社会化に加えて日本犬で大切と思われるのは、触られることに慣らしておくことです。飼い主への攻撃行動は体に触れる際に良く見られます。身体をなでることはもちろん、カラーやリードのつけはずしや抱っこなど触れられることに敏感な子が多いので、子犬のうちから触られることに十分慣らしておくことが大切なのです。

 また、食事やモノを守る傾向がありますので、子犬の時期に飼い主が食事やモノを奪い合う存在ではないことを教えておく必要があります。方法は拙書『こころのワクチン』に詳しく書いてあるので参考にしてください。

 またしつけのためであっても無理やり押さえつけたり、叩いたりなどの体罰は、日本犬以外にもしてほしくありませんが、特に日本犬では攻撃性を高めてしまうことが多いため厳禁です。日本犬も子犬の時期から十分な教育を行えば、とても良い家庭犬になれる場合が多いです。ぜひ動物病院などで実施しているパピークラスなどに参加し、早期に教育をスタートされることをおすすめします。


*社会化期:人や犬など一緒に生活する動物との適切な社会行動を学ぶ時期で、さまざまなモノに慣らしやすい
村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
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