犬を飼う前に知ってほしいこと 普通の人なら小型犬がおすすめ

 犬種選びの際、大きさも大切なチェックポイントのひとつです。

 大型犬は小型犬に比べて存在感があり、性格もおおらかな子が多く、頼れる感じがします。しかし今の日本の街中では、大型犬をのびのびと飼える環境はほとんどなく、彼らのニーズを十分満たしてあげるにはかなりの努力が必要です。

 我々人間は家がそれほど広くなくても、毎日仕事や学校に出かけたり買い物に行ったりと、一日中何かしら体を動かす機会があります。しかし日本では犬と一緒に行ける場所はほとんどなく、そのため介助犬や盲導犬など仕事を持つ犬を除いて多くの犬がほぼ一日中家で過ごします。特に大型犬は、散歩の時以外はほとんど体を動かすことなく過ごすことになります。

 ドッグスポーツなどで活発に体を動かしている場合もありますが、それでも短時間で集中的に運動するために関節や靱帯などのトラブルが多いのです。

 小型犬であればキャリーやカートに乗せて街中に連れていったり、室内でも安全管理をして自由に生活させれば一日中好きな時に走り回ったりすることができます。

 私は、子供の頃からいつも家に大型犬がいたので、かつては「小型犬なんて犬らしくない」と思っていました。しかし動物行動学者の調査で、小型犬であってもすべての犬らしい行動をとることがわかっています。また実際に飼ってみると、同居犬同士で仲良く走り回る姿が日常的に見られて、大型犬よりも犬らしく生活しているとさえ感じます。

 日常の管理やケアに関しても大型犬に比べて小型犬の方が簡単に行えますし、病気になったときの看病にも大きな違いがあります。特に高齢になった大型犬の介護は本当に大変です。犬が歩けなくなったらトイレに連れていくのも一苦労ですし、その場で排泄してしまうと排泄物で汚れた体を洗ってあげるのも大変です。大型犬をみとった人は皆さん、腰を痛めたとおっしゃいます。

 一方、小型犬であれば歩けなくなっても、抱っこで外に連れて行くこともできるし、トイレにも簡単に連れて行けます。また寝たまま排泄してしまっても、自宅の洗面台などで汚れた部分を洗ってあげることができます。すなわち最後まで十分なケアをしてあげることができます。

 以上のような理由で、私は一般の飼い主さんがペットとして飼うのであれば、小型犬をお勧めします。

 ただし、小型犬をぬいぐるみのように扱うのには問題があると感じます。たとえ見た目はぬいぐるみのようでも中身はりっぱな犬。ですから、室内だけでなく屋外で太陽の光を浴びたり、匂い嗅ぎをしたり、走り回ったりといった犬らしい行動をする機会を子犬の時期から与えてあげてほしいと思います。

村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
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