しっぽを立てる、耳をたたむ、一緒に寝る…etc 猫のコミュニケーションを知ろう
猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回は、「猫のコミュニケーション」について、入交先生が答えます。
猫も社会性がある動物
あっという間に12月になってしまいました。この時期のイルミネーションを見ると、いくつになってもウキウキしてしまいます。
さて、今回は猫のコミュンケーションについてです。猫も実は社会性のある動物で、お互いにコミュニケーションをとっています。では、どんなサインを出しているのでしょうか?
しっぽを立てる
猫がしっぽを立てて近づいてきたら、これはフレンドリーなあいさつです。猫が近づいてきて、身体をすり寄せてしっぽを足もとに絡ませてきたり、猫同士でしっぽを立て、さらにそのしっぽ同士をお互いに巻き付けるようなことをしているのも、猫のフレンドリーなアプローチです。
すり寄ってくる
家に帰ると、飼い猫が足もとに来てスリスリしてくるかと思います。これは猫が「お帰りなさい!」「待っていたよ!」と言っています。猫は社会性を持ち、仲間と一緒に暮らしますが、狩りは1匹で出かけます。狩りをして食事をしてグループの元に戻ってくるとお互いに体をすり寄せます。これは匂いの交換なのかもしれませんが、「おかえり!」「ただいま!」という意味に近いと考えられています。
一緒に寝る
仲の良い猫同士の距離感は近く、体をくっつけて寝ます。微妙な関係だと、微妙な距離を保ちます。あなたの猫が体を寄せて寝てくれているのは、あなたが大好きで、一緒に寝たい仲間ということです。
もし、同居の猫同士が一緒に寝ていないのであれば、無理に一緒に寝かせたり、一緒に同じ場所で食事をさせたりせず、お互いに適度に距離を保てるようにしてあげてください。
耳を寝せてシャー!
シャー!と猫が言っているのは「怖いです。近よらないでください!」と言っています。無理に触ろうとしたり、引きずり出したりしないようにしましょう。シャーッと言っているときは距離を置いてあげましょう。近くに来てほし事情がある場合は、チューブ状のおやつなどおいしいものをつかって、安心させながら呼びよせてあげてください。
おなかを見せる
猫はリラックスするとおなかを見せ、手足やひげなど、全体的にリラックスしている様子がうかがえます。ただし、リラックスしているからといって、おなかを見せているからといって、おなかは無理になでないでください。おなかは猫の1番のウィークポイントであり、なでてもらうためにおなかを見せているわけではありません。リラックスしている猫に寄り添い、めでるだけにしてあげましょう。もちろん猫と人の関係において、おなかを出す時はおなかをなでる時です、というコミュニケーションと相談がすでにできている猫&人カップルは問題ありません。
ちなみに、猫をなでるならどこがいいと思いますか?
猫はお互いに顔をなめあう行動をします。仲良しの猫同士がする行動です。体は自分でなめるのですが、頭部はお友達になめてもらいます。だから人が猫をなでる時も、まずは顔周りに制限して様子を見ましょう。体をなでられるのが苦手な猫もいます。
他にも、猫はいろいろな行動で気持ちお表しています。
近年は、AIを使って、猫の表情で猫が痛みを感じているかどうかを察知するような技術も生まれてきています。彼らは、本当は細かい表情によるコミュニケーションをしているのではないか、という研究も出てきているのです。
これからどんどん、猫のコミュニケーションに関する新しい情報が出てきそうで楽しみですね。
どうぞよいお年をお迎えください。
(次回は1月13日公開予定です)
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