子猫の性格を決めるのは氏か育ちか? 父猫が友好的かどうかに関係する
何匹かのネコたちと暮らすと、ネコによってヒトに対する行動が全く違うことに気がつくでしょう。ヒトに全く近づかないネコもいれば、まるでイヌのように飼い主にずーっとくっついて行動するネコもいます。なぜ、ネコによって行動に違いがあるのか。今回は、その違いがおきる要因について調べた論文 "The impact of paternity and early socialisation on the development of cats' behaviour to people and novel objects" を紹介します。
性格を決めるのは氏か育ちか
ヒトにおいて性格を決めるのは生まれつきの素質と環境の両方の影響があると考えられています。ネコは産まれてから12週間以内にヒトと触れ合うことで、人懐っこい行動をするネコになるといわれています。この期間のことを「社会化期」とよびます。この社会化期にヒトと触れ合わなかったネコは、ヒトに友好的になることはないともいわれており、環境の影響が大きいと考えられてきました。しかし、ネコが生まれつきの素質にどの程度影響を受けているのかはわかっていませんでした。
そこでイギリス・ケンブリッジ大学の研究者は、ネコの行動や性格に影響を与える遺伝的な要因について調査しました。調査には37匹のネコが参加し、4つのグループにわけて調査しました。
まず遺伝的な要因を調べるために、対象となる産まれたてのネコを、父猫が友好的な性格のネコと非友好的な性格のネコの2つのグループにわけます。そして環境の影響を調べるため、その2つのグループを、社会化期にヒトと触れ合うネコと触れ合わないネコにわけました。
そのネコたちが1歳になったら調査を行います。まず部屋につれてきて30分慣れさせた後、ヒトが椅子にすわり、ネコがどのような行動をとるのかを記録しました。つぎにヒトからネコに近づいたり、3回なでたりというテストもおこないました。
父猫の性格が友好的だと友好的なネコになる!?
父猫が友好的な性格でかつ社会化期にヒトと触れ合ったネコは、そうでないネコに比べて、ヒトに触れたりこすったりすることが多く、ヒトの側にいる時間が長いという結果になりました。また社会化期にヒトとの触れ合いがあった場合、父猫が友好的な性格なネコは父猫が非友好的な性格のネコよりも、ヒトに対して友好的でした。
これらの結果により、生まれつきの素質も行動や性格に影響を与えている可能性があることがわかりました。もちろん、母猫の影響もあると考えられますが、出産後に母乳をあげたりお世話をするため、生まれつきの素質と環境を区別する調査はできなかったようです。
保護猫などの場合は、父猫も母猫もわからない場合が多いですよね。私が一緒に暮らしている愛猫スカイは、5歳の時に保護されました。彼の親猫の性格だけでなく、社会化期にヒトと接していたかもわかりません。それでも、ヒトを怖がることなく(といっても特に社交的なわけでもないですが……)一緒に暮らしています。
ネコとの暮らしがうまくいくかどうかは、ネコの性格だけでなく飼い主さんとの相性もあるのではと私は考えています。
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