命を育てるとは幸せになる方向を見つけていくこと 9歳で他界した愛犬への思い
いつか来るペットとのお別れの日――。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。
2021年2月にロングコートチワワのイネーバくん(享年9歳)をお見送りした飼い主の古都美さん。今でもまだ悲しみは癒えていないそうですが、ご縁があり、新たにスムースコートチワワの綾(あや)ちゃんをお迎えされました。古都美さんに、イネーバくんを亡くされたときのお話しや、綾ちゃんとの生活、今のお気持ちなどをお聞きしました。
5歳でてんかんを発症、月に2回程度発作があった
――亡くされた愛犬のお名前を教えてください
イネーバ、男の子です。9歳で亡くなりました。
――9歳は早いですね……。持病があったのでしょうか?
イネーバが5歳のころ、てんかんを発症しました。その後4年間、てんかんで苦しんできました。
最初は、薬で1カ月程度発作を抑えられることがありましたが、3カ月くらいたったら薬が効かなくなって、その後はずっと2週間に1回程度の頻度で発作を起こしていました。他の治療法もあったのかなとも思うのですが、薬と療法食で抑えるのが一般的と言われ、でも良くなりませんでした。
亡くなる日まで肺水腫に気づけず後悔
――亡くなった理由はてんかんですか?
肺水腫が原因でした。もともとグーグー音を鳴らしていたので検査をしていたのですが、呼吸器系に異常はありませんでした。でも、亡くなる3週間前ころから、息が荒くなるようになったので病院に連れていき、注射を打って落ち着かせていました。その後も毎週、息が上がるたびに病院へ行って注射を打ってもらっていました。
亡くなった日も午前中に呼吸が荒かったので、病院で注射を打ったのですが、帰ってきても意識がなく、呼吸も荒いままだったので会社を休み、再び病院へ連れて行きました。レントゲンを撮ったところ、右の肺が機能していないことがわかり、左の肺も酸素を取り入れるスペースが少ないということで、そのまま入院することになりました。
そして私だけ一度帰宅したところ、その日の午後6時ころ「イネーバ―くんが、急変しました」と電話があり、病院へ行ったら亡くなっていました……。
亡くなる3週間前のレントゲンでは肺に異常はなかったので、その後に肺水腫を起こしていることに気が付いてあげられなかったこと、最期に一緒に居てあげられなかったことを今も悔いています。
愛犬がつないでくれた縁で繁殖引退犬をお迎え
――亡くなってから1年7カ月、今でもペットロスはありますか?
今もまだ悲しい気持ちはあります。亡くなった3週間前くらいからのイネーバの動画や写真は見ることができません。でも、イネーバと縁を結んでくれたペットショップから、イネーバが亡くなった半年後に繁殖引退犬を迎え入れました。イネーバが結んでくれた縁だと思っています。
――今一緒に暮らしているのはどんな子ですか?
「綾」というスムースのチワワです。イネーバはロングコートでした。性格は似ているところと違うとこがあり、とにかく、綾に関してはイネーバのようなツンデレではなく、一緒に居たくて離れたくないと寄り添ってくれるタイプです。
イネーバのことを触ることができないので、それを綾が感じさせてくれるのはうれしいですし、癒やされています。持病もないので走り回りますし、イネーバ同様ほえない子で、ごはんはいっぱい食べます。元気でいてくれているので安心です。
――今、イネーバくんに伝えたい事はありますか?
頼りないお母さんで苦労をかけてしまったけれど、イネーバは大事な大事な息子です。いつも私を支えてくれた相棒でした。穏やかでやさしい子なので、今度生まれ変わったら、次は本当に幸せになってねと伝えたいです。
――「ペットの死に向き合う」とはどういうことだと思いますか?
命そのものを育てていくことは、本来ならその命が成熟して、幸せになる方向を見つけていくことだと思います。尊くて重要です。そして死に向き合うことは、その動物がそこからまた幸せになる一歩でもあるのかなと。
そう考えるとペットの命と共に自分も成長していくし、その子たちを幸せにするにはどうしたらいいかという勉強にもなります。今回、イネーバを亡くしたことで、命そのものの大切さを改めて実感しました。今はイネーバ自身も苦しみから解放されて幸せになったと思いますし、きっとお互いが落ち着いたと思います。
「気付きと幸せを与えてくれてありがとう」という感謝しかありません。
9歳という若さで旅立ったイネーバくん。古都美さんはイネーバくんを亡くしたあと、自暴自棄になり、体調不良の中、仕事へ行き倒れてしまったそうです。そんな古都美さんを心配したのでしょうか。イネーバくんがつないでくれた縁でお迎えした綾ちゃんとの新たな生活で、現在は少し落ち着かれたそうです。古都美さんと綾ちゃんがこれからも幸せな日々を過ごされることを願っております。
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