16歳にしてケーキの味を覚えた愛犬モカ
16歳にしてケーキの味を覚えた愛犬モカ

16歳の柴犬が初めてのケーキに大興奮 シニアだからとあきらめずに楽しみをつくろう

「犬の食べ物に調味料はNG」とかたくなに思い続けてきた飼い主歴16年の私。愛犬は17歳目前というハイシニアになり、もう、これからはできるだけおいしいものを食べさせたいと思うようになりました。そこで今まで敬遠していた、あま~いケーキをあげてみることに。

(末尾に写真特集があります)

老犬でも楽しみは増やせる

 毎年、愛犬のモカの誕生日には、健康面を考えて野菜やフルーツ、ヨーグルトなどを使ってケーキ風なものを作っていました。しかしある日、インスタグラムで老犬さんがおいしそうに甘いケーキを食べている姿を見て、はっとしたのです。

「食べることとお散歩が生きがいのモカ。お出かけは難しい……ならば食べる喜びを増やしたい!」

 モカの年齢は17歳目前。自力で起き上がること、歩くことも難しく、お水やご飯はモカの口元に持っていきあげています。認知症があるためか顔の表情はとぼしくなり、以前なら「おさんぽ」という言葉に目を輝かせ、ごはんの準備を始めたときには「早く!早く!」とせがむような子でしたが、今は粛々としています。

 また、ハイシニアともなると、ごはんを食べられるだけでもすばらしいのに、食事制限って何のためにしているんだろう……? もちろん毒性のあるものは与えてはいけませんが、ふと、そんな考えもよぎっていました。

柴犬、老犬
介護用ハーネスをつけてビーチをお散歩。楽しいんだよね

ケーキ、食べてくれるかな?

 さて、モカに用意したケーキは、犬が食べられるタイプのケーキ。スポンジタイプは飲み込みづらいかもしれないので、まずはのどごしが良さそうなムースタイプを選びました。

 初めてのケーキ、食べてくれるかな……?

柴犬、老犬、ケーキ
初ケーキと記念撮影。「あまい匂いがする……」

 ケーキをモカの目の前に置いたところ、最初はいつも通りの無表情。鼻はぴくぴくさせませんが匂いはわかっている様子です。

「おや? おいしそうな匂い。もう少し鼻を近づけてみましょう」

柴犬、老犬、ケーキ
「むむむっ!これは!!」まずは鼻をくっつけてました

 一度、食べ始めたら止まらない! お皿まで食べるような勢いでガツガツとほおばります。

 あとから写真を見返してびっくり、いつもはほぼ閉じている右目がぱっちり開いているではありませんか! しかもキラキラさせちゃって(笑)

柴犬、老犬、ケーキ
「お鼻のケーキもなめますよ」。恍惚(こうこつ)の表情を見せた

 こんなにも喜んで食べてくれるとは思いませんでした。

 ケーキあげてみてよかった~!

 このケーキは飼い主さんも食べられるということで、私も食べましたが、人間が食べても「甘い!」と感じる量のお砂糖が入っています。以前なら、砂糖入りは絶対ダメ!と禁止していましたが、モカはもう十分いい年、楽しみが増えるならと月1回のお楽しみとして継続したいと思いました。

お祝いの理由を付けて「ハレの日」を作る

 犬用のケーキというと特別感がありますが、誕生日以外でも毎月のお祝いとしてあげてみてもいいのではと思います。そこではあえて “お祝いや感謝の理由”を付けてみると、より楽しめると感じました。

 さらにおすすめは、“お祝いや感謝の理由”を声に出して言ってみること。祝福ムードいっぱいになり、心が温まりますよ。

「毎日がんばってるね、ありがとう」
「今日も一緒にいてくれて、ありがとう」
「いっぱい歩けたね、おめでとう」

 ささいなことでいいんです。何をお祝いしよう?と考えるとワクワクしますし、「うちの子にこんなすごいところがあったんだ」と気づくきっかけにもなります。

 介護の日々にぱっと華が咲き、「ハレの日」ができるのだと実感しました。

柴犬、老犬、ケーキ
モカ、2回目のケーキタイム。「毎日、いっぱい歩いてがんばってるね。ありがとう」の“お祝い・ねぎらいケーキ”です

祝!17歳

 そうこうしているうちに、先日、モカの17歳の誕生日がやってきました。

 本番は大きなケーキにしてみましたよ。

 まずは記念撮影を……と思いましたが、モカさん、ケーキはもう熟知していますので、じりじりと顔を近づけペロリ! はふはふとほおばっていました。

柴犬、老犬、ケーキ
「17歳、ありがとね~」

 やはり、目はキラキラするんですよね。よかったよかった。

 17歳だなんて本当にすごい。毎日、全力で生きる姿に感動しています。「介護させてくれてありがとう、一緒にいてくれてありがとう」の気持ちでいっぱいです。

 こちらの記事で白井活光獣医師が「犬の健康管理には生きがいを見つけてあげることが重要で、生きがいがある子は長生きする」とおっしゃっていますが、実際に愛犬の介護をしている身としても、生きがいがあるっていいなと感じます。

 老犬だからとあきらめないで、ぜひ、愛犬のお楽しみタイムを増やしてあげてみてください。

【前の回】ワンオペでも24時間体制で老犬介護 大変さはあるがしあわせな時間にしたい

小見山友子
2020年4月~sippo編集部に所属。 ファッション業界に従事後、オウンドメディアの編集長をする傍ら、2014年にWEBマガジン「INUTONEKOTO」を主宰。2015年にフリーライター・編集者として独立。ペット、ファッション、旅、サーフィン関連の執筆、編集をしている。instagram @tomokokomiyama

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