老犬が健やかでいるために大切なのは 定期健診と生きがい

 愛犬が若いうちにしておいた方がいいことってあるの? 年をとってきた愛犬の変化に戸惑う、正しいケアができているか不安……など。意外に知らない犬のこと、多くありませんか? 快適な老犬ライフを送るために知っておきたい老年期について、毎月第3火曜日にお届けします。

 第1回のテーマは「健康診断」について。苅谷動物病院グループ総院長の白井活光獣医師にお話を伺いました。

犬の年齢と寿命、老犬は何歳から?

 犬の年齢の数え方は、犬種によっても違いますが、一般的には、最初の1年で17歳~18歳くらいまで成長します。そこからだいたい1年で4歳くらい年をとります。小型犬なら5歳で36歳、10歳で56歳くらいですね。大型犬だと、もっと年をとるのが早いです。

 平成30年の一般社団法人ペットフード協会の調べだと、犬は小型犬・大型犬も含めて、平均寿命が14.29歳です。病院に来る子は、病院に連れてきてもらえる子なので、健康管理がされていて、15歳を超える子も増えています。

 老化が始まるのは、小型犬・中型犬だと7歳くらい、大型犬だと6歳くらいで、人間の年齢でいうと50歳前後ですね。7~8歳だと見た目だけでは老化がわからないかもしれませんが、体力が落ちたり、臓器機能が低下するなど、体が古くなってくることを老化と捉えています。
ただ、一緒に暮らしているとわかりづらく、犬が10歳を超えてこないと、見た目だけでは老化に気づかないかもしれませんね。人に対する反応、お散歩の歩調、姿勢、テンションの上がり方、食べっぷり、あとは毛並み、白内障になり始めるなどで見た目が変わってきます。

青年期は年に1回、老年期に入ったら年に2回の健康診断を

定期的な健康診断で変化を早期発見

 愛犬の健康管理で大切なことは、定期的な健康診断です。できれば1歳になる前から、定期的に健康診断を受けるのが好ましいです。毎年受けていれば過去と比較ができて、何かが変わってきた時にすぐに気づくことができますよね。年をとれば見た目、体重、血液検査、尿検査、年をとるごとにどこかが引っかかってくると思います。

 健康診断の頻度は、老化が始まるまでは年に1回、老化が始まってきたと感じたら年に2回が理想です。

健康診断以外で、飼い主ができること

 飼い主が愛犬に気をつけてあげられることの中に、体格の管理があります。ベストな体格をキープさせることはとても重要で、質のよい食事と、適度な運動は欠かせません。

 お散歩は犬がよろこんで行くのであれば、1日に1回でも2回でも、3回でも大丈夫です。一番いいのは「家族と一緒にお散歩に行くことが生きがい」になってくれることです。犬の健康管理には「生きがい」を見つけてあげることが何より重要で、お散歩でも、食べることでも、ボールで遊ぶことでも「生きがい」がある子は長生きしています。

 食事は全体量が大事です。回数は1日2回に分けても、1回でもいいのですが、1回だと一度に食べる量が多くなり胃腸に負担がかかるので、1日2回がよいと考えています。

生きがいがあれば健やかに過ごせる

老犬の「生きがい」の見つけ方

 お散歩ができなくなった子は、抱っこして外を歩いてあげるだけでもいいですね。日本には四季があるので。外の刺激は大切です。もしくは、同居犬がいてその子がやんちゃだったりすると、「自分もがんばろう」として生きがいになるケースもあります。大それたことではなく些細なことが、意外と老犬の生きがいになっているのです。

 また、触れ合うことも「生きがい」になります。耳が遠くなると低い声が聞こえづらくなるので、高い声で名前を呼びかけてあげれば、頭のどこかで反応しているはずです。体を触る機会を増やしたり、抱っこをしてあげながら声掛けすると、音が伝わる可能性もあります。

老犬に多い病気と外科手術の可否

 老犬に多い病気は、心臓病、がん、そして高齢化に伴い脳の病気も多いです。

 最近は12~13歳であれば、手術をするケースも増えてきました。15歳を超えてからの外科手術は厳しいと思います。手術することが目的ではなくて、手術をしたことによってその後、「よい生活がまた営めるかどうか」が重要なので、それにマッチしていれば外科手術はありかと思います。

 外科手術は以前に比べて増えてきていて、それにより寿命が延びているのも事実です。しかし、飼い主が「その選択をしないから間違えている」ということではないですよ。

愛犬の体質を知ることは病気の予防につながる

病気予防は犬の体質を知ることから

 まず愛犬の体質を知ることが、病気を予防することにつながります。

 例えば血統書などがあるなら、親や兄弟姉妹がどんな病気になっているのか調べることは有効です。成長過程でも皮膚が悪くなりやすい、下痢をしやすい、歯石が付きやすい、関節が弱いなど、どんな体質の子なのか観察しておくことが望ましいですね。

 また、犬種によってなりやすい病気を、飼い主がきちんと把握していることも大切です。体質だとしたら、そこから始まる病気があるのですが、事前に知っておくことで、大切な愛犬の病気を予防してあげることができます。

 定期的な健康診断と体格管理、そして「生きがい」をみつけてあげて、愛犬が長く健康に過ごせるといいですね。

監修:白井活光
苅谷動物病院グループ総院長。獣医学博士。1998年日本大学大学院卒業。同グループ「三ツ目通り病院」や「葛西橋通り病院」の院長を歴任。2015年から現職。日本臨床獣医学フォーラム専務理事。専門分野は総合臨床。

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岡山由紀子
某雑誌編集者を経て、2016年からフリーのエディター・ライターとして活動。老犬と共に暮らす愛犬家。新聞、雑誌などで執筆中。

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