好きな編み物で犬や猫の保護活動を応援したい 手編みグッズの売り上げを寄付する女性

一緒に暮らす愛猫どん、こなす、こまり(えり子さん提供)

 幼い頃より大の動物好き。結婚してからも、知り合い宅で生まれた犬や、自分で保護した猫を次々と愛情深く迎えてきた女性が、「動物を助けている人たちのお手伝いができないか」と考えた。そこで始めたのが、好きな編み物や手芸で猫グッズなどを作り、少しずつコツコツと寄付を続けていくこと。現在一緒に暮らす可愛い猫たちの様子とともに、編み物についても教えてもらった。

(末尾に写真特集があります)

先代猫に育てられたこなす

 えり子さん(61歳)は、現在、夫と長女と保護猫と、名古屋市で暮らしている。

「今いる猫は、ビビりなこなす(オス、10歳)と、ノー天気などん(オス、5歳)と、その妹のこまり(メス、5歳)の3匹。少し前まで他の猫や犬もいましたが、動物が絶えません。まずはこなすのことから話しますね、いくつになっても手がかかる子なので(笑)」

 こなすは、えり子さんが26歳で結婚して以来、3代目の猫だ。

 10年前、夫と営む車の修理工場に止めてあった車に、野良の母猫が入りこんで子猫を4匹生んだのだという。

「夫が週明けに仕事をしようとして車のシートを外したら、『ネズミか何かがいる!』と。箱に移してよく見たら目の開いてない子猫が4匹いて。休みに入る前に雨が降っていたので、母猫が運んだのでしょう……一生懸命、ミルクで育てました」

先代おこげになめてもらう赤ちゃん時代のこなす(えり子さん提供) 

 子猫3匹は知人に譲り、1匹を家に残した。それがこなすだ。

「兄弟の中でも小さくて、ミルクをあげるとおなかがポンポンになって“なすび”みたいでした。それで、名前はこなす。こなすの保護時にはチャイニーズ・クレステッド・ドッグが3匹と、おこげという(当時2歳の)雄猫がいて、おこげがこなすの面倒をみたんですよ」

 おこげは、長男の友人宅で生まれた子猫の1匹で、優しく父性豊かに育った。

 こなすの赤ちゃん時代はかいがいしくおしっこやうんちもなめとり、こなすが自分より大きくなってもぴたりと寄り添った。そんな親代わりのようなおこげが2年前、LGLリンパ腫になって旅立ってしまった。

 すると、こなすの心身が不安定になったという。

「8年一緒にいたおこげがいなくなると、鳴いて探し、いつもなら寝ている時間も、眠りが浅くてすぐ起きて。ますますデリケートになってしまった。最近もはげを作りました。それだけ、おこげとのつながりが強かったんですね」

空気を読めないどん、供血でがんばる

 そんな内気なこなすが5歳の時、(まだおこげが存命な頃に)やってきたのが、どんと、こまりだ。1匹もらうつもりが、兄妹2匹になった。

「動物病院に来ている方が、『兄妹猫を保護して家族を募集している』というのを知り、うちで引き取ることにしたんです、最初はメスのこまりだけのつもりでカゴを持って動物病院に行ったら、どんが(行くはずの家から)“キャンセル”されていて……2匹離すのも可哀想だから一緒にもらうことにしました」

 えり子さんによれば、どんは空気を読まないタイプで、こまりは我が道を行くタイプ。

 この2匹との“関係”で、こなすがはげを作ったこともある。

こまり(左)と、たまに供血をがんばるどん(えり子さん提供)

「どんも、こなすの大好きなおこげに懐いていたのですが、どんがおこげに可愛がられているのを見て、こなすはさみしくて、はげを作ったんです。どんだけチキンハートなんでしょう(笑)。こまりのほうは、おこげでなく、当時まだ元気にしていたおじいちゃん犬にぺったりくっついて、暖をとってました」

 おてんばなこまりに「おじいちゃん犬の上に乗っかったらだめよ」といっても、こまりはいつも犬の上に乗り、あったまると、横にひっくり返って寝ていたそうだ。

「犬も猫も一緒でごたごた状態でした!」

 幼いうちに亡くなった子猫も含めれば、えり子さんが今まで家で育ててきた犬と猫は10匹にのぼる。そんな“動物まみれ”な楽しい空間で育ったためか、長女は動物看護師の道を選んだそう。

「長女が動物看護師になって10年。おこげやその前の子たちのケアもしたし、こなすの薬の指示もしてくれます。今は救急病院に勤めているのですが、体の大きく健康などんが供血猫として、長女と家から深夜に一緒に病院に出動したこともあるんですよ。家ではのんきなどんが、ほかの動物たちのために役立っていると考えると、ちょっとうれしいですね」

「こなすのあみものやさん」の始まり

 えり子さんが今まで迎えた犬や猫は、知人宅や息子の友人宅で生まれたり自身で保護し、お店で求めた子はいない。

 保護犬や保護猫という言葉も認知し、愛護センターの状況なども“なんとなく”わかっていたが、6年ほど前にインスタを始め、いろいろな子がいることを知った。それが支援につながっていったという。

「インスタには、可愛い子の紹介だけでなく、外にいて悲惨な思いをしている子も載っていました。そして、たくさんの方が私財をなげうってでも命を救おうとしていることが、(インスタを)見れば見るほどわかった。でも、私がもし不幸な子たちがいる現場に走ったら、すべて持ち帰りたくなり、そうなると我が家が崩壊してしまう……自分は現場にいってはいけない人間かなと思ったんです」。

 えり子さんは「間接的な支援」ができないかと考えた。そこで始めたのが編み物などでグッズを作ることだった。

「編み物は昔から好きでした。以前にも猫用ベッドなどを編んでインスタにポストすると、欲しいという声を頂き作ることがあったので、自分の“好き”や“得意”を生かしてみようと。そして3年ほど前に、インスタで『こなすのあみものやさん』として、グッズの売り上げを支援につなげる形を作りました」

手編みのふわふわベッドに入るこなす(えり子さん提供)

 編み物の種類としては、主に猫や犬が入る円形の「ふわふわベッド」や、その上でくつろげる「ラグマット」がある。

「『ふわふわベッド』は、この3年で、北海道から九州まで全国の方から350個くらいリクエストを頂き、編んでお送りしてした。まとめて買ってたり、猫つながりの人にプレゼントする方もいます。Mサイズは2600円(税込み)。毛糸代だけ引かせて頂き、残りの売上金を寄付に使います」

 寄付の先は、大きな団体でなく、個人でがんばっている人が多いという。

「例えば、SNSを使っていなくて、年金で保護活動をしている方などの話を人づてに聞くと、無条件で応援したいと思うんです。基本的にはフードなど物資をお送りしたり、子猫のシーズンならミルクを送りますが、医療費がなくて困っているところにはお金を振り込むこともあります。困っている方が多いので、いろいろなところにお送りするのが夢です」

 そうしたえり子さんの活動を“後方支援だね”と言ってくれた人がいるという。

 殺処分前の犬たちのために、手編みのマットを送ったこともある。

「茨城のセンターに、厚さ1.5㎝、幅1mの楕円(だえん)形マットを30枚くらい作って送ったこともあります。最期を待つ間、暖房も入らない部屋のコンクリート上で過ごすと聞いて、個人的に、“犬たち”に贈ったんです……」

 3月にチャリティバザーを行う保護団体に、ベッドやヘアバンドやバッグなどのグッズを送り、その売り上げを保護団体に寄付するそうだ。

「スズメの涙ほどかもしれないけど、少しでも力になれたらうれしい」とえり子さん。

ご長寿、亀平さんとこなすたちを大事に

 じつは、えり子さんの家には、27歳になる石亀がいる。結婚して初めて迎えた動物が、この亀平さんだったそう。 

「長男が小学1年生の頃、家族で散歩にいくと、川の堤防にいた人から『孵化(ふか)した亀がいる、踏まれると死ぬからあげる』と渡されたんです。息子が受け取ってしまい、そこから27年」

神々しい27歳の亀平 (えり子さん提供)

 その後、ほどなくして、長男の友人宅で生まれたゴールデン・レトリーバー、知人宅で生まれたチャイニーズ・クレステッド・ドッグを迎え、えり子さんが道で見つけて拾い上げた猫のにぃ~、そして、先にも記したおこげ、そして、今いるこなす、どん、こなす、と連綿と預かる命が続いてきた。ハトや金魚なども加えればじつににぎやかなメンバーだ。

「考えると、亀平が我が家のすべてを見てきましたね。子どもたちの成長も、動物との出会いも、別れも、つながりも……」 

 えり子さんは、これから犬猫を迎えることはしないという。年齢のほか、こなすのキャラを考えてのことだ。

「環境が変わると、こなすがビビッてまたはげを作るのがわかっていますからね。今もどんが私のひざに乗るだけで、しょげてしまうので。長寿の亀平とともに、3匹をおおらかに見守っていきたい。そして、できる限り、支援のための編み物も続けたいですね」 

 えり子さんの部屋には、新しい毛糸や布が、6個もの衣装ケースにしまってあるそうだ。

「それがなくなるまでは続けなきゃ。あみものやさん、楽しくやります」

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は18歳の黒猫イヌオと、4歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この連載について
ペットと人のものがたり
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