ネコの祖先はどんな動物? 9500年前に人と暮らした最古の記録が!
私たちがともに暮らすイエネコの祖先がリビアヤマネコであることがわかったのは、たった14年前のこと。2007年、「サイエンス」誌に掲載された論文で発表されました。今回はこのイエネコの祖先を明らかにした論文“The Near Eastern Origin of Cat Domestication”をご紹介します。
イエネコの起源は中近東のリビアヤマネコ!
イエネコの起源を調査するため、オックスフォード大学の研究チームは3つの大陸に生息するヤマネコと、日本やアメリカなどで暮らすイエネコの合計979匹の血液サンプルを収集しました。そのサンプルから、ミトコンドリアDNA(mtDNA)を抽出しPCR法(Polymerase Chain Reaction)を用いて解析しました。PCR法とは、mtDNAのある領域を連鎖反応的に複製する技術です。たくさんのコピーを作成し、部位の変異を調べることで、DNA塩基配列の違いを発見することができます。
研究チームはこの方法を用いて、どの系統のネコが近しい関係にあるかを解析しました。その結果、少なくとも5種類のヤマネコ(Felis silvestris)に分類できることがわかりました。ヨーロッパヤマネコ(Felis silvestris silvestris)、中近東のリビアヤマネコ(F.s.lybica)、中央アジアのヤマネコ(F.s.ornata)、南アフリカのヤマネコ(F.s.cafra)、ハイイロネコ(F.s.bieti)です。 さらに、私たちが一緒に暮らしているイエネコはリビアヤマネコ(F.s.lybica)に分類できることを発見しました。
人と暮らした最古のネコとは
リビアヤマネコは、約13万1000年前に中近東に生息していました。この地域は「肥沃(ひよく)な三日月地帯」と呼ばれ、人が農耕開発をした場所です。穀物の貯蔵庫にネズミが出没するため、ネズミ捕りのためにネコがやってきたのではと考えられています。
また9500年前の地中海にあるキプロス島で、リビアヤマネコとみられる骨が人と一緒に埋葬されていることがわかっています。これが、ネコと人が共に暮らし始めた最古の記録とされています。
ちなみに日本におけるネコの最古の記述は平安時代といわれています。ネコがいない生活は想像もつきませんが、もし中近東からやってきたのだとしたら、それはそれは長い旅路だったことでしょう。日本に暮らすネコたちの起源については、今後ゲノム解析がすすめば明らかになっていくはずです。
今回ご紹介した論文
"The Near Eastern Origin of Cat Domestication"
イラスト:長崎訓子(ながさき・くにこ)
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