犬好き家族が迎えた4匹の猫 きっかけは庭で保護した子猫、息子の願いで飼うことに

 郊外の一軒家で夫と成人した子どもと暮らす直子さんのところには、1匹のポメラニアンと4匹の猫がいる。

(末尾に写真特集があります)

いつのまにか猫が増えて

 ポメラニアンの「ソラ」は雄で15歳。小学生だった娘の希望で、近所に住む知り合いから、少し大きくなった子犬のときに譲り受けた。10歳の黒猫の雄「クロ」、白い毛にキジ模様のある7歳の姉弟猫「みーこ」と「ハッチ」、推定10歳の長毛猫の「ふわりん」の4匹は、直子さんが保護した。

ポメラニアン
「僕がポメラニアンのソラだよ。よろしくね」(小林写函撮影)

 光がさしこむリビングで、思い思いに過ごす動物たちの姿を見ていると、我がことながら不思議な気持ちになる。もともと家族全員犬派だったのに、いつのまにか猫が増えてしまった。

 庭のガーデンチェアの上では、直子さんが作った段ボールハウスで暮らす2匹の野良猫たちもくつろいでいる。

庭で鳴いていた子猫

 最初に家に来たのは「クロ」だった。2010年の夏に、自宅の庭で「ミー、ミー」と弱々しく鳴いていたところを直子さんが拾い上げた。近所の動物病院に連れて行ったところ、体重260g、生後約2週間の子猫だった。近くに母猫の姿は見当たらず、どうやら母猫に運ばれる際に置き去りにされたようだった。

 当時はソラのほかに、セキセイインコもいたので、家で飼うのは難しいと考えた。せめて、弱っているからだに栄養をつけさせ、子猫が欲しい人に譲渡できるまでに育てようと、インターネットで調べて必要なものをそろえた。子猫の育児はもちろん、猫の世話は初体験の直子さんだったが、命を絶えさせてはならないと必死だった。

 黒猫だったことから「クロ」と呼ぶようになったその猫を、そのまま家に置くことにしたのは、小学4年生だった息子が「よそにあげちゃだめ」と懇願したからだ。最初は反対していた直子さんも、夫も娘も、いつのまにかクロを手放し難くなっていた。

黒猫
「こんにちは、クロです。この家に最初に来た猫だよ」(小林写函撮影)

 クロは、おとなしい性格の猫だった。

 穏やかで優しいソラとはすぐに仲良くなり、じゃれあうようになった。セキセイインコを襲うこともなく、家族でサッシを開け放して庭でバーベキューをしていても、脱走の気配さえみせないし、家の中では高いところへ登ったり、走り回ってものを落とすこともない。

 はじめて暮らす猫なので、こんなものかと思っていたが、あとから迎えた猫たちと比べると、とても扱いやすい「長男」だとあらためて感じる。

小さなからだの姉弟猫

 2014年6月に迎えた姉弟猫の「みーこ」と「ハッチ」は、友人が餌をあげていた野良猫が生んだ4匹の子猫のうちの2匹だった。どうすればいいかと相談され、話を聞くだけのつもりが気持ちが動き、気がついたら「2人で2匹ずつ引きとろう」という話になっていた。

 クロを保護したことで、直子さんは野良猫をとりまく環境の厳しさに思いを寄せるようになった。積極的に保護活動を行うことはできなくても、自分に救える命があるなら救いたい。何もわからない状態からクロを育てた自信が、そう決意させた。

 子猫たちは生後40日が過ぎ、母乳から離乳食に切り替えるタイミングで保護をし、2匹を家に連れてきた。ちなみにこの頃、セキセイインコはすでに亡くなっていた。

 用意したケージの中で2匹は小さなからだを震わせ、幼い声で懸命に威嚇をした。夜は一晩中鳴き叫んだ。母猫から引き離された不安と恐怖のためだろうか。家の中に響き渡るそのせつない鳴き声を聞くと胸が痛んだ。それでも、外で暮らすよりも安全なことは間違いなく、絶対に幸せになれるのだからと自分に言い聞かせて目を閉じていた。

 子猫は順応性が高い。1週間もすると夜鳴きは落ち着き、2週間が経つと姉弟でケージの中で遊び転げるようになった。ケージから出すようになると先住猫のクロにつきまとい、追いかけ回した。

猫ベッドでくつろぐ猫
「ふわりんです。私がこの家で一番肝が座っているの」(小林写函撮影)

3匹が作る猫社会

 クロは最初のうちは明らかに迷惑そうで、時折「シャー」と言いながら逃げていた。しかしやがて相手をするようになり、2匹のからだをなめてやるようにもなった。

 不安もあった多頭飼いだが、クロの穏やかな性格と、新入り猫が姉弟の2匹だったことが幸いした。クロに相手をしてもらえないときでも2匹一緒なので退屈することはなく、部屋中を駆け回り、高い場所もものともせずに登った。

 活発で怖いもの知らずのみーこは、新しいおもちゃを与えると真っ先に食いつく。ビビリ気質のハッチは遠くからそれを見て、大丈夫そうだとわかると近寄ってくる。

 猫は1匹1匹性格が違う。あたりまえのことだが、それが直子さんには面白かった。

 クロ、みーこ、ハッチの3匹で猫社会がうまく形成されていたので、これ以上迎え入れるつもりはなかった。

 そこに4匹目となる「ふわりん」が加わる。ふわりんは子猫ではなく、出産経験のある成猫だった。

【つづき】保護した子猫の命を救えず後悔 なんとしても母猫は幸せにすると誓った
【前の回】帰国の飛行機で愛犬がけが、すぐに動物病院へ かかりつけ医の大切さをかみしめた

宮脇灯子
フリーランス編集ライター。出版社で料理書の編集に携わったのち、東京とパリの製菓学校でフランス菓子を学ぶ。現在は製菓やテーブルコーディネート、フラワーデザイン、ワインに関する記事の執筆、書籍の編集を手がける。東京都出身。成城大学文芸学部卒。

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この連載について
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犬や猫の飼い主にとって、身近な存在である動物病院。その動物病院の待合室を舞台に、そこに集う獣医師や動物看護師、ペットとその飼い主のストーリーをつづります。
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