犬の世話をしているようで、実はされている? いつの間にか飼い主も健康的に
先代犬の富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らすライターの穴澤 賢さんが、犬との暮らしで悩んだ「しつけ」「いたずら」「コミュニケーション」など、実際の経験から学んできた“教訓”をお届けしていきます。
早寝早起きに
初めて犬と暮らして「犬の世話って思っていたより大変」という人がいるが、長年暮らしてきた私は「そうか?」と思う。たしかにゴハンを用意しないといけないし、散歩にも行かなければならない。しかし慣れるとそれがルーチンワークになるし、『この前』書いたように犬中心の考えになるから苦労だとは思わない。
逆に犬がそばにいることで、生活リズムが規則正しくなる。私のように家で仕事をしていると、ついつい夜遅くなり、出勤するわけでもないから朝はのんびり寝て、どんどん昼夜逆転していく傾向がある。しかし、犬がいると毎朝散歩に行かないといけない。
特に夏になれば朝7時にはもうアスファルトが熱くなってしまうから(靴を脱いで地面に足をつけると実感するはず)、なんとか6時半頃までには散歩を終えておきたい。「寝坊した」では済まない。毛皮をまとった彼らにとって、日が昇った暑い中散歩するのは地獄だから。そのため寝坊は出来ない。ということは、夜ふかしも出来ない。
富士丸と暮らす前は、夜中の1時や2時まで飲むことはザラだったし、休日前夜は朝まで飲むなんてこともあった(若かったから出来た)。それが富士丸と暮らすとそんなこともなくなり、部屋でひとり飲んで12時前には寝るようになった。それがさらに進み、今では遅くても10時半くらいには寝るようにしている。
たまにうっかり夜ふかしすると、翌朝つらい。眠時間が6時間ほどの日が続くと、日中眠くてあくびが出まくる。どうやら8時間は寝ないといけないらしい。逆算すると、それくらいの時間になるのだ。いつの間にかそういう体質になってしまった。
「ウンチモード」に付き合う日々
大吉と福助は朝の散歩を心待ちにしているのかというと、そんなことはなく、起きるのはいつも私が先で、玄関で「行くぞー!」と呼んで始めてだるそうに階段を降りてくる。外でしか排泄しない彼らのためを思って暑くなる前に行こうとしているのに、眠いけど仕方なく付き合ってあげていると思っているふしがある。
さらに、福助にはちょっと変わった「癖」がある。大吉は比較的すぐするのだが、福助には「ウンチモード」があり、モードに入るとずんずん歩き、立ち止まってするかと思いきや「何かが違う」という顔をしてまた歩き出すというのを繰り返すのだ。
自宅から3分ほどの腰越の砂浜では15分ほどで結果が出るが、山の家に行ったときは延々と歩き続けることがある。それは散歩を楽しんでいるのではなく、もよおして早くウンチがしたいのに、お気に召す場所がなかなか見つからないというのは、歩き方と後ろ姿を見ていれば分かる。
そのポイントの何が気に食わないのか。「したいなら早くしろよ!」と思うが、そんなことを口に出してはいけない。ふとしたことでモードが解除されてしまい、昨日の夕方もしなかったのに朝もしないなんてことになってしまう恐れがあるから、無心になり黙ってひたすら後を付いて歩く。
結果、妙に健康的に
結果的に標高1500メートルにある八ヶ岳の別荘地の起伏の激しい山道を、朝から1時間以上歩き回るなんてこともしょっちゅうだ。そして無事に結果が出ると「ふぅ、疲れたわぁ」という顔をする。「それはこっちのセリフじゃ!」と叫びたくなるが、思えばそれは私にとっていい運動になっているのかもしれない。
若い頃からスポーツに興味がなく、ジョギングなんてやろうと思ったことはないし、ひとりでふらっと散歩をすることさえない。そんな暇があったら家で好きな音楽でも聴きながら本でも読みたい超インドア派な私が体を動かすのは、唯一散歩だけといっても過言ではない。
8月に10歳になる大吉にとってもいい運動になるし、福助のウンチモード病に感謝しないといけないのかもしれない。少なくとも、彼らがいないと朝から山道を散歩するなんてことは絶対にないと断言出来る。
気がつけば、起床時間から睡眠時間、適度な運動まで、意識していないのに妙に健康的になっている。それは犬がそばにいるおかげとしか思えない。そしてそんな犬たちとの暮らしはなんとも心地いい。
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