マイクロチップだけで安心? 犬猫の迷子防止にGPS付きAirTagを使ってみた

AirTagを付けた首輪をして庭でのんびりするフィーユ

 サーフィンやスケボーが得意な愛犬コーダと保護猫たちと暮らすドッグトレーナーの浅野さんから見た、犬や猫たちとの暮らしをつづります。

(末尾に写真特集があります)

迷子猫を保護し、飼い主を探す

 以前、首輪にちぎれたリードがついていた迷子猫を保護したことがあります。抱っこして捕まえたときは固まっていたので良かったのですが、クレートに入れるために車が通る道路を渡らなければならず、万が一のことがあるといけないので着ていた上着に包んで私のスクールに連れて行きました。

 歩いている最中に徐々にパニックになった猫は、クレートに入れてから威嚇してくるようになり、口と手が出てくるので無理に触ればけがをするような状態でした。何か飼い主の手がかりを探そうと思い、猫を観察したところ首輪に迷子札が付いていたのです。

 見えたのは消えかかったカタカナ3文字。後は飼い主のヒントになりそうなものは何もありませんでした。

 そのとき強く思ったんです。猫の名前よりも、飼い主の名字と電話番号を書きましょうよと。

 結局、飼い主のヒントが得られなかったので、見つけた場所から半径30メートル以内の家と動物病院にチラシを50枚くらいポスティング。連絡があり、猫は無事に飼い主の元へ戻ることができました。

 それから2週間後に同じ場所で、今度はリードなし、首輪だけ付けて放浪している同じ猫を見ました。それはもうがっかりでした。

保護した猫の迷子札には猫の名前しか書いていなかった

マイクロチップが入っていれば安心?

 環境省によると、2022年6月1日から、ブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫について、マイクロチップの装着が義務化されました。しかし、たいていの人は読み取り用の機械を持っていないので、迷子になってからすぐには飼い主の情報にアクセスされません。

 うちの愛犬1匹、愛猫3匹は全員マイクロチップを付け、識別情報も登録していますが、マイクロチップを読んでもらえるまでの間、放浪しているなか無傷でいられるとは限らないのです。

 もしも何かの拍子にうちの子たちが家からが出て行ってしまったときを考えると、一刻も早く自分の手で見つけ出して助けたいと思います。

うちの子たちにGPSをつけたい

 私は愛犬・愛猫と一緒にキャンプへ行ったり、愛猫にもハーネスをつけて散歩をすることがあります。外で遊べることで犬猫たちは精神的な健康は得られるかもしれませんが、リスクがないとは言い切れません。

 そんなとき「迷子札がGPSになっていたらなぁ」。そして思い出したのが、AirTag(エアタグ)でした。

 AirTagはApple社が製造・販売している忘れ物トラッカーで、本来の目的は、財布や鍵などにつけておいて、紛失した際に手持ちのスマホで追跡ができるというシロモノです。

 犬や猫の迷子札に代わるものとして推奨はしていませんが、万が一の時に役に立つのなら使わない手はありません。家には私以外に家族も出入りしますから、間違えて猫を逸走させてしまうことが絶対ないとは言えないからです。

 それから家の中でも猫は、どこにいるのかわからなくなることがあります。そんなときAirTagがあったら、「家の中にいる」ことがわかると思い、思い切って買ってみました。

猫3匹の首輪にAirTagを装着

AirTagは思ったより使えた!

 AirTagを首輪に装着できるホルダーを買って、早速、猫たちにつけてみました。猫の体に対して大きすぎたり、重すぎるかなと心配しましたが、意外と違和感はなさそうです。

 いつも家の中を自由に歩き回っている猫たち。「フィーユがいない。2階かな? メロはどこにいる?」そんなことがよくあるのですが、探したい時はAirTagからサウンドを再生します。今までは猫の首輪の鈴に耳を澄ませていましたが、動きがない時は音が鳴らなかったので、AirTagのサウンド再生は便利でした。

 AirTagは家などの一カ所か、手元から離れた時はスマホに通知が来ます。なので、散歩へ連れて行くと、移動するたびに通知は来ていました。また、猫たちが室内のどこにいるのかも、仕事先などから地図で居場所を確認できます。結構精度が高くて、誤差は3メートル以内だと思います。

 AirTagの近くにスマホがない環境では、電波が利用できないのでGPS機能が使えなくなることがあるようですが、今のところ街中の散歩と、地方遠征や高速道路のサービスエリアなどでもしっかり機能を果たしてくれています。

茨城県への出張に同行した猫たちと、きちんと働くGPS機能

犬用は防水ケースに入れて使う

 猫は水を避けますが、犬は水が好きな子もいるので、雨の中を放浪してしまうことなどを考えると、防水で衝撃に耐えられるケースに入れるのがおすすめです。

 愛犬コーダは海や川や山など自然の中で遊ぶのが大好きですが、万が一はぐれてしまうことがあったら、防水ケースに入れていないとAirTagが水にぬれて故障してしまう可能性があります。また、水場で使えないからといって、外さなければいけない状況を考えると、断然防水ケースが必要です。

びしょ濡れになるのが大好きな犬にはAir tagを防水ケースに入れて使うのがおすすめ

AirTagはあった方が良いか?

 あった方が良いです。犬のコーダは家から勝手に出て行ったり、家族の手違いで外へ出て行ってしまうことはないと思いますが、猫たちはわかりません。それから保護犬、保護猫など、まだ家に慣れていない子、周りの環境に慣れず怖がってしまう子などにも、おすすめできると思います。

 完全に頼り切れる道具ではないにせよ、「うちの子」を守るためのツールのひとつになると思います。

【前の回】6畳の部屋で犬と猫と暮らすことに… 上下の空間をいかすDIYで快適になった

浅野里実
千葉県習志野市のドッグスクール「Perrito」主宰。犬との暮らし方コンサルタント、ドッグトレーニングインストラクター。スクールでは動物福祉を優先し、オーナーの知識の向上による動物のQOL向上をサポート。応用行動分析学・心理学に基づいた科学的根拠のある効果的な方法でトレーニングし「正の強化」をベースにしている。イングリッシュコッカースパニエルのコーダと保護猫のフィーユ、ガロと暮らす。

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この連載について
ドッグトレーナーの犬猫日記
サーフィンやスケボーが得意な愛犬「コーダ」と保護猫「フィーユ」「ガロ」と暮らすドッグトレーナー浅野さんの犬猫日記。
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