ちょっとキモくてもいいか! とーさんが愛犬「福」に近況とか悩みとか話しかけるわけ

なでてもらっている犬
ね、わらってるでしょ?

 月刊誌『天然生活』『ESSE』で編集長をつとめ、数多くのヒット書籍をつくり続けている編集者の小林孝延さんこと「とーさん」は、困り顔の元保護犬「福」と元野良猫の「トモ」「モエ」と暮らしています。今回は、動物たちと言葉のお話です。

(末尾に写真特集があります)

影響力にびっくり

 情熱大陸をご覧いただいた皆様どうもありがとうございました。

 その後の反響がもうすごすぎて……って、すみません、とーさんが取り上げられたわけじゃないんです。とーさんが担当してる著者、料理コラムニストの山本ゆりさんが4月11日放送の情熱大陸で特集されたのです。

 そんで、ちょうど山本ゆりさんにテレビカメラが密着しているタイミングが、とーさんが新刊エッセイを編集している時期に重なりまして、うっかりコメントしましたところ(とーぜん使われないだろって、たかをくくっていた)、、、ばっちり、しかもいきなり番組冒頭で、どーーーーんと出ててきたために、思わず飲んでた缶チューハイを吹き出してしまったんですね。

犬と本
情熱大陸で取り上げられた山本ゆりさんの新刊「おしゃべりな人見知り」

 そう、あの番組はオンエアになるまで取材された本人すらどのシーンを使って、どんなふうにまとめられているか、知らされないんですよ。怖っ!!いやいや、チラッと写っただけなのに、放映直後からLINEは鳴り止まず、インスタのコメントもで「見ましたー」がたくさん。改めてその影響力を思い知ったのでした。いやはや。

なんか照れちゃう

 さてまったく本編と関係ない前置きが長くなりましたが、犬や猫と暮らしているみなさんは動物たちとお話ししてますか??

 果たして彼らはどこまで「言葉」を理解しているのか、はたまたどうやれば彼らと話ができるのか??そんなお話を今日はしてみたいなと思っています。

 じつはとーさんは我が家の福、そしてとも、もえに話かけるのがちょっと苦手なのです。なんというか照れちゃうんですよね。

2匹の猫
言葉より本能に突き動かされてるひとたち。鳥に夢中

 もちろん可愛いから、やさしく頭をなでながら、つい話しかけたくなるし、実際話すわけですが、知らず知らずに「かわいいでちゅねー。お腹ちゅいてるの?」って感じの赤ちゃん言葉になっている自分に気づき、、うわ!!やべ、きもっ!!!ってはっと我にかえるのです。

 どう考えたって、いい歳をしたおじさんがひとり赤ちゃん言葉でぶつぶつ呟いてたら、ちょっと気持ち悪いじゃないですか、そんな自分を客観的に眺めた時いたたまれない気持ちになってしまうから、どーしても無言になっちゃうんですよね。

みるみる顔つきが

 でも、それをとーさんの師匠に伝えると「ちゃんと話しかけてください。はなしかけなきゃだめ」と叱られてしまいます。

 師匠はいつも「かわいいねえ、かっこいいね、素敵な髪型だね!!」と繰り返し繰り返し愛猫に話しかけながらブラシで毛を撫でつけます。すると本当にその言葉を間違いなく理解しているかのように、みるみる自信をもった顔つきにかわっていくんですよね。

 いろいろと資料を探っていくと、最近の研究では犬も猫も話しかけられたときの脳は明らかに言葉を言葉として理解していることがわかってきているとか。犬にいたっては、賢い子は1000語以上を理解しているそうです。

 もちろんそこまでではない犬でも、言葉、声のトーン、表情など複数の情報から、主人が伝えている内容を理解しているそうです。

笑っているようにも見える

 そう思って福の様子を改めて眺めていると、うん、確かに名前以外に「ごはん」「おやつ」「さんぽ」(1000語どころか3語だけど……)は確実にわかっているし、「かわいいね、おりこうだね」という言葉をかけるとあきらかに甘えた顔をするし、ときどき笑ってるようにも見えるのです。

 もちろん食欲と直結した言葉は本能で理解するのだろうとは思うけど、なんというか、それだけではない言葉のニュアンスを汲み取っているように感じる時もよくあります。

犬
一生懸命とーさんのことばを聞いてくれてる(気がする)

 例えばときどき、僕が疲れて仕事から帰ってきて、あー今日は散歩がめんどくさいなあ、なんてときに少しテンション低く「はい、はい、お散歩行くよ」というと、ちょっと悲しそうな表情をするように、見えなくもない……。

 そして、福の場合はいけないことをしたときや、とーさんの意に反した行動(散歩中に突然駆け出そうするなど)をしたときは「こらっ!」と叱るよりも、きちんと犬の目線に降りてさとし、そしてその後で「さっきはがんばったね」とやさしくいたわるほうが効果があるようにも、思えないこともないのです。(ちょっと自信はないけれど)

近況とか人生の不安とか

 だから、最近はちょっとキモくてもまあ、誰に迷惑かけるわけでもないからいいか!と、開き直って、福、とも、もえに話しかけているのです。まだまだともともえとは言葉が言葉として響いている感じはしないけれど、それでも根気強くやってみようかなと。

男性と犬と猫
だれにも言えない悩みをこっそり聞いてもらってます(笑)

 そして、福には「赤ちゃん言葉で溺愛」ということを超えて、もっとぶつぶつと自分の近況とか、悩みとか人生の不安を話しかけています(知らん人がみたらこれはこれで危険なにおいがするかも……)

 お互いの言葉を完全に理解し合える人間同士が、完全にお互いの気持ちを理解できているか、といえばそうでもないわけで、逆に言葉を完全に理解でてきていない動物たちとは、不完全だからこそ、その気持ちを汲み取ろうと理解することで、より深く理解しあえるようになる。なんとも興味深い話だなと思うとーさんなのでした。

イエス、レッツトーク!

◆小林さんが発行人を務める月刊誌『天然生活』のサイトはこちら

【前の回】いつか来る愛犬「福」との別れの時 未来を不安がるより、毎日ありったけの愛情注ごう

(次回は5月15日に公開予定です)

小林 孝延
福井県出身。編集者。月刊誌『天然生活』創刊編集長、『ESSE』編集長などを歴任。2023年10月に著書『妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした』(鳴風舎)を刊行

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この連載について
とーさんの保護犬日記
困り顔の元保護犬「福」の「とーさん」になった編集者の小林孝延さんが、いとおしくも前途多難な保護犬ライフを語ります。
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