愛猫の定期的な健康診断、してますか? 初心者猫オーナーがドキドキ初体験

目次
  1. 今回健康診断を受けてくれる猫さん
  2. レイちゃん、いざ健康診断を体験!
  3. 健康チェックと一緒に寄生虫予防も
  4. 気になるレイちゃんの診断結果は……
  5. 「気になっていたことが全部聞けて安心!」

 若く、持病もない元気な猫は、ワクチン接種のほかは病院から足が遠のきがち。でも、わが子には元気で長生きしてほしい。そんな飼い主さんにおすすめしたいのが、猫さんの定期健康診断だ。

 今回、これまで病院に行ったのはワクチンを受けたときだけという、元保護猫のレイちゃんが、はじめての健康診断に挑戦!

(末尾に写真特集があります)

レイちゃん(ミックス猫/1歳9カ月/男の子・去勢済)
飼育環境:完全室内・単頭飼育
通院頻度:ワクチン接種や具合が悪いときだけ通院
ワクチン:3種混合接種済み

 レイちゃんは昨年5月、sippoが主催したオンライン譲渡会で、さわこさんと運命の出会いを果たした(くわしくはこちらの記事で)。さわこさんにとって、レイちゃんは生まれて初めて飼う愛猫だ。

 推定月齢10カ月だったレイちゃんは、さわこさんと、近くに住んで一緒にお世話をする友人のももさんからあふれるほどの愛情を受け、スクスク育っている。

「保護団体さんで最初のワクチンを受け、わが家にやって来てからも昨年受けました。健康診断は初めての体験なのでドキドキしています」とさわこさん。検査には、ももさんも一緒にやってきた。キャリーバッグの中のレイちゃんもちょっと緊張気味?

 今回レイちゃんの健康診断をしてくれるのは、苅谷動物病院グループ江東総合病院の白井活光総院長。同病院は、イギリスに本部を置く国際猫医療学会(ISFM)が設けた猫に優しい動物病院の国際基準「CFCCat Friendly Clinic)」のゴールド認定を受けている。

 バッグから恐る恐る顔を出したレイちゃんに「こんにちは! かわいいね~」と、白井先生は目を細めた。

猫の健康診断
どんな質問にも丁寧に答えてくれる白井先生に、おふたりも「優しい!」「わかりやすい!」と感動

 今回の健康診断で検査するのは、以下の項目。

  • 体重測定
  • 問診
  • 全身の触診、視診、聴診
  • 血液検査
  • 尿検査(膀胱穿刺〈ぼうこうせんし〉)
  • 便検査(便を持参)

 レイちゃんはまだ1歳という若い猫のため、このメニューは最低限の項目に絞った内容だという。高齢の猫などはこれにさらに、ホルモン検査、X線検査、超音波検査、血圧測定などが加わるのだとか。

・問診

 白井先生から「気になることがありますか」と聞かれると、「目の周りが赤くなることがあって」とさわこさん。

 ももさんが「魚のフードを食べると赤くなるような……。アレルギーでしょうか?」と尋ねると、「アレルギーの場合、脚の外側や内側、耳の後ろのあたりに症状が出たり、おなかの毛が抜けてツルツルになったりすることが多い。それらはレイちゃんに現時点では見られませんが、ちょっと疑わしいかな?」と白井先生。

 フードを変えて様子を見ながら、同時に、せっかく血液検査で採血するならと、この日急きょアレルギー検査もしてみることに。

・全身の触診、視診、聴診

猫の歯の健診
もしかしたら、レイちゃんは歯が汚れやすい体質かもしれない……とか

 次に、レイちゃんの口臭が気になるということで、口の中をチェック。「歯が少し汚れて歯茎が赤くなっていますね」と白井先生。「できれば1日1回、無理なら3日に1回はハミガキを」と、専用のハミガキシートを使って上下の犬歯と奥歯の表面をふく方法を指導。シートに汚れがついているのを見て、「自宅でもやってみます」とさわこさん。

 また、耳掃除をしたほうがいいかを問うと、「今はキレイですが、もし耳の入り口あたりに汚れがついていたらコットンで優しくふいてあげてください」と、白井先生はこちらも実際に耳掃除をしながらレクチャーした。

・血液検査

 次に血液検査。レイちゃんは1歳と若いので、血液検査では肝臓、腎臓、血糖値など基本的な項目をチェックする。エリザベスカラーをつけ、ちゅ~るをなめさせながら脚から採血。大好きなちゅ~るに夢中になっている間に、無事終了。

猫の採血中
血液検査は内ももの血管から採取するのが一般的

・尿検査

 尿の成分を検査するが、今回は膀胱穿刺で行った。体を保定して超音波で膀胱の形態と内容をチェックしながら、おなかから針を入れて直接尿を採取する方法だ。

 ちょっと不安そうなさわこさんとももさんの様子を知ってか知らずか、レイちゃんは落ち着いて採取完了。看護師さんがなでてくれるのが気持ちよかったようで、むしろウトウト。

 自然排尿した尿でも検査はできるが、「体外に排尿してしまうと細菌などが入ってしまう可能性も。膀胱穿刺なら無菌状態で採取でき、より正確な検査結果を得ることができます」と白井先生。

 レイちゃんのような若い猫はもちろん、高齢になっても可能だという。怖がりなどで暴れてしまう場合は、事前に軽い鎮静剤を服用して検査することもある。

猫の採尿中
採尿には非常に細い針を使用。レイちゃん、検査中にまったく鳴いたり暴れたりせず

 検査結果を待っていると、「せっかく病院に来たのだから、ノミ、マダニ、フィラリアの予防をしませんか?」と白井先生。レイちゃんはこれまで一度も予防したことがないという。

 室内飼いでもノミやダニは外出した人間に付いてくることもあること、犬の病気として知られるフィラリアは蚊を媒介して猫に感染し、寄生することもあり、呼吸困難に陥ったり、突然死につながったりすることもあると説明を受けると、さわこさんも、ももさんも「知らなかった!」と驚いた様子。

 今回使うのは、フィラリア症予防、ノミ・マダニ対策、複数のお腹の虫駆除を1剤で対応できるオールインワンタイプの薬で、シリンジの中の薬液を首の後ろに滴下する。

猫の寄生虫予防薬を滴下
首の後ろに滴下するだけなので、ほんの数分で終了。オールインワンタイプの薬なら、この1本で複数の寄生虫を予防・駆除できる

「毛をかき分け、直接皮膚につくように。何回かに分けて全量を滴下します」と、実演しながら先生は説明する。

「これなら私たちでもできそう」とももさん。さわこさんは「この薬剤だけでノミやダニはもちろん、フィラリアまで予防できるなら安心ですね」。春からスタートし、ノミとダニのシーズンが終わる秋まで月に1回続ける。

※猫がケアするべき寄生虫と関連する病気について、詳しくはこちら 

 そうこうしているうちに、検査結果が出そろった。血液検査も尿検査も、持参した便の検査も、すべての項目で問題ナシ!

 さわこさんとももさんは「よかった!」と胸をなでおろす。「レイちゃんは元気だけど、数値として健康のお墨付きをもらえた。すごく安心感があります」とさわこさん。

 健康診断はどのぐらいの頻度で受けるといいのか。白井先生はこう回答する。

「1年に1回が理想です。特に高齢になると、症状が出たときには病気が進行していることも少なくありません。若いうちから年に1回、動物病院に行くことを習慣づけ、健康なときの体の状態を把握しておけば、病気の予防や早期発見につながります」

 さらに、こう続ける。「たとえば毎年春に受診をすれば、今回のように一緒に寄生虫予防もできて、より安心ですね」

飼い主に検査結果を説明する獣医師
数値を見せながら、丁寧に検査結果を説明してくれる白井先生

 最後に、白井先生はレイちゃんの赤くなっている目の周りに軟膏(なんこう)を塗り、健康診断終了。所要時間は約1時間。料金は24,596円(アレルギー検査は別)。

 なお、後日出たアレルギー検査の結果で、レイちゃんは鳥、豚、牛、七面鳥、カツオ、マグロ、ブタクサ、タンポポ、ダニ、カビ……など、主要な項目はすべて陰性だった。

猫のアレルギー検査結果票
後日届いた、アレルギー検査の結果

 こうしてレイちゃんの初めての健康診断は無事終了。「気になっていたことを全部聞くことができて安心できたし、ハミガキや耳掃除の仕方、寄生虫予防やワクチンのタイミングのことなど、とても勉強にもなりました」と、ももさん。

「かわいいかわいいレイちゃんが健康で長生きできるよう、毎年健康診断を受けたいと思います」と、さわこさんは頑張ったレイちゃんを優しくなでながら、笑顔を見せた。

白井活光獣医師
苅谷動物病院グループ総院長。獣医学博士。1998年日本大学大学院卒業。同グループ「三ツ目通り病院」や「葛西橋通り病院」の院長を歴任。2015年から現職。日本臨床獣医学フォーラム副会長。専門分野は総合臨床。
苅谷動物病院グループ 公式サイト >
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中津海麻子
フリーライター。「酒とワンコと男と女」をテーマに、ワインや日本酒や食、ペット事情、人物インタビューなど幅広く取材、執筆。JALカード会員誌「AGORA」、同機内誌「SKYWARD」、「ワイン王国」「朝日新聞デジタル &w」「好書好日」などに寄稿。

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この特集について
猫の健康のために知ってほしいこと
愛猫と長く健康に暮らすための、獣医師からの珠玉のアドバイス。この特集は「ネコも動物病院プロジェクト」の一環です。supported byベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン
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