犬や猫と一緒に暮らすことの素晴らしさ 大切なペットに何を返せるのか考えてみよう
公益社団法人アニマル・ドネーション (アニドネ)代表理事の西平衣里です。「犬や猫のためにできること」がテーマの連載。今回は、アニドネ主催の投稿することで寄付になる「STORY with PET」から、みなさんにもぜひ読んでほしい投稿を紹介します。こんなに大切な存在にどう向き合うのか、みなさんと一緒に考えたいと思います。(トップ画像の「フランちゃん」投稿全文はこちらから)
なぜ寄付付きの投稿企画を実施したか
今回で3回目となる「STORY with PET」。sippo読者の方も目にしてくださっていたら大変うれしいです。アニドネの活動目的は「日本の動物福祉の向上」。そのために寄付という手段で、現場で活動する団体さんの後方支援をしています。
一方で、保護せねばならない犬猫を生み出してしまうこと(無責任な飼育放棄、尊厳を無視した一部のブリーディングや流通方法など)を改善したいと考えています。そのために、ペットと暮らすことがいかに素晴らしいか、を投稿してもらい、その思いを共有することで動物福祉向上の機運が広がれば、と企画しています。
「ありがとう」や「感謝」がつづられるSTORY
長引くコロナ禍。先の見えない不安や負荷のかかる生活。そんなときに、犬や猫と暮らすことで私たちは何を感じたのでしょうか。多くの方が、改めての気づきがあったようです。
とびっきりの笑顔を見せる『こたろうくん』。飼い主さんはコロナで楽しいところに行けないという文句はあったものの、そばにいるこたろうくんは、家でも近所の散歩でも常にうれしそうだったそう。
「こたろうはどこかに行くのも好きだけど、何をするかじゃなくて誰と何をして過ごすかなんだね。いつも色々教えてもらうけど、コロナになってまたひとつ大事なことを教えてもらったよ」と。
千代ちゃんの飼い主さんの投稿文章に納得です。
「日々の出来事や天気に一喜一憂する私たちをよそに、千代は変わらない日々を粛々と生きています。日々の日課をこなし、優しい目で私たちとコンタクトし、今日も安心した様子で眠る千代。彼女の日々に寄り添うことで、変わらない日々のありがたさを再確認することができるのです」
私は時に犬の精神性の高さに学ぶときがあります。ちょっとしたことでイライラしたり、不満を感じたりする愚かな人間を諭すために人間と暮らすことをご先祖のオオカミは選んだのかしら、と思うときも。
生き方が変わった方も
仕事や生活リズムが変わった方も大変多いと思います。私自身も15歳となる愛犬とこれほどまでに一緒に過ごしたことはありません。犬の1年は人間に換算すると5年以上。シニア期の貴重な時期を日々濃密に過ごせて感謝しています。
小鉄ママさんはこんな投稿をしてくれました。
「コロナ禍でフリーランスの私は仕事が1/4以下に激減。主人も4年半の単身赴任から帰宅し、昨年4月からリモートワークの日々。 コロナ禍のおかげで……、小鉄と家族で過ごす時間が毎日当たりまえになりました。生活リズムはすっかり変わりましたが、小鉄との時間が増え、今後の人生について見直す時間もでき、煩雑な毎日から少し解放されてある意味よかったと思っております」
動物のため新しい活動を始めた方も
緊急事態宣言で、ふいに時間が出来た日々。その時間を動物のために尽くされた方々も多いようです。
緊急事態宣言の直前、ベランダに来た野良猫が3匹のママになったそう。自営のお店が休業となり、もともと一緒に暮らしていた猫3匹と合わせて、なんと7匹のお世話をすることになった飼い主さん。
「妻は毎朝仕事に出かけ、僕は猫7匹の面倒をみながら夕方に買い物に出かけ、夕食を作り妻の帰りを待つ。お店を始めて4年。思い返せばこんなに穏やかに自宅でゆっくり過ごすことがあっただろうか。 世間の喧騒とは裏腹に一時的に家族が増え、楽しい毎日を過ごしていた。
そんな日々が過ぎ、彼らのこれからを妻と話し、彼らの譲渡先を探すことにした。それから少しして子猫3匹の譲渡先が見つかった。彼らは幸せな家庭にもらわれていき、母猫のよしこは我が家の一員に加わることになった。
先行きが見えず、暗い気持ちで過ごすはずだった自粛期間は緊急事態宣言とともに現れ、緊急事態宣言解除とともに去っていった子猫たちのおかげで忘れられない思い出となった。 ベランダに来てくれてありがとな、よしこ」
優しい方がいることをわかって、よしこちゃんは出産場所を選んだのかもしれないですね。
困っている保護動物のための活動を始めた方もいます。一時預かりの活動をはじめた、うささん。保護犬猫はシェルターだけでなく一般家庭でステイをして、新しい飼い主さんとの出会いを待ちます。
「少しでも役に立てればいいなと思って始めた預かりでしたが、その子達に癒やしてもらい元気をもらい笑顔をもらっていたのは、ホストファミリーの私たちでした」と。トイプードルのせいちゃんは目がキラッキラの美人さん!
「行動変容が叫ばれる中、マスクと消毒の対策のみで今まで通り満員電車に乗り会社や学校で過ごすのは、とてつもないストレスで、ちょっとしたことでイライラしたり、ギスギスしがちな毎日ですが、家に帰ると、とびきりの笑顔で出迎えてくれて、おちゃめなしぐさで笑わせてくれるせいちゃんは最高です!」とステイホーム時間をうまく活用されている、うささんです。
丁寧に生きるという意味を教えてくれる存在
投稿を読んでいて、ただかわいいという感情以上のものをペットたちに感じている方々が多いと思いました。もちろん、私もその一人。コロナ禍というまるで戦時下のような不安で不便な時期が長引くにつれ、生かされているありがたみを心から感じます。
そして、犬や猫は、単なる従属物ではなく、共に暮らすパートナーであることが明確になってきました。むしろ私たち人間のほうが恩恵が多いのではないでしょうか。オーストラリアに暮らしたご経験のある方の投稿がとても印象的でした。現在は日本でトイプー2匹と暮らすPluralismさん。
「コロナ禍で寂しさを紛らわすためにペットを飼う人が増えている中、家族を増やすという覚悟まで持たずに飼ってしまった人もいるだろうとおもう。飼育放棄が増えるリスクは怖い。でもこの人間が弱った時期にどれだけペットが癒やしてくれたか、家族の一員として飼い主のウェルビーイングに貢献できるかを世間が気付く良い機会になるのではないかと期待もある。
犬猫はたくさん話しかければ話しかけるほど言葉も覚えるし、複雑な表情もする。強気の顔、心配そうな目つき、白けた表情。人からの働きかけが増えるほどペットの個性が磨かれてくる。コロナでたくさんの時間をペットと過ごせる時期だからこそ、一匹一匹の個性に気づくチャンスがある。この時間を通じてペットに対する認識が『めでる対象の所有物』から『相互依存の家族』へと大きく切り替わっていくとうれしい」
犬猫と暮らすと精神が安定したり、一緒に散歩に出ることで寿命が延びたりするというデータもあります。私たちを支えてくれる犬猫たちを、日本はもっと尊重すべきだと、500を超える投稿を読んで思いました。
動物福祉に配慮した環境を整えるのは人間側でしかできません。コロナ禍、大切なものを見極めたときに、ペットたちへの配慮が出来ている人間なのか、を見定めて私たち自身が変容していきましょう。動物に対して優しい国、と言われるためにSTORYに投稿してくれた飼い主さんのような方がもっと増えることを願って、アニドネの活動を続けます。
◆「STORY with PET」第3弾キャンペーンは終了しましたが、閲覧はできます。愛がぎゅっと詰まった投稿をこちらからお読みください。
(次回は3月5日に公開予定です)
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