道で野良の子猫を見かけた… 放っておけない、どうしたらいい?

 公益社団法人「アニマル・ドネーション」(アニドネ)代表理事の西平衣里です。道で野良猫らしい子猫を見かけてしまった。切なそうな表情が気になって頭から離れない……。今回は、そんな時にどうしたらいいかを考えます。

(末尾に写真特集があります)

 歩きなれた道での、予期せぬ出来事。

 ちらりとこちらを見て走り去る小さな猫の姿、脳裏に焼き付いたのは切なそうな猫の瞳……。

「おうちはあるのかしら? 痩せてたけど、お腹空いてるのかな。雨が降りそうだけど……」

 1秒、いやほんの0.5秒くらいの間に様々な考えが浮かびます。

「子猫? 親はいるのかな。車道に走っていったけど、車にひかれないかな。なんとかしてあげたいけど……うちじゃ飼えないし……」

 一度通り過ぎても、頭から離れず、同じ時刻に同じ道をゆっくり歩いて見たりしていませんか。無事な姿を見れば安心。でも何もできない自分にどうしたらいいか分からず、コンビニで買った猫缶をそっと道端におくことで懺悔した気分になる。もしくは、記憶から消し去る努力をする……。

 sippoを読んでおられる方なら、この気持ちを共有できるのではないでしょうか。

じっと見つめる猫
じっと見つめる猫

一緒に暮らせなくてもやれることはある

「会社の駐車場に猫が住み付いてます。どうしたらいいですか。うちではすでに2匹の猫を飼っていてこれ以上は無理なんです。」

「裏庭に猫の親子がいます。保護してくれる団体を紹介してください」

 アニドネにこんなお問い合わせをよくいただきます。

 ただし、アニドネは中間支援組織で、自分たちで保護活動はしていません。また、現在16団体を支援させていただいておりますが、保護団体の皆さんのほとんどはボランティアで日々忙しくしています。現場に急行できる保護団体さんはほとんどいないのが実情です。

 動物愛護センター(保健所の場合も)に電話をすると、捕獲はしてくれるかもしれません。でもエリアによっては、残念ながら、その後、殺処分されてしまう可能性が高いのです。

 では、どうするか。あなたが、動きましょう。動いてみましょう!。目が合ったのも、なにかのご縁です。

 具体的な行動をご紹介する前に、日本の野良猫事情をご説明します。

まるでヴェニスの仮面をつけたようなおしゃれな子。ただいま家族を募集中
まるでヴェニスの仮面をつけたようなおしゃれな子。ただいま家族を募集中

保護されたら処分の憂き目に

 2016年度に自治体によって引き取られた猫の数(飼い主らに持ち込まれる、もしくは捕獲された頭数)は72,624匹です。その中で殺処分になったのは45,574匹。このうち離乳していない子猫が29,654匹でした(環境省『犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況』)。

 つまり愛護センターに収容された猫たちで譲渡されていくのは、まだ半分にも満たなくて、63%は殺処分(なんとイヤな言葉なのでしょう)され、そのうち65%はまだ赤ちゃん猫ということになります。幼い猫は人間の赤ちゃんと一緒で、ミルクや排せつなどを数時間おきにお世話する人が必要です。行政にはその時間がない。苦渋の選択かもしれませんが、人間の都合で、1日平均125匹の命が絶たれているのです。

一人で抱えこまず、人に頼る

 猫の保護に関わらず、問題解決には情報収集が基本です。そして一人だけで行おうとするのはやめて、詳しい人を頼りましょう。あなたが今から行おうとすることは、とてもイイコトです。協力しようとしてくれる方がきっと出てきます。

 より具体的な方法をご紹介したいので、アニドネの認定団体で特定非営利活動法人「ねりまねこ」の副理事長・亀山嘉代さんにお話を聞いてみました。

「まずは、小さすぎる猫は親が近くにいるかもしれないので、簡単には手を出さないことも大事です。人間の匂いがつくと親猫がお世話をしなくなる可能性もあるのです。そしてエサやりをしている人がいるのか、住み着いた猫たちの糞や尿で困っている人がいるのか、猫の様子を見ながら探ってみるといいと思います」(亀山さん)

 見過ごせない人はあなた以外にも、おそらくいっぱいいます。エサをあげている近所の人もいるかもしれません。実は色々な名前を持つご近所のアイドル猫かもしれません。まずは、その周辺事情を探って見ましょう。

 そして、味方になってくれるのは、近所の動物病院です。ペットと暮らしてなければ、決して行かない場所でしょうが、動物のプロがいる場所です。また、動物病院へ患者(犬猫たち)は徒歩で通うことが多いため、徒歩圏内の動物好きが集まる場でもあるのです。

特定非営利活動法人「ねりまねこ」副理事長の亀山 嘉代さん(右)と、筆者である公益社団法人「アニマル・ドネーション」代表理事の西平衣里
特定非営利活動法人「ねりまねこ」副理事長の亀山 嘉代さん(右)と、筆者である公益社団法人「アニマル・ドネーション」代表理事の西平衣里

「動物病院によっては、捕獲器を貸してくれたり、1泊数千円で猫を預かってくれたりする病院もあります。そして、お住いのエリアの動物保護センターには必ず捕獲器があります。すべてのセンターが対応してくれるわけではないのですが、ボランティアさんに捕獲器の貸し出しをしている行政もありますよ。また一部の行政によっては、不妊去勢手術費用を負担してくれるところもあります。動物のために活動する方も、実はとても多くいて『住所 猫(または犬) ボランティア』で検索すると意外と近くに頼れる方がいるかもしれません」(亀山さん)

 子猫のうちは人間への不信感がありません。人馴れしているのならチャンスです。

 捕獲器で保護した後は、おそらく2〜3週間でお世話に慣れてきます。最初は猫も慣れず、こちらも日常のリズムが変わり、てんやわんやでしょう。ですが、ここも仲間をみつけてください。家族で協力する、周りの猫好きに話をすると喜んで色々なアドバイスをくれるでしょう。動物病院に連れて行き、健康チェックや不妊去勢手術のアドバイスを必ず受けましょう。

 お世話をしているうちに情が移って、そのままうちの子に、というのはよく聞く話。だけど、どうしても一緒に暮らせない環境ならば、譲渡先を探して幸せにしてあげましょう。『ペットのおうち』など、いくつか「里親探しサイト」があります。情報サイトに掲載してみましょう。動物病院に飼い主募集の張り紙を依頼してみてください。出会った猫のために行動したあなたの依頼なら快く応じてくれる可能性があります。

保護活動は特別なことではない

 野良猫を救う。そのことで色々と考えてしまうかもしれません。ご近所のコミュニティを知る、日本の動物をとりまく問題を知り、自分にできることを見つけるきっかけになる。犬や猫はなぜペットになったのか、生きものたちとどう共生していくべきか、と思いが広がるかもしれません。

 見過ごさない勇気を持ち、救いたいキモチを次こそカタチにしてみる。そんな人が増えれば、日本の動物福祉が向上すると思います。

 次に野良猫と目があったら、あなたは選ばれし人! ぜひ、この記事を思い出して、一歩を踏み出してみてくださるとうれしいです。

 次回は同じく猫をテーマに。TNR活動(* trap, neuter, return 地域猫を捕獲(トラップ)して避妊手術(ニューター)を施し、元の場所に戻す(リターン)活動をご紹介する予定です。

アニドネ
公益社団法人アニマル・ドネーションが運営している、日本「初」の動物専門寄付サイト。「大好きな動物のために寄付したい」そんな優しい「キモチ」を寄付という「カタチ」でお届けできます。寄付のチカラで「日本の動物福祉を世界トップレベルに」をミッションに掲げ、約40名のスタッフで活動中。

西平衣里
(株)リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ」の創刊メンバー、クリエイティブディレクターとして携わる。14年の勤務後、ヘアサロン経営を経て、アニマル・ドネーションを設立。寄付サイト運営を自身の生きた証としての社会貢献と位置づけ、日本が動物にとって真に優しい国になるよう活動中。「犬と」ワタシの生活がもっと楽しくなるセレクトショップ「INUTO」プロデユーサー。アニマル・ドネーション:http://www.animaldonation.org。INUTO:http://inuto.jp

sippoのおすすめ企画

病院が苦手なネコも、健康のために定期的に動物病院で受診しましょう。Instagramで動物病院の写真投稿を募集中!投稿1件につき100円を不幸な猫のために寄付します。

この特集について
犬や猫のために出来ること
動物福祉の団体を支援する寄付サイト「アニマル・ドネーション」の代表・西平衣里さんが、犬や猫の保護活動について紹介します。
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