ついに鼻キスのごあいさつ! 先住犬「福」と兄妹猫「トモモエ」の記念すべき1年

 月刊誌『天然生活』『ESSE』で編集長をつとめ、数多くのヒット書籍をつくり続けている編集者の小林孝延さんこと「とーさん」は、元保護犬「福」と元野良猫の「トモ」「モエ」と暮らしています。猫たちを迎え入れて1年、今年を振り返ります。

(末尾に写真特集があります)

この1年を漢字で表すなら

 今年も早、年の瀬。新しい年が始まったと思ったら、すぐにコロナ禍になり、まさかの緊急事態宣言……。マスクやトイレットペーパーが買えないと右往左往しているうちに季節はどんどん過ぎていき、夏になっても一向におさまる気配がないまま、気がつけばGOTO。出かけようと言ったと思えば、今度は出かけるなと言われ、ふと気がつけば、もう年末かよ!という、なんだか本当に実態のない1年といいましょうか、今までに経験したことのない不思議な時間の経ち方を体感した1年でした。

 そんなとーさんにとってこの1年を感じ一文字であらわすならば、ずばり

「猫」

 こんだけ前振りしてコロナ関係ないんか!というか、猫て、そのまんまかい!!ということですが、ええ、今年はベランダに餌を食べにきていた野良猫兄妹を我が家に迎え入れた記念すべき年でした。

犬と2匹の猫
同居当初の距離感。お互いのセーフティーゾーンを侵さない暗黙の了解

 保護するまでの経緯はこの特集でも何度かお伝えしてきましたが、今日はじゃあ1年たった今、猫兄妹はどうなっているのか?先住犬の保護犬福との関係はどうなのか??について書いてみたいと思います。

また警戒心の強い子を引き取った

 年末に家に閉じ込め、家庭内”野良”の状態でしばし過ごしたのち、リビングで捕獲器をしかけて保護した2匹、雄猫おにーちゃんのトモと、雌猫妹のモエ。まだまだ幼いとは言え、すでにストリートキャットして生きてきたせいか、やたら警戒心が強く、当然のことながら抱っこはおろか触らせてもくれません。ちょうど4年前、我が家にやってきた元野犬の福の苦労を思い出します。

 本当に毎度毎度こうして手のかかる子を引き取ってしまうとーさん……まあでもいいんです。だれかがこうやって面倒みないといけないんだから(言いわけか)。

ソファの上の犬と猫
ソファでいっしょにくつろぐ、福とモエ。その距離も最近は近づき気味

 とーさんにとっては、触れないとか抱っこできないとかはどーでもよくて、先住の福とトモモエがうまくやっていけるか?争いはしないか?これが最大の心配ごとでした。

 でも、ありがたいことに福は本当におだやかに2匹を迎えてくれました。もちろん興味津々&警戒心満々なのではありますが、もともと「鳴け!」といってもうんともすんとも言わないほど無口な福。トモモエを前にしてもうなり声ひとつあげないのです。

 それどころか、そのうち、尻尾フリフリ前傾姿勢。遊ぼうよってなポーズで誘うんです。でも、このお誘いには先制猫パンチで手痛いお返事をうけたのでした。けなげな福のかわいさよ。鼻から血が出てました……。まあ、みたこともない巨大な犬に心を許すわけはないですよね。

妹猫の「モエ」が尻尾をピンと立てて

 でも、わかりやすい正面衝突はこの1回のみ。その後はお互いがしっかりソーシャルディスタンスを守りつつ、一つ屋根の下で不器用ながらも共存をはじめたのでした。

 そんな両者の関係に変化が現れたのはいつごろだったでしょうか。あるとき、突然、妹猫のモエが尻尾をピンと立てて震わせながら福に近づいていくようになったのです。

犬と猫
近頃はトモと福が急接近中。もともとトモは人懐っこいから案外うまくいく??

 猫にとってお尻の穴は特別な場所らしくてですね、お尻の穴を見せるっていうのは相当なスペシャルサービスだっていうじゃないですか。モエはそうやって「見て見て!」とばかりに福に近づくようになりました。

 福はそんなモエを前にしてとっても困惑してましたね。

「え?どーしたらいいの?とーさん教えてよ」

 と言わんばかりの得意の困り顔をこちらにむけるのでした。

決定的な変化が訪れた日

 その後もあいかわらずモエからアプローチはするもののそれを受け止められない福。そして福とは一定の距離を保ったままのトモという関係が続いていました。

 しかし、ある日その関係に決定的な変化が訪れる日が来ました。それは新たな野良猫たちがベランダに現れたときのことでした。

 なんだかリビングの猫たちが騒がしいな、と思ったらベランダに黒猫軍団が!!思うに彼らはトモとモエの親族のような気がするんです。だって柄もそっくりだし。

 で、トモもモエも興奮して右に左に大騒ぎ。そんな騒ぎを聞きつけた福も参戦して、なんだかにぎやかな雰囲気になったそのどさくさに紛れて、なんと福とトモが初の鼻キスのごあいさつ!!お互いに自分たちのチームの確認をしたのでしょうかね。ちょっとびっくりな瞬間でした。

これがその決定的瞬間。どさくさで鼻キスしてます(笑)

 コロナの影響でとーさんが自宅にいることが増えたことも、お互いの距離を縮めるのに一役買ったといえるでしょう。

 そして今、そんなにベタベタするわけでもないですが、いがみ合うでもなし。一緒のソファでぐーすか眠り、窓辺でくつろぎ、お互いが同じエリアで生きる共存関係だと意識していると確かに感じるようになったのです。

 世界的には本当に大変な1年でしたが、とーさんと福、トモ、モエにとっては記念すべき1年でもあった2020年。2021年度はさらに距離が近づいて、家族になれるかな?そんな妄想を膨らませるとーさんなのでした。

◆小林さんが発行人を務める月刊誌『天然生活』のサイトはこちら

【前の回】愛犬「福」のくんくん散歩 においのサインを嗅ぎ取って犬にだけ見えている世界がある

(次回は1月16日に公開予定です)

小林 孝延
福井県出身。編集者。月刊誌『天然生活』創刊編集長、『ESSE』編集長などを歴任。2023年10月に著書『妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした』(鳴風舎)を刊行

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この連載について
とーさんの保護犬日記
困り顔の元保護犬「福」の「とーさん」になった編集者の小林孝延さんが、いとおしくも前途多難な保護犬ライフを語ります。
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