犬が隣にいるだけで楽しくなる 一緒に暮らす責任と喜びとは

大吉(右)と福助。にぎやかな多頭暮らしを満喫する穴澤さん(世界文化社提供)
大吉(右)と福助。にぎやかな多頭暮らしを満喫する穴澤さん(世界文化社提供)

 愛犬との日々をつづるエッセーが人気の、フリーライター穴澤賢さんの新刊「犬の笑顔が見たいから」(世界文化社)が発売されました。愛犬「富士丸」との突然の別れから、保護犬の「大吉」と「福助」を迎えて、「山の家」の夢をかなえるまでの日々がつづられています。穴澤さんに犬との暮らしの楽しみやコミュニケーションの方法、ペットロスの先についてうかがいました。

(末尾に写真特集があります)

犬は感情表現がストレート

――3匹の犬と暮らしてきた穴澤さんが思う、犬との暮らしの楽しみは何ですか?

 説明しづらいんですけど、犬が隣にいるだけで何だか楽しくなるんですよ。それに犬がうれしい顔をするのを見たいから犬が好きなことをする。犬のうれしい顔を見ると僕も楽しくなる。そういう連鎖があると思います。

 まずは犬が喜ぶことをしてみるといいと思う。難しく考えなくても犬の表情に答えがありますよ。犬は感情表現がストレートだから、気持ちがわかりやすいじゃないですか(笑)。

愛犬のこんな笑顔が見たくなる(穴澤さん提供)
愛犬のこんな笑顔が見たくなる(穴澤さん提供)

――書籍の中で、犬のコミュニケーション方法について書かれていますね。

 飼い主さんならわかると思うんですけど、おやつがほしいときでも「くれ!」と言う単語派の“犬っぽい”犬と、「おいしそうだから一つだけいただけませんか?」と言う文章派の“人っぽい”犬がいるんですよ。うちでは福ちゃんが単語派で大吉が文章派。今思うと富士丸も文章派でした。犬に合わせた接し方をしてみるといいと思いますよ。

――楽しい日々の中で、悩んだり困ったりすることもあったと思います。

 富士丸は破壊王だったので、“育犬ノイローゼ”をちょっと経験しました(笑)。大吉は優等生なので楽でしたが、福ちゃんはトイレを教えるのに苦労したんですよ。「トイレでおしっこして!」と言い聞かせたり。

寝相にも性格が現れている?(穴澤さん提供)
寝相にも性格が現れている?(穴澤さん提供)

 僕が昔から一貫しているのは、トレーニングでコマンドを教えることはなくて、普通に話しかけることです。「ちょっと待って」とか、人間と接するようにコミュニケーションをとっていますね。

――しつけに夢中になりすぎないことも大切なんですね。

 「犬は何も悪くない」というスタンスに立つように心がけています。人間の生活様式を覚えてもらうわけだから、時間がかかるんだと思う。それに犬は3歳になれば落ち着きます。こっちも共同生活をするうえで守ってほしいルールが見えてくるので、家庭ごとに落としどころを見つけるといいと思いますよ。

愛犬が同居人から家族に変わった

――ペットロスを経験すると「もう犬を飼わない」という人もいます。穴澤さんが再び犬を迎えようと思ったきっかけは?

 僕も富士丸との突然の別れを経験して、もう犬を飼うことはないだろうと思いました。想像以上に悲しいんですよね。でも毎日のように保護犬の譲渡サイトを眺めていて、またいつかと犬と暮らしたいなあと。ただ、富士丸の面影は追わないと決めていました。

子犬の頃の大吉(穴澤さん提供)
子犬の頃の大吉(穴澤さん提供)

 2年くらい経って偶然に気になったのが白い子犬で、それが大吉。2匹いたら楽しいかなと思って次に福ちゃんも。「次の犬を飼ったら前の犬に悪い」と言う人もいますけど、全然そんなことない。心の中にずっといて忘れないですよね。僕は犬と別れたらまた犬と暮らしたほうがいいと思う。

――1人と1匹の生活から、結婚されて2人と1匹になり、2匹になりました。犬たちとの関係は変わりましたか?

 富士丸と暮らしていたときは1対1の濃厚な関係でした。たとえるなら同居人ですね。今は妻と2匹で家族に変わった気がします。

一緒に寝る幸せ(穴澤さん提供)
一緒に寝る幸せ(穴澤さん提供)

 僕が仕事部屋にいるとき、犬たちは別室で寝たり遊んだりして勝手に過ごしているんです。だから僕は関係ないのかなと思うじゃないですか。でも2匹がバトルするのは僕が見ているときだけ。犬なりに家族として存在を意識していると思いました。

犬との約束をかなえた「山の家」

――犬の笑顔が見たいから、行動し続けているのですね。

 今は生活の基準がすっかり犬中心です。犬がいなかったらテレビを見ながらお酒を飲んでぼんやり過ごしていたと思う。犬はこっちが選んでいるようで、実は選ばれているんじゃないかと思いますよ。

 保護犬の大吉を迎えてから、犬猫の保護団体の支援も始めました。僕が運営している犬用グッズのオリジナルブランド「DeLoreans」の収益を寄付しています。犬を迎えるときに譲渡という選択肢があることを知ってほしいですね。

「DeLoreans」の由来は富士丸につけた架空の犬種名から(工藤雄司撮影/シンフォレスト)
「DeLoreans」の由来は富士丸につけた架空の犬種名から(工藤雄司撮影/シンフォレスト)

――山のふもとに週末移住する暮らしを続けているそうですね。

 大吉も福ちゃんも自然が多いところへ行くと、いつもと違う顔になって目を輝かせて走るんです。4年前に鎌倉へ引っ越したのも、海で遊べたらきっと喜ぶだろうと思ったから。実際は全然喜ばなかったけど(笑)。2匹とも山のほうが好きですね。

 それで週末移住に詳しい知り合いに相談して、「山の家」を買おうと思いました。富士丸と暮らしていた頃にも計画していたけど、あいつが亡くなって8年経って、大吉と福ちゃんと暮らしながらかなうとは思わなかったですね。富士丸との約束も果たしたことになるかな。

 今はSNSで気軽に犬猫の動画を見られるけど、本当の楽しみは実際に暮らしてみないとわからない。犬と暮らしたら、散歩もごはんも全部世話をしないといけないですよね。そういう責任を負うことでわかる喜びもあると思います。本書が犬と暮らすきっかけになったらうれしいですね。

犬の笑顔が見たいから
著者:穴澤 賢
発行:株式会社世界文化社
定価:1,500円+税
A5判 192ページ
(書影をクリックすると、アマゾンにとびます)



金子志緒
ライター・編集者。レコード会社と出版社勤務を経てフリーランスになり、動物に関する記事、雑誌、書籍の制作を手がける。愛玩動物飼養管理士1級、防災士、いけばな草月流師範。甲斐犬のサウザーと暮らす。www.shimashimaoffice.work

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