地震で母猫が失踪 残された子猫2匹はゴミを漁って生きていた
2匹の子猫を連れていた野良の母猫が、地震のショックで姿を消した。子猫たちは食べものを探すすべさえ知らず、保護された時は栄養失調で、生後3カ月なのに、とても小さかった。
子猫を残して消えた母猫
2018年6月18日、最大震度6弱の大阪北部地震が襲った。地震のショックで、飼い猫が逃げ出したり、犬が行方不明になったりすることが相次いだ。飼われたペットだけでなく、野良猫や野良犬にとっても、ショッキングな災害だったらしい。
大阪に住む三井さんは、当時8匹の猫を飼っていて、家の中にも猫グッズがあふれているような愛猫家。高校3年生の息子も、気にかけていた親子の野良猫がいた。
地震から数日後、しとしと小雨が降り続く日に、息子が「子猫が死にそうだ! 助けて」と、息せききって帰ってきた。親子で一緒にいたのに、地震で母猫がどこかに行ってしまい、子猫が2匹だけ残されているというのだ。
最初は6匹のきょうだいだったが、1匹は保護した人がいて、3匹は育たなかったようだった。
ゴミをあさって生きていた子猫たち
小雨が降っているにも関わらず、三井さん親子は、子猫を目撃した場所に自転車でかけつけた。母猫がいなくなって残された2匹の子猫は、飢えをしのぐために、ゴミをあさって食べていたようだった。三井さんが発見した時も、卵の殻を必死でむさぼっていたという。
三井さんは、息子に自宅に置いてある猫を保護するための道具を持ってくるように言った。自宅には、タオルやキャリーケース、洗濯ネットをいつも常備していた。
子猫とはいうものの、野良暮らしをしていた猫は警戒心が強い。三井さんが近づくと、1匹が一歩前に出て、シャーッと威嚇してきた。
それでも、お腹が空いていたのだろう。洗濯ネットの中にキャットフードを入れて待つと、子猫を1匹ずつ捕獲することができた。
決まらなかった譲渡先
保護した子猫を入れる部屋はなかったので、その日の夜は、とりあえず風呂場を温めて一晩過ごさせた。最初こそ、文字どおり借りてきた猫のように大人しかったが、お風呂に入れると、湯船で泳ぎ、触ることもできた。キャットフードには驚くほどがっついたという。
翌日、動物病院に連れて行くと、480グラムと560グラムで、推定生後3カ月だった。月齢からすると小さすぎる体。三井さんは当初、生後1カ月くらいだと思ったという。栄養失調で、発熱もあり、真菌にも侵されていた。3週間~1カ月程度、三井さんの寝室で子猫を隔離して暮らしたが、先住猫たちは大好きなお母さんの部屋に知らない子猫がいるので、やきもきしたようだった。
三井さん宅はすでに8匹の猫を飼っていたので、新たに2匹を迎えるのは無理だと考え、譲渡先を募集した。「でも、タダならもらうと言われたり、譲渡条件に同意が得られなかったり。そもそも真菌を持っている猫を2匹ももらってくれる人はあらわれず、いつの間にか季節は冬になっていました」
三井さん一家は家族会議を開いて、2匹を家の猫とするかどうか話し合った。2匹にはトラくんとアズキちゃんと名付けられ、2018年12月末、正式に三井家の子になった。
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