崩壊寸前に保護されたハチワレ猫 新しい飼い主を笑顔にした
「美容院をしている人が、猫を多頭飼育していて崩壊寸前」。そう聞いた猫ボランティアが「何かお手伝いできないか」と声をかけた。保護したり、TNRをしたりして、多頭飼育崩壊は免れた。その保護した中に、背中の毛が抜けた若い猫もいた。
家の中と外に40匹の猫
辻本さんが知人から聞き、大阪府内のその美容院に連絡をとったのは、2017年6月のこと。家の中で飼っている猫と、エサを与えている外猫、合わせて40匹以上もいるとのことだった。辻本さんは不妊手術が必要な猫には手術を受けさせ、子猫を連れて庭にご飯を食べにくる母猫はTNRをした。さらに屋内で飼っていて譲渡ができる猫は譲渡したという。
ナヴィちゃんもその中の1匹。「この子は、しっかり可愛がっていただけるお家に行くのがいい」と美容院の人も言っていたという。
背中の毛が抜けた猫
当時、ナヴィちゃんは背中の毛が抜けていた。辻本さんはTNRや譲渡活動の支援をしている天美動物診療所の橋本知也獣医師に診察してもらった。最初はなぜ毛が抜けるのか分からず、当面、辻本さん宅で他の猫と隔離して預かり、原因を調べることになったという。
1カ月も経つと、背中の毛はだんだん生えそろっていった。菌やウイルスが原因ではなく、「寂しいよ、かまってよ病」だったようだ。元の飼い主が身内の不幸のため、あまり構ってあげられなかったことが原因だと考えられた。
ナヴィちゃんは、それから半年くらい辻本さん宅で過ごし、その後、猫カフェ「micia-micio(みーちゃ・みーちょ)」でデビュー。本格的に譲渡先探しをすることになった。
笑顔を忘れていた彼が笑った
大阪に住んでいた松田さんは、パートナーが仕事で多忙なあまり、まったく笑わなくなっていることが気になっていた。
「猫のエネルギーを猫好きな彼にあげたい」と思い、一緒に大阪にある猫カフェmicia-micioに行ってみた。すると、彼がナヴィちゃんを見て笑ったのだという。
それまで笑うことを忘れたような彼だったが、毎日、ナヴィに会いたいと電話してきた。「この子が彼を笑わせてくれた。カフェに半年間いたけれど、もらい手がないし、きっとこれは運命だろうと思いました」
その後、「ナヴィちゃんに家族になってもらおう」と、再び彼と一緒にカフェを訪ね、2018年3月、正式に譲渡してもらった。その時、ナヴィちゃんは2歳。兵庫県の彼の家に迎えられた。
ナヴィちゃんにメロメロだったのは松田さんも同じだった。ナヴィちゃんの顔が見たくて、パートナーと暮らすため引っ越しまでしてしまったのだった。いまは、もう1匹の保護猫も加わり、2人と猫2匹、猫三昧の生活を満喫している。
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