犬にどう向き合うか 映画「駅までの道をおしえて」から考える

 公益社団法人アニマル・ドネーション(アニドネ)代表理事の西平衣里です。いよいよ10月18日(金)に公開される映画『駅までの道をおしえて』。TVや雑誌等でもこの秋の話題の映画、として紹介されています。

(末尾に写真特集があります)

 アニドネは、この映画に協力をしています。どのような協力をしているか、を少し説明します。映画の本格撮影前に、橋本監督をはじめ映画製作会社の方へ「日本の動物福祉の問題点」をお伝えしました。もともと猫好きな橋本監督は動物に対する理解が深い方であり、現状を自分の足で見に行かれるなど積極的に情報を得てくださいました。また、映画に登場する犬(ルース役)を探すお手伝いをしたり、ルースのドッグトレーナーさんをご紹介したり、そして出来る範囲で映画の宣伝のお手伝いをがんばっています。

 寄付サイトを運営する私たちの目的は「日本の動物福祉を世界トップレベルに」に、です。この映画は動物福祉が主題の映画ではありません。ですが、犬のかけがえのなさ、犬にどう向き合うことが大事なのか、を主人公サヤカの行動を通じて感じさせてくれる映画です。だから私たちの目指す世界を伝えられるに違いないと思っているのです。

映画ポスター『その駅は、ひとりぼっちの2人が信じた小さな奇跡。』
映画ポスター『その駅は、ひとりぼっちの2人が信じた小さな奇跡。』

愛犬に「ありがとう」と言いたくなる映画

 ネタばれはNGですから、詳細は残念ながら書けません。ですが、私はすでに3回ほど見ているにもかかわらず、最初から最後まで泣けます。私は子供を産んでからは、映画を見る回数は減ってしまったのですが(そして見る映画はほぼ子供向けのトホホ状態)、もともとは映画が大好きです。そんな私内ランキングで史上最高に泣ける映画となりました。

 といっても悲しくて流す涙ではなく、晴れやかな気分になる涙です。見終わったあと食事をして帰るのはやめて急いで家で待つ愛犬を抱きしめて「ありがとう!」と言いたくなります。私と暮らしてくれてありがとう、と心から言いたくなります。

 簡単なあらすじを映画『駅までの道をおしえて』公式HPから紹介しますね。

【公式HPより】
 いつも一緒だった愛犬のルーがいなくなった―。周りの大人たちはもう戻ってこないと言うけれど、8歳のサヤカは信じることができない。ある夏の終わり、サヤカは一匹の犬に導かれ、喫茶店のマスター・フセ老人と出会う。彼もまた、大きな喪失を抱えて独りで生きていた。別れを受け入れられない二人は、互いのさびしさに寄り添ううちに、思いがけない友情で結ばれていく……。

 私たちが人生を歩む上で避けては通れない、愛する者との永遠の別れ。それでも人は誰かと悲しみを分かち合うことで、また新しい何かを築くことができる。限りある命を懸命に生きることで、歓びを味わうことができる。作家・伊集院静の短編を原作に、年齢、性別、立場、さらには種を超えた魂のふれあいを描く珠玉の映画が誕生した。

大事な人や犬への愛があふれているSTORY

 どうでしょう。「悲しいのはイヤだから見たくないかも」というアナタ。そうは言わず、私を信じてぜひ劇場に行ってください。もちろん、悲しくなる設定はありますが、それを上回るほどの大事な人や犬への愛があふれているSTORYなのです。ファンタジー部分もありますから、現実にどっぷり浸る悲しみの涙ではありません。

 私は試写会に行った方々へは、ハンカチでなくタオルを持って劇場に行ってください、と伝えてます。

映画『駅までの道をおしえて』から。フセ老人とサヤカの出会いのシーン。犬がきっかけで出会う
映画『駅までの道をおしえて』から。フセ老人とサヤカの出会いのシーン。犬がきっかけで出会う

なぜ犬は、人と暮らすのか

 一説では、世界には3億匹いるといわれる犬。家畜でもなく、かつ飼育するのに人間側がコストを捻出せねばならない存在でここまで数を伸ばしているのは生物戦略として大成功、快挙であると書いてある本もあります。

 犬が他のペットと違う大きな特徴は高度なコミュニケーション能力だと思います。いい意味の擬人化で考えると、喜怒哀楽以外の感情を彼らは持っており、唯一人間のキモチと同期する動物だという学術結果も出ています。ぐっと人の心にはいってくるかわいさったら。私自身なぜ、こんなにも犬(猫も好きですが!)にひかれるのか、と思います。

 私なりの考察。人の心にぐっと入り込んでくる犬という存在。ただ愛でる対象だけではなく、この地球上で2万年以上も前から共に生きてきました。犬にはもはや帰るべき自然はありません。人間が自分の都合で犬という存在を作ったのか、逆に犬が人間に寄り添うことを選んだのかはわかりません。

 しかし、犬の人間への深い愛にふれるたびに、愚かで時に判断を間違う人間のために犬側から寄り添って生きることを選んだのではないかと、私は感じるのです。触るだけで人を癒やすチカラを持ち、言葉で否定しない姿勢、まっすぐに生きて死を迎えること、まさに自らの命で人間側に『命の大切さ』を教えてくれている存在なのです。

劇中の2匹の犬たちのリアルストーリー

 劇中には2匹の犬が出てきます。ポスターに出ているのは白い犬「ルー」。柴犬です。もう1匹茶色いスレンダーな犬が出てきます。役名「ルース」。本名は「ミノルカ」といいます。実はミノルカちゃんは、アニドネが支援している認定団体の特定非営利活動法人 アニマルレフュージ関西(アーク)さんで保護された元野犬です。何年もノラとして山をさまよっていたお母さん犬と一緒に保護された犬なのです。

 そして、現在は撮影中に仲良くなったルーと一緒に譲渡先のお宅で一緒に暮らしています。保護犬(しかも野犬!)だったミノルカちゃんが銀幕デビューを成し遂げたことを本人(犬)が意識しているとは思えませんが、少し怖がりだったミノルカちゃんが映画撮影中にどんどん成長をしていったそうですから、きっとがんばったのでしょう。すごくいい演技をしていますよ!

映画『駅までの道をおしえて』から。マズルが黒くて茶色い毛並みのルース役のミノルカちゃん。割とよく野犬にいるタイプです
映画『駅までの道をおしえて』から。マズルが黒くて茶色い毛並みのルース役のミノルカちゃん。割とよく野犬にいるタイプです

映画を見て語り合い、動物愛を広げよう

 今私たちアニドネが活動して直面するのが、動物福祉にいかに興味を持ってもらうか、です。犬猫が大好きでも「動物福祉」という分野には興味がなく敬遠している方もいます。まして犬猫に興味がない方は動物を大切にする意味を自分ゴトとして感じる環境になかったりします。

 ですが、この映画『駅までの道をおしえて』を見ていただければ、生きる上で大事にするものは何か、また誰でも乗り越えなければいけない辛いときにどう心をもっていけばいいのか、が優しいSTORYと共に心に入ってきます。動物福祉なんて堅苦しい言い方ではなく素直に大事なものがなにかを感じると動物だって大事な命、サヤカと同じ思いで行動することができるはず、と思えるのです。

 実は、この映画に協力したのはアニマル・ドネーションだけではなく、いろいろな企業様が趣旨に賛同してサポートしています。「犬を抱きしめて感謝をいいたくなる映画」というのは協力した企業達も同じくで、企業様との協力が広がり始めています。ご紹介しておきますね。

『みんなでつくろう!大切なエピソードが詰まった書籍』
 ペットとあなたの素敵なお話に写真を添えて投稿いただく『STORY with PET』。投稿が5000を超えたら投稿の中から100人のお話をプロの編集者がまとめ、1冊の書籍にして出版するという一大プロジェクト。

『寄付という一歩で小さな奇跡を。』
 この映画で描かれているのは、人と人はもちろん、動物と人との絆や命の大切さ。物語を通じてあなたの大切なものに気づいたら、寄付という行動で一歩を踏み出してみませんか。

『ペット業界関係者に向けた特別発表会』
 映画の全国公開に先がけて、ペット業界関係者に向けた特別発表会を、10月8日(火)横浜にて開催します。

 文章だけで伝えるのはもどかしいです!ぜひ見に行ってください。そして、感じたことを周りに伝え、動物愛をじわじわと広げていってほしいなぁと思うのです。

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西平衣里
(株)リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ」の創刊メンバー、クリエイティブディレクターとして携わる。14年の勤務後、ヘアサロン経営を経て、アニマル・ドネーションを設立。寄付サイト運営を自身の生きた証としての社会貢献と位置づけ、日本が動物にとって真に優しい国になるよう活動中。「犬と」ワタシの生活がもっと楽しくなるセレクトショップ「INUTO」プロデユーサー。アニマル・ドネーション:http://www.animaldonation.org。INUTO:http://inuto.jp

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この特集について
犬や猫のために出来ること
動物福祉の団体を支援する寄付サイト「アニマル・ドネーション」の代表・西平衣里さんが、犬や猫の保護活動について紹介します。
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