超ビビリな猫、2カ月まともに姿を見せず 今では肩をフミフミ

 一度猫と暮らすと、猫をなでた感覚、温もりが忘れられなくなるものなのだろうか。先代猫を失った後、無性に猫が恋しくなって、保護団体から2匹同時に引き取った家族がいる。

(末尾に写真特集があります)

 大阪府に住む堀辺さんは、2016年、飼っていた猫のマルを失った。それから約半年後、「猫に触れたくてしょうがなくなり」、再び猫を飼おうと思い立ったという。

 幼い頃から実家で捨て犬を保護して飼っていたこともあり、ペットショップで買うつもりはなかった。いろいろな譲渡サイトを検索する中、保護団体のワンハート大阪が目にとまったという。

 「猫の個性を大切にしていて、その猫が合う家に譲渡したいという考えにも共感できました。私はもらわれにくそうな子に目が行くんです。なんだか放っておけなくて」

膝の上でリラックス
膝の上でリラックス

いきなり甘えてきた猫

 2017年夏、堀辺さんはワンハート大阪の譲渡会に出かけた。最初に出会ったのが、ボムだった。生後2ヶ月の時に保護され、すでに1歳になっていた。

 ボムはその1年前、ワンハート大阪が野良の母猫をTNRしようと設置した捕獲器に入っていた子猫4匹のうちの1匹だという。

 「譲渡会でボムは、私の手にあごを乗せて、甘えてきました。いつもはそんなことをしない、とてもビビリの猫だったのですが、なぜか、この日は違いました。ボムは先代の猫にもそっくりで。マルの面影を感じられる、思い出せるという意味でボムにすごく惹かれたんです」

 早速、1週間のトライアルに入ることになった。実は同じ譲渡会にもう1匹気になる猫「パンチェ」もいたため、2匹一緒にトライアルすることにした。

最初はリビングに入るのも怖かったにゃ
最初はリビングに入るのも怖かったにゃ

2カ月は隠れるように暮らす

 家に慣れていない猫たちのために、掃除機やテレビの音など生活音から離れた猫専用の部屋を用意していた。家にやって来たボムは、早速ビビリっぷりを発揮。部屋に置いたダンボールハウスに3日間籠城したという。

 やっと他の部屋に出てきても、冷蔵庫や水の音、人の気配に驚いて固まっていた。「ボムの姿をまともに見ることができたのは、2カ月ほど経ってから」だという。

 それが今では、家族の前では、すっかりビビリを卒業。ママが寝ていると側に寝そべって、肩の辺りを30分くらいフミフミして甘える。マイペースな猫だが、器用にオスワリもして、犬のように呼び戻しまでできるようになったという。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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