ガキ大将な猫「梵天丸」、家族と合流 さっそく犬をかむ

一人っ子生活もそろそろ終わり、というころ。毎日ぐんぐん大きくなっていった
一人っ子生活もそろそろ終わり、というころ。毎日ぐんぐん大きくなっていった

 2か月間の隔離生活を経て、梵天丸は無事に家族の一員に。さて先住動物たちは…?

梵天丸、先輩にあいさつ

 2か月間の甘えたい放題の一人っ子生活を終えて、梵天丸は晴れて家族に合流しました。血液検査の結果もすべて陰性です。

 パーテーション越しに気配を感じていたせいか、先輩猫たちは心配したほどの騒ぎにはなりませんでした。とはいえ、受け入れの儀式はあったようです。

 先輩たちのそばへ梵天丸がよちよちと歩み寄り、ごろん、とお腹を見せて降参のポーズをとります。実はこれが梵のトラップ。そうかそうかと近寄ってにおいを嗅ごうとすると…。

 わーっ!

 私にやったのと同じ、不敵にも下から奇襲をしかけます。しかしそこは多頭飼育の先輩たち。大きく威嚇して叱りつける子あり、イヤそうに顔をそむけてぷいっといなくなる子あり。私みたいに大騒ぎする猫は一匹もいませんでした(飼い主が一番オロオロしてたってことですね)。

 終始穏やかに接してくれたのが、犬のネネちゃんでした。黒柴系雑種の女の子でちょっと鈍いんじゃないかと思うほどおっとりした性格です。梵もよくなついて、気がつくと寄り添って昼寝したりしています。

ありし日のネネちゃん。心優しくて、猫とともに育ったせいか、自分を猫だと思っていたフシも
ありし日のネネちゃん。心優しくて、猫とともに育ったせいか、自分を猫だと思っていたフシも

 そんなある日。仕事から戻ってみると、ネネの様子がちょっと変です。人間には尻尾を振って愛想を振りまきますが、梵天丸が近づくと子猫の何倍もある身体をぶるぶる震わせます。尻尾も後ろ足の間に巻き込んで、完全におびえモード。優しい目を困ったようにひそめて、後ずさりします。

「どうしたの? 梵が怖いの? いまさら?」

 その理由はネネのお腹を見てすぐに分かりました。かわいそうに、2センチほどの傷ができて、少しですが血も出ています。

「どうしたの? これ!」

 じゃれついた梵天丸が抑制が効かずに思い切りかんだ模様。ネネはピスピスと鼻を鳴らすばかり。仕方なくその日は梵を隔離部屋に再び遠のけ、翌日動物病院へ。

「いやー。犬にかまれた猫っていうのは治療したことあるけど、猫にかまれた犬は初めてだなあ」と先生も苦笑いです。

 それでも「犬が本気でやり返したら猫なんてひとたまりもないからね。偉いよ。よく我慢したね」。褒めてもらってなでてもらって、犬用のおやつを少しもらって。あっという間にネネはご満悦。よかったよ、単純な性格で…。

 漫画みたいにお腹に包帯を巻いてもらって帰宅。消毒のにおいをかいだ梵天丸は申し訳なさそうにネネの前足をなめています。ネネも許してあげたみたいで、梵の耳のまわりをなめています。やれやれ。仲良くやってちょうだい。

永久歯が生えてきた!

 さて梵天丸ですが、病気がないとわかっても目薬は欠かせません。かなりきれいになってきたものの、腫れが引いていなかったのです。

 目に薬をつけるついでに、口回りのチェックを。

 数年前に他界した、私にとっては弟のような存在だった愛猫が、ひどい貧血に陥っていることに気づいてあげられなかった。そのショックから、どの子も肉球や口回りの血色をチェックする癖がついていたのです。そうじゃなくても猫の口元って大好きなんです(猫は嫌がりますけどね…)。

「ん? 何じゃこりゃ?」

 離せ離せと暴れる梵天丸ですが、犬歯の様子が変。いつもの犬歯のすぐ横から、まるで二重になるかのように、小さな歯が出てきています。

「先生ーーーーっ!」

 またまた慌てて動物病院へ駆け込みました。私がよほど血相を変えていたのか、先生も身構えますが、一目見るなり「ああ、そういうことか」。笑いながら手を振ります。「これはね、永久歯が出てきたんですよ」。

梵天丸の歯が変! と騒いだ時の写真。犬歯の前に小さく生えてきているのが永久歯
梵天丸の歯が変! と騒いだ時の写真。犬歯の前に小さく生えてきているのが永久歯

 先生の説明によれば。「人間の乳歯はグラグラになって抜けて、下から永久歯が出て来ますよね。でも動物は歯のない状態が一瞬でもあると、命にかかわります。なので、乳歯が生えたまんま、それを押しのけるように脇から永久歯が出てくるんです。ある程度出てきたら、役目を終えた乳歯はぽろりと落ちて、大きな永久歯がしっかりと生えそろうというわけです」。

 なるほどー。そして、永久歯が出てくるのは生後5か月なんですと。梵天丸がやってきて3か月が経っていましたから「拾った時はすでに生後2か月だったんですね」。

 あまりにもガリガリで小さくて、生後1か月ぐらいにしか見えなかったのでした。

 それから3日ほどして、床に小さな小さな歯が落ちているのを見つけました。口の中をチェックすると、右上の犬歯が抜けています。

「おめでとう。大事にとっておこうね」

 今も大切な宝物です。

浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。
この特集について
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