当たり前のように元保護犬・猫がいる家 穏やかな夫婦の暮らし
ペットショップで売られているのは、血統書付きの純血種の犬や猫がほとんどだ。だが、犬や猫を選ぶ基準がそうしたところにない人たちもいる。
大阪府内に住む藤田さん夫妻は息子さんと同居し、保護団体「ARK」(大阪府)から譲渡してもらった犬の「シンタ」と「コンタ」、猫の「ムース」と暮らしている。それ以前も元保護猫4匹、元保護犬3匹を飼ってきたという。
目が合った保護犬2匹を同時に引き取る
シンタとコンタは、住民が夜逃げした賃貸住宅の部屋に置き去りにされていた犬のうちの2匹だという。ARKに救出された当時はまだ子犬だった。
藤田さん一家はARKのシェルターで2匹に出会った。
「息子と夫の妹も一緒に行ったのですが、この子たちと目が合ったのが決め手になりました。犬は群れで生活する動物なので、2匹で飼ったほうがいいだろうと、多頭飼いすることにしたんです。当時2匹とも5歳くらいの成犬になっていました」
子犬時代に部屋に遺棄されていたシンタとコンタは散歩もろくにさせてもらったことがないらしかった。ARKのシェルターも山中にあり、車や自転車を知らずに育ったため、自宅に引き取った後も、2匹は外に出ることを怖がった。そのため藤田さんは早朝、交通量の少ない時間帯を選んで散歩したという。夕方、車の往来が避けられない時間帯は、夫が散歩したそうだ。
「散歩は大変でしたが、シンタとコンタを引き取って以来、私も元気になって、風邪もひかなくなったんですよ」
そんな2匹もすっかり年を取り、12歳になった。コンタは9歳の時にがんの手術を受け、シンタは後ろ脚の靭帯が切れるけがをして、今も少し歩くのが不自由だという。
「一番かわいそうな猫を」
藤田さん一家には、やはりARKから譲渡してもらった猫もいる。家に迎えた当時、まったく鳴かず、ムーっとしていたので、「ムース」と名付けた。
「ARKに猫を見に行くと、里親募集中の猫がたくさんいます。私たちは『一番かわいそうな猫』がいいと言ったんです」
実はムースは、スコティッシュ・フォールドというブランド猫だ。元の飼い主の子どもがアトピー性皮膚炎だったので、手放されたのだという。すでに5歳になっていた。シェルターでは、他の猫からいじめられがちだったという。
猫は環境の変化がストレスになるため、ムースは藤田家に来てから半年ほど、ずっと2階に引きこもっていたという。藤田さんは2階ですべて生活できるように、フードや水、トイレを2階に設置して、慣れるのを待った。今では、すっかり家族に心を許し、家にもなじんでいるという。
いつも元保護犬・猫と暮らし、今一緒に住む犬猫たちも「目が合ったから」「一番かわいそうな猫」という理由で選んだ。血統書やブランドとは違う選択。藤田さん一家は当たり前のように、そんなペットと寄り添い幸せに暮らしている。
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