家に来てから10日 元野良猫「ぽんた」の思わぬ変化に驚く

 ぽんたがプランターでのトイレに成功した翌日、ツレアイと私は近所のスーパー内にあるペット用品売り場にでかけた。

(末尾に写真特集があります)

 システムトイレは諦め、スタンダードなたらい型のトイレ容器に使用することに決めたが、プランターの土を使い続けるわけにもいかない。尿を吸収して固めるタイプの猫砂が必要だった。

 インターネットで検索したところ、自然の砂に近い鉱物系の猫砂が「猫に好まれやすい」とあった。それにするつもりだったが、「不燃ゴミとしてしか処分ができないのは不便」とツレアイに却下された。物色した結果、「自然の中に存在するものに近く、ぽんたが気に入りそう」という理由から、ヒノキの木くずで作られた猫砂を選んだ。消臭効果が高く、可燃ゴミとして出せるのはもちろん、トイレに流せることも魅力だった。

 しかし、いきなり「この猫砂の上でオシッコをしなさい」と言ってもするとは思えない。そこで、まずプランターから土を一部取り出し、代わりにヒノキの猫砂を入れて様子をうかがった。ぽんたが排尿するのを見届けて、次に、この猫砂が混じったプランターの土と、まっさらな猫砂を合わせ、すのこを外したシステムトイレの本体に入れた。容器は変わっても、中身に自分の臭いがついているためか、ぽんたは問題なくトイレとして認識した。

 こうして徐々に猫砂の分量を増やしていったところ、3日後には、すべて猫砂となったトイレでぽんたは「大」と「小」を披露し、砂をかいて満足そうに容器から降りた。私たちは大喜びで「ぽんた、えらい、えらい」とほめちぎった。そして翌日、ぽんたの体形に合った、大きいサイズのトイレ容器を新調したのだった。

チェストの上もお気に入り(小林写函撮影)
チェストの上もお気に入り(小林写函撮影)

 しかし、夜鳴きはおさまらなかった。近所迷惑ではないかと不安になった私は、マンションの隣とすぐ上の階のお宅をたずね、猫を飼い始めたことを話し、数日たてば家に慣れて落ち着くと思う、と謝った。両家とも「鳴き声はまったく聞こえませんよ」と言ってくれたが、気が気ではなかった。

 猫が夜鳴きをする原因はさまざまらしい。なじんだ環境から急に知らない場所に連れて来られた場合、寂しさや不安を感じて鳴くこともあるそうだ。

 だとしたら、その寂しさや不安が消えるまで、待つしかない。

 昼間、家にいるときは、できるだけなでたり、話しかけたりし、ぽんたの相手をした。夜は、ぽんたが鳴いて走り回っていても、一晩中つきそうようなことはせず、通常通りに過ごす努力をした。飼い主がオロオロすると、余計に不安をあおると感じたからだ。また飼い主が宵っ張りなのもよくない気がした。夜中に仕事をするのはやめて、常識的な時間にベッドに入るように心がけた。

チェストの上でお昼寝中(小林写函撮影)
チェストの上でお昼寝中(小林写函撮影)

 そうするうちにぽんたが夜鳴きをする時間は徐々に短くなった。家に来てから10日が過ぎる頃には、ほとんど鳴かなくなった。それまではクローゼットの中を寝床にしていたが、私がベッドに入ると、布団の上にのぼってきて足元に丸くなり、一緒に眠るようになった。

 その頃、ぽんたを再び病院に連れて行った。保護したときにけがをしていた前脚の状態を見せに来て欲しいと言われていたからだ。

 けがは完治していた。ついでに、持参した排泄物で検便をしてもらったところ、こちらも問題はなし。ただ、驚いたのは、ぽんたの体重が5.5kgと、10日前より0.5kgも増えていたことだった。

 「これは、よくないですね、何かされましたか?」と先生。

 「実は……夜鳴きがひどかったので、なだめるためにおやつをあげていました」と口ごもる私。糖尿病や心疾患などにかかるリスクが高くなるので、5kg以上には太らせないようにと、以前先生から注意されていた。

毛づくろい(小林写函撮影)
毛づくろい(小林写函撮影)

 「ダイエットをしたほうがいいですね、おやつは控え、食事の量を減らし、できれば4.5kgを目指しましょう」

 先生はいとも簡単に口にする。しかし、食欲旺盛なぽんたから食べる楽しみを奪うのはかわいそうだ。きっと容易ではないだろう。

 せっかく家になじんできたところなのにと、私は気が重くなった。

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宮脇灯子
フリーランス編集ライター。出版社で料理書の編集に携わったのち、東京とパリの製菓学校でフランス菓子を学ぶ。現在は製菓やテーブルコーディネート、フラワーデザイン、ワインに関する記事の執筆、書籍の編集を手がける。東京都出身。成城大学文芸学部卒。

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この特集について
猫はニャーとは鳴かない
ペットは大の苦手。そんな筆者が、ひょんなことから中年のハチワレ猫と出会った。飼い主になるまでと、なってからの奮闘記。
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