シェパード訓練中 危険な現場にも出動する「直轄警察犬」
県警は、犯罪捜査や行方不明者の捜索にあたる直轄警察犬(直轄犬)を今年度から導入した。鑑識科学センター(和歌山市西)で5日に公開した。これまでは出動が必要な時に、指導手とともに民間の嘱託警察犬(嘱託犬)を要請してきたが、安全面などから出動する事案が制限され、指導手の高齢化の問題も出てきていたことから、直轄犬の必要性を判断し導入を決めた。
警察犬には、警察が直接管理する直轄犬と民間の指導手に訓練を委託し、警察から要請があれば出動する嘱託犬がある。県警鑑識課によると、6月時点で全国25の警察本部で直轄犬を保有しているが、和歌山県警ではこれまで嘱託犬のみ。県警の嘱託犬は31匹で、昨年は事件が6件、行方不明者の捜索で27件出動していた。
直轄犬の導入を進めたのは、警察犬の出動が必要な場合でも、嘱託犬と指導手の安全面の問題から出動が難しくなる場合が出てきていたからだ。
昨年8月に和歌山市の土木建設会社で4人が死傷した拳銃発砲事件。県警は拳銃を持ったまま逃走する容疑者の捜索に嘱託犬の出動要請を検討したが、民間人の指導手の安全が確保できないことから断念した。鑑識課の喜多啓之次席は「昨年の立てこもり事件が、直轄犬導入の大きなきっかけの一つ」と話す。
さらに、近年では指導手の高齢化も大きな課題になっている。同課によると、県内の嘱託犬の指導手17人のうち8人が60歳以上。40年近く指導手を続ける津村孝房さん(75)は「(自分に)持病があって要請があっても、体力的にきつく最近は出動できていない。もう引退しようかと考えている」と話した。
県警が導入した直轄犬は、シェパードの「ヨハン号」(オス、1歳)。今後は、紀の川市の民間警察犬訓練所で基本動作を学び、10月からパートナーとなる同課警察犬係の庵野(いおの)勝信巡査部長とともに訓練を行う。早ければ来年度から現場へ出動する予定。庵野巡査部長は「(ヨハン号を)一人前にして、多くの事件解決につなげたい」と意気込みを語った。
(片田貴也)
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