育成のむずかしい介助犬 女性3人が奮闘中!「障害者に笑顔を」
体の不自由な人の生活を手助けする介助犬。愛知県長久手市福井の介助犬専門の訓練施設「介助犬総合訓練センター~シンシアの丘」では、4月から女性3人が訓練士を目指して奮闘している。来年3月までセンターに住み込み、犬の世話やトレーニング、障害者についての知識を身につける。
3人は、岐阜県大垣市の香村真里乃さん(24)、愛知県小牧市の丸岡英未さん(22)、静岡県浜松市の田辺真生さん(22)。全国から応募があった十数人の中から選ばれた。香村さんと丸岡さんは愛知淑徳大の卒業生で、在学中にボランティアとしてイベントなどに参加した際、介助犬の存在を知ったという。
香村さんは卒業後、大学病院に就職したが、「ボランティアにとどまらず、介助犬ともっと深く関わりを持ちたい」と応募した。「介助犬と身体障害者とのつながりを大切にし、笑顔になってもらえるように頑張りたい」と意気込む。
小学生の頃に見た盲導犬を題材にした映画や本の影響を受けたという丸岡さんは、大学で福祉貢献学を専攻。介助犬の普及や啓発活動に関心が高く、「介助犬には、盲導犬と同じようにすごい能力があるのに存在があまり知られていない。障害者が生活しやすい介助犬を育てるのが夢です」と目を輝かせる。
田辺さんも小学生の時に盲導犬の映画を見て、訓練士に憧れた。北里大獣医学部(青森県)を卒業し、「介助犬の普及に役立ちたい」と応募した。自宅でも犬を飼うが戸惑いもある。「動き一つひとつに意味があり、勉強することが多い。介助犬とユーザーから信頼してもらえる訓練士になりたい」と話す。
■障害に応じた育成、難しく
シンシアの丘を運営する社会福祉法人「日本介助犬協会」(横浜市港北区)によると、介助犬1頭の育成には300万~500万円がかかる。認定を受けて実際に働けるのは3割程度。費用の9割は寄付に頼る。国内で介助犬が必要と見込まれるのは約1万5千人だが、これまでに認定を受けた介助犬はわずか73頭(昨年4月1日現在)だ。
理由として、求められる役割が多岐にわたり、育成が難しいことが挙げられる。手は動かせる人、右半身にまひが残る人など、障害の程度に合わせトレーニングする必要がある。
一方で、障害者は犬にエサを与えたり、ふんの始末や散歩をさせたりする必要があるため、一方的な介助ではなく、障害者を前向きにする効果もあるという。
20日午前10時~午後4時、長久手市の愛・地球博記念公園地球市民交流センターで「介助犬フェスタ」があり、模範演技や、しつけ方教室、チャリティーグッズの販売などがある。日本介助犬協会訓練部の篠崎真理さん(33)は「介助犬という名前は聞いたことがあるが、役割が分からない人も多い。飲食店や医療機関で同伴を断られることもあり、認知度をあげることが重要」と話す。
(松永佳伸)
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