馬肉を使ってドッグフード手作り 「アレルギーが治った」
神奈川県横須賀市に本社を置く馬肉専門店「ディアラ」は、「完全無添加」のこだわりを武器に、県内で馬肉のペットフード店を3店舗経営する。
機械なら簡単にできる加工でも人の手で行い、品質管理を徹底。味付けに調味料は一切使わない。自然のうまみを引き出すため、温度を細かく調整した冷風を4日間当て続けて熟成させると、「栄養吸収率が高くなり、うまみ成分も凝縮されておいしくなる」と社長の寺内崇さん(49)は話す。
2000年に横須賀市を拠点に起業。初めは横浜市内の居酒屋に全国から取り寄せた馬刺しを卸すのが主な業務内容だったが、工場で直売していた馬刺しをペット用に購入する人を見て、馬肉を使った犬用のペットフードの商品化を思いついたという。
主力商品は「ディアラ馬肉パーフェクト」。「捕食した動物をまるごと食べる」という犬の食性を考え、馬の臓器や骨、赤身などを1頭分のバランスで配合した。
起業から約1年後、横須賀市にペットフード専門店を構えたが、多くの人になじみが薄かった馬肉のペットフード店はいつも閑古鳥。客が一人も来ない日も多くあった。寺内さんは「完全に趣味の世界でした」と振り返る。
だが、開店から1年が経った頃、「食べ続けたら飼い犬のアレルギーが治った」と話す客が急増したという。継続的に売れるようになり、今では県内に3店舗を展開している。近年は馬油を使った化粧品の製造・販売にも取り組む。
昨年4月には、馬刺しと化粧品を取り扱う「横濱馬油(よこはまばゆ)商店」を横浜の歴史薫る元町商店街に出店。馬のたてがみ部分からしか取れない希少の「こうね油」を使った無添加のシャンプーやせっけんが人気を博している。
寺内さんは横浜市中区育ち。30歳の頃から千葉県内の馬刺しのメーカーで加工や営業の仕事に携わりながら専門知識を学んだ。「馬肉の知識を生かして、いつか生まれ育った横浜で店を出したい」という寺内さんの長年の夢は、着実にかないつつある。
今後の目標は、「馬刺しが食べられるレストラン」を元町に出店すること。「うちの商品全てを元町で楽しんでもらえるようにしたい。そして、横浜ならではのものが集まる元町を代表する店になりたい」
(前田朱莉亜)
2000年設立。従業員約30人。馬刺しや馬肉を使ったペットフードのほか、馬油を使った化粧品ブランド「横濱馬油商店」を手がける。店頭販売のほか、同社のウェブサイトで通販も展開する。問い合わせは(045・264・9740)。
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