大辻一也教授に聞く犬猫の栄養学
愛犬、愛猫に普段からどんなフードを食べさせるか。ペットの健康寿命を延ばしたいと思えば、食事は大きな要素となる。最近では手作り食に挑戦する飼い主も出てきたが、そもそもペットの食事はどうあるべきなのか。帝京科学大学生命環境学部の大辻一也教授(小動物栄養学)に聞いた。
構成=太田匡彦
市販されている一般的なペットフードは「総合栄養食」といわれ、ほとんどがAAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準を満たしています。これを食べていればまず間違いなく、栄養障害を起こすことなく過ごせるでしょう。
ペットフードには販売価格や食いつきに差がありますが、そこに各社のノウハウが詰まっています。相対的に高価なフードは、安全性のチェックや効果を検証するための臨床研究に投資をしているケースが多く見られます。また、植物性たんぱく質を使えば相対的に安価にできるなど、原材料によっても差が出ます。ただ植物性たんぱく質は、動物性たんぱく質に比べると吸収率がよくない。価格と原材料の関係性は、飼い主が冷静に判断してあげる必要がありますね。
食いつきは、フードにかける「フレーバー」によっても変わってきます。各社がしのぎを削っている部分で、極秘のノウハウがあるようです。
ペットフードの中には、動物病院で病気の治療を目的に、獣医師によって処方される特別療法食があります。こちらは独自の研究施設を持つ限られた会社が開発、販売を行っています。病気ごとに特定の栄養を与えるために作られていますから、栄養バランスは偏っています。獣医師の指導のもと、期間や量を決めて食べさせましょう。
近年、市販のフードに飽きたらず、ペットの食事を手作りする飼い主も増えてきています。飼い主のペットへの愛情表現の一つであり、ペットとの暮らしを楽しむ大きな要素になることは間違いありません。ただ、栄養バランスに気をつける必要があります。
人間もずっと手作り食を食べているわけですが、様々なものを食べることでトータルとして栄養バランスが取れます。偏食を戒めるのはそのためですね。一方でペットの手作り食の場合は、どうしてもバリエーションが限られ、トータルでも栄養バランスを確保するのが難しい。
手作り食に挑戦する場合は週に1、2日程度にとどめ、それ以外の日には総合栄養食であるペットフードをあげるようにしましょう。そのほうが飼い主も負担感なく、手作りを続けられると思います。
動物病院で、栄養指導をする獣医師が増えてきています。肥満は犬や猫にとっても様々な病気のもとになる。ペットの体重や体形が気になるようなら、かかりつけの動物病院に相談してみてください。
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