地雷探知犬、人と一緒に歩いて探す カンボジア

地雷原を二人三脚で歩く地雷探知犬とハンドラー
地雷原を二人三脚で歩く地雷探知犬とハンドラー

 ボスニア・ヘルツェゴヴィナの訓練センターで大切に育てられ、カンボジアに送られた地雷探知犬たち。それぞれがペアを組むハンドラーが決まると、1人と1匹はともに地雷探知の仕事を始める。探知のやり方には、ロープで囲んだ地雷原の外側に人が立ち、長いリードを付けた犬が中に入って探知する「ロング・リーシュ」と、人と犬が文字通り二人三脚で地雷原を歩きながら探知する「ショート・リーシュ」があるが、カンボジアの場合は後者が多い。

 初めて地雷原の真ん中を人と犬が歩いていく姿を見たときは、思わず緊張した。だが、ハンドラーは「100%犬を信頼しているから大丈夫」とにっこり笑う。人と犬とがお互いを信頼しあっているからこそ、危険な地雷原にいっしょに出ていくことができるのだろう。実際、ボスニアでもカンボジアでも、地雷探知犬が地雷を見落として事故にあったことは一度もないという。

 地雷は戦争が終わったあとも何十年も地中に残り、人びとの生活を脅かし続ける。道に埋まっているかもしれないから、自由に移動することもできないし、農家の人が自分の畑で働くこともできない。地雷の危険がある場所では、誰も安心してふつうに暮らせないのだ。

 だから、一日も早く地雷を取り除く必要があるのだが、それにはまず、地雷がどこにあるのか探さなければならない。人間が金属探知機を使って探す方法は、確実だけれど、膨大な時間がかかる。というのは、金属製のものがあればピーという音がするが、それが地雷とはかぎらないからだ。掘り出してみたら、ただの釘だった、というようなことがよくあるという。

火薬のにおいを頼りに地雷を探す犬
火薬のにおいを頼りに地雷を探す犬

 その点、地雷探知犬は、地雷の中に仕込まれている火薬のにおいを探すように訓練されているので、金属探知機がまどわされてしまうような場所でも大丈夫。人間よりはるかに早く、確実に、地雷を探すことができる。犬たちは戦争からの復興に大きな貢献をしているのである。

 だが、私たちは危険な仕事をしてくれる犬たちに、ただ「ありがとう」と言っているだけでいいのだろうか。世界にはいまも、地雷をつくり、使っている国がある。そして、戦争があるかぎり、地雷を使う国はなくならないだろう。

 戦争をしない。その選択をするのは、私たち人間の仕事だ。

大塚敦子
フォトジャーナリスト、写真絵本・ノンフィクション作家。 上智大学文学部英文学学科卒業。紛争地取材を経て、死と向きあう人びとの生き方、人がよりよく生きることを助ける動物たちについて執筆。近著に「〈刑務所〉で盲導犬を育てる」「犬が来る病院 命に向き合う子どもたちが教えてくれたこと」「いつか帰りたい ぼくのふるさと 福島第一原発20キロ圏内から来たねこ」「ギヴ・ミー・ア・チャンス 犬と少年の再出発」など。

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この特集について
人と生きる動物たち
セラピーアニマルや動物介在教育の現場などを取材するフォトジャーナリスト・大塚敦子さんが、人と生きる犬や猫の姿を描きます。
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