ペット同行避難者にユニットハウスなど提供 熊本地震
再び熊本地震の被災地から報告する。地震発生から1カ月が過ぎたが、避難所に身を寄せる人はいまだに約1万人。日に日に暑さが増す一方、ときには土砂降りの雨もあり、余震も続く。被災者のみなさんの心身の疲れは、察するに余りある。
私たちが熊本県益城町で運営しているペット同行避難者向けのテント村では、シャワーブースや洗濯機なども設置され、生活環境が整ってきた。昼間は仕事や学校、家の片づけなどで多くの人がテントを出てしまうが、残った人はカフェやプレハブのコミュニティースペースに集い、互いに言葉を交わすようになった。なかには、理容師としての腕を生かし、散髪サービスをしてくれる方もいる。ペットの一時預かり所もでき、エアコン完備の安全な場所に安心して預けていただけるようになった。
ふつう、このような避難生活が1カ月も続けば、イライラが募り、避難者同士のいさかいも起きやすくなる。しかし、私たちのテント村では今のところ大きな問題はなく、入居者のみなさんからも感謝の言葉をいただくことが多い。ペットを家族同様に思う心のやさしさに加え、ペットと一緒にいることによる安らぎや癒やしが、いい作用をもたらしているように思える。
益城町では今週、500戸を超える大規模な仮設住宅団地の建設が、新たに発表された。これで建設が決まったのは計677戸になったが、まだ町が見積もる必要数の半分強に過ぎず、避難の長期化は避けられそうにない。
そんななか、町は先週、私たちのテント村の一部を含む町施設内のテントを5月いっぱいで撤去する方針を打ち出した。これから梅雨や猛暑の季節を迎え、水害、感染症、熱中症などのリスクが高まることが理由だが、問題は入居者の行き先だ。町は町外を含む6カ所の避難所を提示し、どこに移るかの意向調査を始めた。
しかし、ペット連れの人には、体育館でペットと別の部屋に寝泊まりするか、熊本市にあるスタジアムの屋根つきの屋外で過ごすという選択肢しか示されていない。そもそも私たちのテントの入居者には、昼夜を問わずペットと一緒に過ごすために避難所を出た人が多く、町が示す避難先を選ぶ人がどれだけいるかは疑問だ。「同行避難」は、やはりまだ現場で浸透しているとは言いがたい。
そこで、私たちは、エアコン付きのユニットハウスやキャンピングカーなどを多数調達し、テント生活中のみなさんが仮設住宅などに移るまでの数カ月間、よりよい環境で暮らせる場所を用意することにした。各世帯に電気を引き、水道や排水関連の工事も伴う大掛かりな支援になるが、土地を借りる交渉がまとまりしだい、一日も早く立ち上げるつもりだ。ペット連れの世帯に落ち着き先が見つかるまで、できる限り寄り添いたいと考えている。
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