「飼うなら、責任を持てるか考えて」 殺処分ゼロへ取り組みも

4月下旬に県動物愛護センターで撮影された子猫。推定年齢は生後3~4週という=兵庫県提供
4月下旬に県動物愛護センターで撮影された子猫。推定年齢は生後3~4週という=兵庫県提供
  • :先日、神戸市内のペットショップへ犬と猫を見に行きました。もし飼い主が飼えなくなったら、ペットはどうなるのかが気になりました。また、そうしたペットに別の飼い主が見つかることはあるのでしょうか。(神戸市中央区 30代女性)
    :兵庫県尼崎市にある県動物愛護センターに尋ねました。

 兵庫県内にはセンターと、三木、龍野、但馬、淡路の4カ所にセンターの支所があります。2014年度の実績では、飼い主や警察などから引き取ったり、けがをしていて保護したりした犬は782匹、猫は2436匹。このうち犬は557匹、猫は2299匹が殺処分となっています。

 成犬・成猫と、自力でえさを食べられる子犬・子猫は、神経質でなく攻撃性が低いことなどが確認されれば、「譲渡候補」となります。寄生虫の駆除やワクチン接種をして、犬の場合なら生後8週前後から人に慣れさせたり、急に怒らないようにしたりする「しつけ」を始めます。

 センター内の「ふれあい館」では月曜を除く毎日、午前と午後に1時間ずつ、新しい飼い主を捜す「ふれあい」の時間を設けています。犬猫が人に慣れる場所にもなっています。

 センターは飼い主の希望者と面談し、飼える環境かどうかなどを判断したうえで、最終的に譲渡するか決定。譲渡後も、家庭訪問やしつけ教室を実施します。こうして14年度は、154匹の犬と107匹の猫に新たな飼い主が見つかりました。譲渡数は近年増加傾向にあるそうです。

 センターの大きな課題は殺処分をいかに減らすかです。特に生後3カ月までの子犬は14年度で179匹、子猫は1831匹を引き取りましたが、このうち離乳前の生後2~3週の子犬と子猫の大半が殺処分となったそうです。センター副所長で獣医師の三谷雅夫さん(56)は「特にセンターに持ち込まれる子猫の多くは下痢をしたり、感染症にかかったりしていて、獣医師でも育てるのはハードルが高いんです」と言います。

 そこで県は4月から、一部の子犬や子猫について、育成経験が豊富な獣医師やボランティアに生後1カ月から1カ月半まで育ててもらう新事業を始めました。「子犬子猫の飼い主捜し応援プロジェクト」です。ミルクなどの費用は「ふるさとひょうご寄付金」を通じ、県民に計1千万円の寄付を求めています。ただし、育成を依頼できるのは、健康状態の良いほんの一部の子犬・子猫だけだそうです。そのため、殺処分数が劇的に減少するわけではありません。

 センターが最も多く引き取っているのは、所有者のわからない猫。14年度は1831匹に上り、大半が殺処分となりました。所有者が引っ越しや経済的理由で持ち込むケースも多いそうです。センター所長で獣医師の河野寛昭さん(58)は「所有者がわからない猫には無責任にエサを与えないでください。ペットを飼う前には、責任を持って飼えるのかよく考えてほしいです」と話しています。

(島脇健史)

朝日新聞
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