イリオモテヤマネコ、どうして減った? 交通事故も大きな原因
交通事故が原因の一つ、島の生息環境壊さぬ対策も必要だよ。
Q イリオモテヤマネコの発見から50年なんだって。
A 1965年に見つかった野生のネコのことだね。世界中で沖縄県の西表島だけに生息する。体長は約50センチ。イエネコより少し大きいくらいだ。トカゲやカエル、鳥の他に、昆虫やエビなども食べる。泳ぎが得意なのもネコの仲間の中では珍しい。国の天然記念物になっている。
Q どのくらいいるの?
A 環境省の調査では、島全体に約100頭が生息すると推測されている。ただ、やや減少気味で、存続が危ぶまれているのが現状だ。絶滅危惧種に指定されているよ。
Q なぜ減っているの?
A 脅威のひとつが交通事故だ。78年から2015年4月までの間に68件が発生。13年には6頭が事故にあった。道路が通っている場所の多くが、ヤマネコの活動しやすい地域と重なっている。制限速度以上のスピードで走る車も多い。
Q 対策はないのかな。
A 環境省や地元の人たちがドライバーにスピードを落としたり、ヤマネコに気をつけたりするように呼びかけているよ。道路の下にヤマネコが通るトンネルを造って事故を減らす試みもある。トンネルを使う姿が調査でとらえられていて、一定の効果はあるようだ。
Q 守っていきたいね。
A 交通事故を防ぐ対策だけでなく、ヤマネコが暮らしやすい多様な森林などを開発から守ることも重要だ。捨てられて野生化した飼い猫(イエネコ)などから病気をうつされる恐れもあるから、外部から入り込んだ生物の対策にも取り組んでいるよ。ヤマネコは、サバンナのライオンなどと同じように、島の食物連鎖の頂点に立つ。ヤマネコがいなくなってしまえば、島の生態系全体に影響が出る恐れがある。
Q 単に一つの種を保護するだけではないんだね。
A シンボル的な生きものを保護することは、その地域の生態系全体を大切にすることにつながる。開発の進め方や生活スタイルを変えるのは大変かもしれないけど、コウノトリが野外で暮らせるように地域ぐるみで農法などを工夫した兵庫県豊岡市のお米がコウノトリブランドになったように、地域活性化につながった例もあるんだ。ヤマネコも人間も、いつまでも一緒に生きていけるようにしたいね。(小坪遊)
(朝日新聞2015年8月31日掲載)
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