オスよりメスのほうがお金がかかる? 犬のトイレ事情

 生き物を飼うということは、排泄(はいせつ)の世話もするということ。うんちやおしっこは飼い犬の健康状態を知る大事なバロメーターのひとつ。知っているようで知らない、犬の排泄について、どのくらいお金がかかるのか、検討したい。(ライター 福田優美)


 1匹の犬が、健康で充実した一生をおくるためにはどのくらいの費用がかかるのか?シーンごとに犬の飼育にかかわる費用について解説するこのシリーズ、第3回は「排泄」について検討してみたいと思います。

 排泄にお金がかかるの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。室内飼い、外飼いなど、飼育状態により異なりますが、いずれの場合も犬が健康的に排泄を行うには、快適なトイレ環境を作ってあげる必要があります。日常的な排泄のほかに、避妊手術を行ってないメスには半年~1年に1度、生理(ヒート)がきます。室内の場合は、ヒート中、部屋が汚れないように対処しなくてはなりません。

 また、犬を飼ったことがない人には、聞きなれない言葉かもしれませんが、犬には人間にはない「肛門腺」という器官があります。どんなケアが必要なのか。いくらかかるのか。詳しく見ていきましょう。

①トイレとトイレシート

 トイレトレーニングは、犬を飼い始めて最初の、かつ最も大切なしつけです。このしつけがうまくできるかどうかはその後の飼い主の負担に大きく関わるので、褒めながら、しっかりとトイレで排泄ができるようにしつけましょう。

 まずは「トイレ」作りです。室内で排泄をさせる場合は、トイレとトイレシートを用意します。トイレは、トイレシートを敷くための薄いトレーのようなものです。シートが固定されるので、犬がトイレの場所を覚えやすく、おしっこが飛び散りにくいので掃除をする際にも便利です。

 トイレトレーの価格は大型になるほど、またデザイン性が高まるほど、上がります。基本的に、トレーは犬の体格に合わなくなったり、使いづらくなったりした場合以外、買い替える必要はありません。

 実際におしっこを吸収するのはトイレシートです。サイズはレギュラー(33×44cm)、ワイド(45×59cm)、スーパーワイド(60×90cm)などがあり、サイズが大きくなるほど価格は上昇します。吸収性や消臭性はメーカーにより異なりますが、いずれも使い捨て。犬の排泄後、すぐに捨てる人もすれば2、3回するのを待って捨てる人もいます。交換頻度に決まりはありませんが、犬はきれい好きなので、汚いと感じたらすぐに取り換えてあげましょう。トイレが不潔と感じたら、犬はトイレ以外の場所で排泄したり、我慢しすぎて病気になる恐れもあります。

『犬と猫の健康管理』(IBS出版 猪熊壽)によれば、犬の一日のおしっこの量は、体重1kgあたり平均31ml。この量は食事内容や飲食量、運動量などによって大きく変動するので、普段から飼い犬のおしっこの量に気を配っておきましょう。

 参考までに、ユニ・チャームが発売するトイレシート「デオシート レギュラー」は、小型犬のおしっこ3~5回分に相当する約150ccを吸収できると記載されています。同社トイレタリー事業部の寶嶋隆志さんに話を聞いたところ、

「小型犬の成犬の場合、おしっこは3、4時間に1回。平均で1日5、6回程度。2回でシーツを取り換えるとして、1日約3枚、1カ月で90枚程度を使用することになります」

 同社の調べによると、飼い主の中には、吸収漏れを防ぐため2枚重ね、3枚重ねで使用する人もいるなど、使用量は人それぞれ。犬の高齢化が進むいま、老犬の飼い主の中には、自力でトイレまで歩けなくなったり、粗相が増えて寝たきりになった犬の体の下に敷いているという人も多いようです。

※L字型、ガラス製など特殊なものを除く、プラスチック製の二重構造のトレーのみで計算。<br />※店頭、ネットショップなど10商品内の平均価格
※L字型、ガラス製など特殊なものを除く、プラスチック製の二重構造のトレーのみで計算。
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※トイレシートは1日1枚~3枚使用と仮定<br />※店頭、ネットショップなど11商品の平均価格
※トイレシートは1日1枚~3枚使用と仮定
※店頭、ネットショップなど11商品の平均価格

②ヒート(生理)

 メス犬は、一定の年齢に達すると「ヒート」(発情、生理)を迎えます。これは性的に熟したというサイン、すなわち妊娠・出産の準備が整ったということです。最初のヒートを迎える時期は、小型犬が生後6~8カ月ごろ、大型犬が生後8~12カ月前後、中型犬はその中間あたりです。人間の女性と比べると犬の成長がいかに早いか、よくわかりますね。

 ヒートの期間は1~3週間ほど。ちょうど中間期の頃に、外陰部から出血します。出血量は個体差が大きく、自分で舐めとってしまう程度から、室内が汚れるまで様々です。

 一定の出血量がある犬には、紙おむつ、または生理用パンツとパッドを使用します。紙おむつは人間の赤ちゃんと同じく、おしりをまるまる包み込むもの。尻尾と後ろ足を穴が開いた部分から出せるようになっています。生理用パンツには帯状のパッドを張って使います。どちらも用途は同じなので、犬に合うものを選びましょう。

 余談ですが、犬用のおむつには、ヒート用以外にも、粗相が多くなった老犬用や、室内のマーキング対策用、ドライブ中や公共の場などで履かせるマナー用などが市販されています。

 ヒートの頻度は、小型犬・中型犬が6カ月前後に1度、大型犬が6~10カ月に1度くらいの周期。ただし、避妊手術をした犬にはヒートは来ません。避妊手術では、卵巣と子宮を摘出するので、生理的にヒートが起こらなくなるからです。

 避妊手術はヒートによる犬の欲求不満の軽減だけでなく、病気予防にも大きく役立ちます。「とだ動物病院」(東京都江東区)の戸田功院長は、次のような理由から、繁殖を考えている飼い主以外には早期の避妊手術をすすめています。

「手術自体はいつでもできるものですが、できるだけ若いに時期にしたほうがいいでしょう。メス犬は10歳を過ぎると、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍、乳腺腫、乳腺癌などの発生率がぐんと高まります。発症後の手術は、犬の体への負担だけでなく、費用も格段に上がります」

 とだ動物病院では、小型犬の場合、避妊手術だと約2万3千円ですが、生殖器系の病気が発症した後の手術では、手術部位が同じでも10~20万円になります。犬のヒートは年に1、2回のものなので、それ自体さほど大きな出費ではありません。しかし、避妊手術の有無により将来的に、大差がひらく可能性はあるようです。

 ヒートが終わりを迎えるのは、だいたい10歳~12歳くらい。ちなみにオスには発情期はありません。ヒート中のメスが発する匂いを嗅いで初めて発情します。メスと同じくオスも去勢手術をすることで、生殖器系の病気の予防になることも付け加えておきます。

※おむつは1日1枚~3枚使用と仮定<br />※店頭、ネットショップなど10商品の平均価格
※おむつは1日1枚~3枚使用と仮定
※店頭、ネットショップなど10商品の平均価格

③匂い袋(肛門腺、または肛門嚢)

 犬の肛門付近には、人間にはない「肛門腺(肛門嚢)」という器官があります。スカンクやフェレットが臭いにおいを出す器官と同じで、肛門腺の中には、強いにおいのする分泌液が入っています。

 通常、この分泌液はうんちと一緒に排泄されますが、筋力の弱い犬やうんちが小さい小型犬などは、自力で出せないことがあります。『トリマーのためのベーシック獣医学』(ペットライフ社)によれば、肛門腺の排出ができなくなった理由は、犬の家畜化に原因があるのだとか。もともと、犬はこの分泌液を通じて、お互いのにおいを嗅ぎ分けたり、縄張りを誇示したりしていましたが、人間に飼われるようになり必要性が低下した、というわけです。

 自力での排出が難しい犬は、定期的に肛門腺を絞り、分泌液を出してあげる必要があります。頻度は個体差がありますが、1週間~半年に一度。獣医師やペットサロンでもできますし、自宅で自分でもできます。『一生使える愛犬の病気大百科』(主婦と生活社)では、自宅でできる肛門腺絞りの方法が詳しく紹介されています。

 動物病院やペットサロンで行う場合は、耳掃除や爪切りなどとセットになっていることも多いです。

 肛門腺絞り(単体) 平均価格:500円


まとめ

 

 おなかがすっきりしない日は、気分もすっきりしない。それは人間も犬も同じです。毎日の排泄は、気持ちよく生きるのにとても大切なこと。今回ご紹介したトイレシートやおむつは、室内飼育を前提としたものなので、完全に屋外飼育の場合は、全く必要ないということもあります。ですが、その場合も、犬がきれい好きな動物であることを忘れずに、清潔なトイレ環境を保てるようにしましょう。それと、どこでどんなふうに排泄をしているのか、健康的なおしっこやうんちをしているのか、などの確認も必要です。

 散歩を兼ねて屋外で排泄をさせる飼い主もいますが、その場合は必ずうんちを持ち帰る袋を持参しましょう。最近ではうんちを持って帰るだけでなく、おしっこのにおいや跡を消すため、ペットボトルなどで水を持参してかけ流すという習慣が広がりつつあります。ルールが決まっているわけではありませんが、公共の場所であることを意識し、他人に迷惑にならないよう飼い犬の排泄ケアを行いましょう。

sippo
sippo編集部が独自取材した記事など、オリジナルの記事です。

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