ちょっと待って! その亀すくいは違法です!

 2014年夏、ハムスター釣りが「動物虐待だ」として話題になりましたが、そもそもあのときの露店は、第一種動物取扱業の登録を受けずに営業しており、違法状態でした。

 営利目的で動物を扱う場合、動物愛護法で第一種動物取扱業の登録を受けなければならないと定められているのは、哺乳類・鳥類・は虫類です。つまり、金魚すくいには規制がない状態なのですが、ハムスターはもちろん、亀すくいやヒヨコの露天販売などには、この規制がかかっています。

 ハムスター釣りは話題になりましたが、実はこれまでなされてきたほとんどの亀すくいも違法営業の可能性が高いのではないかと考えています。2014年夏に、東京・埼玉で3件の亀すくい目撃情報がありましたが、後日確認をしたところ、全て無登録でした。

 また、仮に土地の権原などの条件を満たすことができ、登録業者として合法に出店できたとしても、標識を掲げなかった場合等に法律違反になりますし、書面等を用いた説明義務や、その他の基準類の遵守義務もかかってきます。「実質登録できない」と言う自治体もあった中、実際に登録がされている事例があるので驚いたのですが、やはり去年まで、台帳をつけるなどの義務を怠って営業していたことが判明しています。

 お子さんが法令を守らない不適切な業者から動物を手に入れることがないように、幾つかチェックポイントを挙げてみました。

1.登録番号や動物取扱責任者の氏名などが書かれた標識か登録証がわかりやすいところに掲示されている?

・お店には、第一種動物取扱業の登録番号などを記載した標識か、登録証の掲示がなけ
 ればいません。サイズはA4サイズ以上です。1日だけの出店の場合は、お客さんと
 接する従業員全員が登録番号等の記載された識別章(A7サイズ以上)を胸などにつ
 けていることもあります。いずれかがあるか、確認してください。
・きちんとその場所で登録している業者であっても、標識か登録証の掲示がなければ、
 法律違反です。
・「1日だけの営業なら登録が要らない」と言う業者がいるかもしれませんが、1日だ
 けの例外が認められるのは、どこか別の飼養施設で登録を受けている業者だけです。
 その場合は、胸などに識別章をつけています。他の場所で登録を受けていない業者は
 1日だけの出店でもその場所で登録が必要です。(この通りの運用をしていない自治
 体もあるようですが、標識/登録証か識別章がなければいけないのは同じです)
・口頭で聞いても、平気で嘘をつくこともあります。登録番号等のわかるものを出して
 いないようなら「違反あり」と考えてよいですし、自治体の動物愛護行政に確認する
 方法もあります。

2.亀を渡す前に、書面で説明しなければいけない18項目をきちんと情報提供している?

・亀すくいの景品として亀を渡すことは、販売にあたります。業者はその個体について
 説明義務のある18項目【注1】について、きちんと書面を渡して購入者に説明をし
 なければいけません。相手が子どもであってもです。
・具体的には、種名は何か(ミドリガメは幼体の通称ですから本当の種名があります)
 成長したら体の大きさはどれくらいになるか(ミシシッピアカミミガメであれば20
 センチ~30センチに!)、寿命はどれくらいか(ミシシッピアカミミガメは20年
 ほど。40年生きた例も)等をきちんと説明しなければいけません。本当に飼えるか
 どうか、判断してもらうための決まりです。
・とりあえず、何も紙を渡さない業者や説明をしない業者は法律に違反しています。こ
 の場合は、まず自治体からの指導・処分の対象になります。

3.書面で説明を受けたことについて、お客さんから書類に署名をもらっている?

・業者は、上記18項目の情報提供をした際、購入者から署名などで説明を受けた旨の
 確認をもらわなければなりません。これは遵守基準に書かれており、子どもであって
 も、署名は必要です。
・一般的なペットショップは、一般社団法人全国ペット協会が作成している確認書を使
 っていることが多いです。

 さらに業者には、署名をもらったお客さんの名前を台帳に記載し、5年間保存する義務があります。
 こういったことを露天商がきちんと行っているか、疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

■ミドリガメを安易に子どもにわたす商売は、時代錯誤

 そもそも亀すくいによく使われているミドリガメことミシシッピアカミミガメは、日本の河川水辺で在来種を脅かすほどふえて問題となっており、環境省が緊急対策外来種に指定した種でもあります。農業被害も出ており、駆除(殺処分)が行われていますが、もとはと言えば、安易に飼育され、安易に遺棄されてきた結果です。さらにいえば、露天商が売れ残りを遺棄しているという話も耳にします。

 また、原則飼育禁止である特定外来生物への指定もいつかなされることでしょう。もし指定されても、既に飼育している個体に限っては継続して飼育できますが、国から飼育の許可を受ける必要があります。もはや、亀すくいで安易に飼育を開始すべき動物でないのは明らかです。ショップや生体卸も取扱をやめつつあります。

 また、亀すくいで亀を手に入れても、飼育に必要なものは後から買いそろえることになり、飼い方も親御さんたちが後追いで調べているのが実情ではないでしょうか。亀を追いまわすような遊びをさせる商売自体も、動物愛護の観点から好ましいことではないと私たちは考えます。

 違法かどうかに関わらず、安易に亀すくいで遊ばせるのは止めてほしいと願っていますが、法律上の規制についても知ってほしく、情報をまとめました。

 夏祭りで小さな亀を見かけたら……法律は、彼らも守っていることを思い出してください。

【注1】 動物の販売時に、書面等により対面説明が必要な18項目
哺乳類、鳥類、爬虫類に属する動物を売るとき、販売業者は、以下の18項目について、あらかじめ書面や電磁的記録によって、対面で説明をしなければいけません。

 1.品種等の名称
 2.性成熟時の標準体重、標準体長その他の体の大きさに係る情報
 3.平均寿命その他の飼養期間に係る情報
 4.飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模
 5.適切な給餌及び給水の方法
 6.適切な運動及び休養の方法
 7.主な人と動物の共通感染症その他の当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類
  及びその予防方法
 8.不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る。)
 9.前号に掲げるもののほかみだりな繁殖を制限するための措置(不妊又は去勢の
  措置を不可逆的な方法により実施している場合を除く。)
10.遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容
11.性別の判定結果
12.生年月日(輸入等をされた動物であって、生年月日が明らかでない場合に
  あっては推定される生年月日及び輸入年月日等)
13.不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)
14.繁殖を行った者の氏名又は名称及び登録番号又は所在地(輸入された動物で
  あって繁殖を行った者が明らかでない場合にあっては当該動物を輸出した者の
  氏名又は名称及び所在地、譲渡された動物であって、繁殖を行った者が明らか
  でない場合にあっては当該動物を譲渡した者の氏名又は名称及び所在地)
15.所有者の氏名(自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る。)
16.当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等
17.当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況(哺乳類に属する動物
  に限りかつ、関係者からの聴取り等によっても知ることが困難であるものを除
  く。)
18.前各号に掲げるもののほか、当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項

この特集について
from 動物愛護団体
提携した動物愛護団体(JAVA、PEACE、日本動物福祉協会、ALIVE)からの寄稿を紹介する特集です。
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