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「日本の畜産動物の苦しみを減らすための補助金を国に求めます」 署名への賛同を!

 日本の畜産動物の保護指数は世界最低ランクのG、企業のアニマルウェルフェアを格付けするBBFAWの評価でも日本企業は全て最低ランク、投資するにもハイリスクと評価される。

 この遅れは畜産業者ではなく、日本の食品企業のこれからの経営に悪影響を与えるものだ。

 この遅れ、取り戻せるのだろうか……?

厳しい現実を直視しよう

 2023年夏、私達は平飼いで飼育される採卵鶏の割合を調査し、日本では当時1.11%(現時点で1.12%)しかないということを発表した。これでも少しずつ増加しているものの、その微々たる増加率では、今後10年、20年、50年たっても、日本の動物たちが苦しみ続けることは間違いがなかった。昨年の段階で、米国の平飼い卵の割合は28.2%、韓国も5.6%であるにも関わらず、日本は1.11%なのだ。相当な出来事がなければ、日本の動物たちは数十年と最底辺で苦しむことになる。

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 採卵鶏がギュウギュウのバタリーケージに詰められ苦しみつづけるだけではない。日本の鶏たちは世界ではありえない原始的な方法で屠殺(とさつ)されつづけ、肉用鶏は飼育密度が高すぎて病気だらけでありつづけ、お母さん豚は拘束飼育されつづける。世界中が法的に禁止し、廃止した飼育方法を、日本だけ漫然と使い続けるという悲しい未来が来る可能性が高い予測でたってしまうのだ。

課題解決のために必要な補助金

 良い取り組みをする生産者が評価され、向上心のない生産者は淘汰されていく社会でなくてはならない。その過程で、必ず必要になるのは国や行政からの支援だ。今日本にはこれがない。アニマルウェルフェアを上げることに対する補助金がないのだ。これでは、ケージ飼育をやめ、屠殺方法を改善し、拘束飼育をやめたい、飼育密度も下げたいと生産者が思っても、二の足を踏むだろう。

 このような現状を知ったアニマルライツセンターのボランティアが、アニマルウェルフェアのための補助金を国に作らせるんだという決意をし、署名を立ち上げた

 この署名を立ち上げたボランティアたちのリーダーである濱部さんは、「動物たちは感情もあれば痛みも感じる存在です。しかし日本の畜産動物たちの多くは“もの”として残酷な扱われ方をし、生まれた瞬間から死ぬときまで苦しみ抜きます。アニマルウェルフェアに配慮した飼養のためにかかる費用は畜産業者自身の負担であることがほとんどで、一向に浸透しません。畜産への補助金をアニマルウェルフェアのための用途に広げてもらうことで、動物たちの苦しみを軽減したい、そのような思いで、この署名を立ち上げました」と述べている。

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 もし、この補助金が実現されれば、動物の苦しみを減らし、アニマルウェルフェアを向上させる意欲のある生産者は、取り組みを形にすることができるようになるだろう。畜産物を調達する企業が「国が動けばね……」という言い訳をすることもなくなるだろう。

 アニマルウェルフェアを向上させ、畜産動物の数を減らしていくことは、人、動物、環境すべてに良い影響を与える。動物愛護の問題ではなく、社会の持続可能性の問題だ。長期的に考えて、国の支援は必ず必要になる。

 日本という国は、今、増やしすぎた鶏や牛を殺した生産者には補助金を出すという、税金の使い方をしている。暗く、未来のないものに使うのではなく、明るく未来のある取り組みにこそ、使ってもらおうじゃないか。

(次回は8月12日公開予定です)
【前の回】巨大な食料システムに組み込まれた畜産動物 養豚場からの豚のレスキューはじまる

認定NPO法人アニマルライツセンター
1987年設立。動物たちの苦しみを効果的になくし、動物が動物らしくいられる社会を目指す。食べ物や衣類、娯楽や実験に使われる動物など人の支配下に置かれている動物を守る活動と、エシカル消費の推進に取り組んでいる。
この連載について
from 動物愛護団体
提携した動物愛護団体(JAVA、PEACE、日本動物福祉協会、ALIVE)からの寄稿を紹介する連載です。
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