夜遅くに迷子のヨークシャーテリアを保護 飼い主のためにできることは?

イチゴの首輪にはGPSを付けている

 保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第43回は「迷い犬を見つけたら」をお伝えしていきます。

(末尾に写真特集があります)

小さなヨーキーが迷い込んでいた

 友人たちが集まったとある休日の夜、みんなが帰るというのでお見送りをしようと外に出ました。

 あたりは静かな住宅街で、街灯が少ないのでだいぶ暗い場所。そしてどうしても別れ際に、また立ち話が始まったりしますよね。私たちも例に漏れず再び話だし、7人の人だかりができていました。

 するといつの間にか足元にノーリード、ノーカラーの小さなヨークシャーテリアが紛れ込んでるではありませんか!

 前を通り過ぎた女性の大きなリュックから落ちたのかなと思い、声をかけるも「違います〜」と言われて……。一体どこから来たのか、周りには誰もいないし、私が保護するしかないなと抱き抱えました。

 ヨーキーはまったく怖がりもせずに抱えられたまま、一緒に友人たちを見送りました。

 とはいえ、どうしたものか……。探している人の気配はないし、夜の10時にできることは思いつきませんでした。

迷子のヨーキーはイチゴの半分くらいの大きさだった

迷子の犬のためにしたこと

 一緒に家に入ると、ヨーキーはクンクンと家中を嗅ぎ周り、その後ろをトイプードルのイチゴが付いて歩くという図になっていました。

 いつから放浪しているのかわからなかったのでごはんと水を見せるも、特に興味なし。ソファにぴょんと乗って伏せの姿勢でゆったりしています。おとなしく、しかもとても人懐こくてとても良い子です。

 私も預かりボランティアをしていた老犬ニハチの脱走で経験がありますが、きっと飼い主は夜遅くても探しているに違いない。ポスターだけは作って寝ようと思い立ちました。 

 それには、大きく

犬を預かっています!
090-〇〇〇〇-〇〇〇〇
4月29日〜
早く迎えに来てね!

とだけ書きました。 

 それだけでいいの? と思われるかもしれませんが、本当に可愛くて超がつくほど小さなヨーキーだったのです。可愛い写真を載せて、よからぬ人が何食わぬ顔をして連れていってしまうかもしれないと懸念し、あえて載せませんでした。

 また、迷い犬のポスターに預かっている側の電話番号は必須ですが、携帯電話だから直通でつながるので、こちらの名前までは書かなくてもいいと判断。それから時間も書けば良かったのですが、預かり始めた日を書きました。

 コンビニなど外に犬をつないでおくと“連れ去りに遭う”という話を聞いたことがあるので、念のためにいろいろと用心しました。

 それを門の外、道を歩く人によく見える場所に貼りました。

 翌日、起きてから、警察に届けようと思ったのです。

警察へ行くまでの間のポスターを作った

早過ぎる?お迎え

 幸いなことに、見つけてから2時間後の夜12時に、玄関のインターホンが鳴ったのです。

 最初は「こんな時間に何ごと!?」と思いましたが、飼い主さんしかいないですよね。私だったら、夜遅くても次の日を待たずに同じことをすると思います。

 夫と一緒に玄関に出ると、「犬を探していた!」という、家族らしき20代の若い男性2人と中年の男性2人がいました。

「ポスターが貼ってあり、犬の鳴き声がしたからこんな時間に迷惑かとは思ったのですが、ピンポンしてしまいました」と言い、必死さが伝わってきたのです。

 ヨーキーはその1時間前にイチゴと一緒に1階で寝てもらおうと思い、私たちは2階にあがっていました。しばらくしたら鳴きだしたので、外に鳴き声が漏れていたようです。

 男性たちは「良かった〜」とほっとした表情で、ヨーキーも会えて安心している様子でした。

 話を聞くと、すごく近所に住んでいて、夜10時ごろに人の出入りがあった際に玄関からヨーキーは逃げ出してしまい気がつかなかったそうです。私は、脱走後すぐに保護したとわかりました。

迷い犬を見つけたら

 ニハチが脱走したことがあるので、必死に夜中まで探す気持ちがわかります。そして、長くボランティア活動している中で、迷い犬がいたらすぐに保護して、ポスターを掲示し、警察へ届け出るなどすることを知っていたのでスムーズでした。

 過去にも私は、リードを付けた迷い猫を保護したこともありますが、飼い主宅は家の近所の可能性が高いので、自宅の外にポスターでお知らせをしていました。その後、警察に届け出もしましたが、その時もやはり、ポスターを見た飼い主さんがすぐに連絡をくれて解決しました。

 犬を迷子にさせないためには、電話番号など書いたカラー(首輪)は必須です。

 もし迷い犬を見つけた人は、車にひかれる可能性があるので、人懐っこい場合はすぐに保護をして、人懐っこくない場合はむやみに近づかず、迷子アプリなどで迷子情報を探して、場所を伝えるなどをしてほしいです。

 それから飼い主と離れて不安だと思うので、水やフードなどを与えたり、寝床を作ってあげたりして、安心させてあげてください。

【前の回】楽しい思い出と共に過ごしたい 犬や猫との別れから教えてもらったこと

小林マナ
設計事務所イマ/インテリアデザイナー。内装設計やインテリアデザインをメインに活動。東日本大震災をきっかけに保護犬や老犬の預かりボランティアを始める。2019年に<SLOW>のイベントを開催。猫2匹、預かり中の保護犬2匹と暮らす。犬や猫たちのために自宅と事務所を併設、家族と事務所のスタッフたちと保護犬の預かりボランティアをしている。インスタグラム @imanimaltokyo

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この連載について
預かりマナの老犬日記
保護犬の預かりボランティアをしているインテリアデザイナーの小林マナさんが、預かり犬の魅力や老犬との快適な暮らし方をお伝えします。
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