多頭飼育崩壊から保護されたトイプーを預かる 脚は曲がりガリガリだが、愛敬抜群
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第35回は「多頭飼育崩壊から保護されたイチゴ」をお伝えしていきます。
多頭飼育崩壊から保護された犬
ある日、緊急で預かりボランティアを探しているという連絡が入りました。というのも、小型犬28匹の多頭飼育崩壊があり、何チームかの動物愛護団体が手分けしてボランティアを探していたのです。
うちで預かりボランティア中のミニチュアシュナウザーの老犬「ニハチ」は、それほど手がかからないしと、どんな子が来るかはわからないけれど手を挙げたところ、ちょうど近所に住むボランティアさんが一緒に、うちで預かる保護犬も連れて来てくれました。
そのボランティアさんは背中の曲がった犬を預かり、うちには脚の曲がった犬を置いていってくれました。来た子は汚物まみれだったようで、とりあえず汚れていた毛は刈ってあったのですが、頰の毛がピンク色になっていて、背中にも大きな茶色のシミがあり、どんなところで生活していたのか想像もつきませんでした。
きっとケージの中に入れっぱなしで掃除もしないで、ご飯だけもらっていたんだと思います。
かなり人懐っこい!?
うちに来たのはボソボソの毛とガリガリで貧相な白いトイプードル。室内に放すと、ほえもせずウロウロと歩き回り、あたりの匂いを嗅いでいました。ニハチとも特に問題なく仲良くできそうです。
その見た目から「なんだか変な犬がきたなぁ」と思いましたが、トイプードルなので、毛が生えそろってきてトリミングをしたら、見違えるような犬になるんだろうという期待もありました。
この白いトイプーは、なぜか常に笑っているような顔をしていて、愛敬のあるおもしろい子で、すぐにお友達からプレゼントのペットシーツが届き、その中に同封されていたエビ天のぬいぐるみをいつもくわえて持ち歩くようになったのです。
多頭飼育崩壊現場から保護された犬だというのにとても人懐っこく、誰とでもフレンドリーに接することができて感心しました。ニハチも性格がとても良くてみんなから可愛がられていましたが、白いトイプーはそれにも増してニコニコと愛敬を振りまいて可愛がってもらっていました。
そして、近所のボランティアさんちの方の背中の曲がった犬も、聞けば、とても人懐っこいとのこと。例に漏れず、白いトイプーは私をリーダーだと思ったのでしょう。いつも私にくっついて歩いていました。
名前はイチゴ!
白いトイプーには、「ル・ニア」という名前がありました。あら、なんかすてきな名前! と思ったのですが……、ヘルニアがあったからそういう名前になったそうです。なんという名前……。
ちょっと呼びにくかったのもあり、多頭飼育崩壊から保護されたときのナンバーの15番から「イチゴ」と呼ぶことにしました。由来はどっちもどっちですが、可愛い女の子なので「イチゴちゃん」と呼ぶことにしたのです。
推定年齢10歳くらい。口の中はボロボロでほとんど抜歯しました。左前脚は、骨折の痕がありそのまま曲がって付いてしまったようです。かなり曲がっています。
それから声帯を切られているので、声がかすれていて大きな声は出ません。28匹とも声帯を切られていたそうです。
ひどい飼い主に飼われていて本当にかわいそうだったのですが、幸いなことにイチゴも他の子もビクビクと何かにおびえることもなく、トラウマにもなっていないようでした。
いろいろな飼育環境があるので、一概に保護犬は「ビクビクおびえている」「かわいそう」「人に慣れない」とは言えません。
何歳からでも、その後の環境次第で変わる子がたくさんいるのです。
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