犬のために海から山へ移住完了! 環境は変わるけれど不安は何もない
先代犬の富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らすライターの穴澤 賢さんが、犬との暮らしで悩んだ「しつけ」「いたずら」「コミュニケーション」など、実際の経験から学んできた“教訓”をお届けしていきます。
家2軒分の荷物との格闘
少し前に、犬のために山へ移住することにしたと書いた。8月27日に思い立ち、年内をめどに完全移住するつもりだったが、前倒しして11月7、8日に引っ越しすることにした。
まず、普通の引っ越しと違うのは、腰越の家と山の家(八ケ岳)、それぞれに2軒ある家の荷物を一カ所に集約しなければならない。ソファ、ベッド、布団類、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビなど何から何までふたつある。山の家にあるものは5年間かけて少しずつ増えたものだが、気がつけば普通に暮らすのに何の不自由もないほどの物量になっていた。
それらのどちらを処分して、どちらを残すのか判断しないといけないし、粗大ゴミといってもそんなに簡単に処分できる時代ではない。リサイクルショップに持ち込んだり、買い取ってもらえないものは自分たちで鎌倉市の処分場に運んだりしていた。合計4回、車に満載して運んだが、それで終わりではない。
山の家に行く度に運ぶのが面倒だからと、服やタオル、調味料に至るまで2カ所分あるので、それらをどうにかしないといけない。
それに加え、八ケ岳では使い物にならない二駆の軽自動車や、海釣りで使っていた足漕ぎカヤックなどを下取りに出したり、インターネット環境やケーブルテレビを解約したり、引っ越し業者の見積もりなど、やることが山のようにあった。さらにこのタイミングで腰越の冷蔵庫が故障し、買い替えるはめになった。
そんなこと言っても誰かがやってくれるわけはないので、ひとつひとつ妻と手分けして終わらせていく。突然始まったドタバタに、大福は「何やってんの?うるさくて昼寝出来ないんだけど」とずっと迷惑そうな顔をしていた。そして、ついに引っ越しの日を迎えた。
断捨離とは正反対のところにあるわが家は、使わないものは処分したつもりだったのに、段ボールは200箱を超え、4tトラックでは収まりきらず、2tトラックが追加された。恐らく私のCDと本、妻の服が要因だが、よくもまぁここまで増えたものだと思った。
引っ越し業者さんがやってきて、手際よく荷物を運び出していく間も、大福は「何?何が始まったの?」と右往左往していた。
そうして7日に腰越の荷物は搬出され、8日に山の家に搬入された。その週末には腰越の自宅に戻り、9年間暮らした空っぽになった家を妻と二人で大掃除して、移住が完了した。大福は、がらんとした家を見て、何を思ったのか。
思えば、この家に越してきた2014年夏は、福助はまだ1才にもなっていなかった。その福助がもう9才、大吉は12才になった。長らく一緒に暮らしたこの家ともお別れだが、これからは新しい環境で暮らそう。
通い慣れているから
恐ろしいほどの荷物だったものの、当初は、山の家にある物置小屋と、客間として何も置いていない和室に詰め込めばなんとかなるだろうと思っていたが、いざ運び込むと容量はいっぱいになり、リビングやダイニング、寝室まで段ボールが積まれる事態になっている。
今は、なんとか通れる動線だけ確保して、あとは足の踏み場のない状態で暮らしている。
といっても、移住後の不安は何もない。2017年の夏に手に入れてから、6年通っているので、道も覚えたし、スーパーやコンビニがどこにあるのかも知っている。なんだったら、スーパーごとの特色や品ぞろえも分かっている。だから何も困らない。
厳しい冬も実はいい
季節の移り変わりだって何度も経験しているから、何も怖くない。八ケ岳の標高1400mの冬はさぞ厳しいんでしょう? とよく聞かれるが、実はそうでもない。たしかに真冬はマイナス15℃くらいになるが、晴れれば日中はポカポカしている。
なんだったら腰越にいるときの方が寒く感じることが多かったくらいだ。これは私だけではなく、何人も「都心にいるときの方が寒く感じる」と言うのであながち間違いではないだろう。
恐らく、風がそんなに吹かないのと、ちゃんと防寒着を着ているせいだと思うが、空気がキンとしていて不快ではない。八ケ岳は夏が最高だとイメージしている人も多いと思うが、実は冬は冬でいいのだ。
また、標高は高いがそんなに雪は降らない。ひと冬に4回くらいは積もるが、せいぜひ10cmほどで、雪国のように玄関まで埋まるなんてことはない。少ないながらも雪が積もると車の運転など色々大変だが、大福は大喜びするからそれはそれでいい。
人とのつながりも
さらに、頼れる地元の知り合いもいるし、何より心強いのは、山の家を改築してくれた大工さんが近くに住んでいることだ。まずは物置小屋を作ってもらわねば。荷物はそこへぶち込んばいい。
これから八ケ岳での暮らしが本格的に始まる。江ノ島の花火大会もなければ、暴走族もいない。どちらも苦手な大吉にとってはいい環境だ。夏は平地と比べると10℃ほど低いから、犬にとってはパラダイスだろう。
今、大工さんに作ってもらった小さな仕事部屋でこれを書いている。静かで、ときおり鳥のさえずりが聞こえる。
荷物の片付けが残っているからもう少しドタバタは続くが、もう腰越に帰らないことを、大吉と福助はいつ気がつくのだろうか。
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