寒がりな猫でもさすがに厳しい今年の夏 酷暑の日々、室内温度や環境はどう整える?
猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回は、「猫の暑さ対策」について、入交先生が答えます。
猫のルーツから考える猫にとっての適温
今年の夏は本当に暑いです。北海道や、以前住んでいた青森でさえも天気予報に気温「36℃」などと表示されているのを見て、「本当か?」と目を疑ってしまっています。
そんな暑い毎日ですが、猫はこの夏をどう感じているのでしょうか?冬はこたつに潜り込む猫たち、寒がりなのはなんとなく理解できるものの、夏のこの暑さに対してはどう対処したらいいのか悩むところです。
猫は確かに寒がりです。しかし、暑さには強いということでしょうか?猫の祖先はリビアヤマネコ。1万年前のリビアや最初に人と暮らす猫がいると考えられたイスラエルあたりからきていることから考えてみます。
リビアの気温を調べると現在でも7~33℃くらいのようです。しかし猫は、現在は家畜化され、人の住むところどこでも生活ができる動物になりました。ノルウェージャン・フォレストキャットのように原産がスカンジナビア半島を中心とした北欧の猫もいます。人の住んでいる寒い地域からの猫もいるのです。
いろいろ考えると、彼らの適正温度は人の適正温度と同じような感じだと考えていただけたらよいかと思います。でも、人同様寒いのが嫌い、暑いのが嫌い、というような個人差、品種差はあります。
快適な場所を猫が選べるようにしておく
今年のように暑い夏は、家に人がいるときのように冷房を28℃くらいに設定し、猫が寒いと感じたら、少し暖かなところに逃げられるような工夫をしておくとよいでしょう。
我が家の場合、リビングは冷房を28~29℃設定にして、冷房のついていない寝室のドアを開けておくようにしています。我が愛猫は冷房が強いと感じると、寝室のクローゼットの中に隠れていたりベッドで寝ていたりしています。逆に暑いと、リビングのソファーの上や箱の中に入っています。猫が自ら選んで快適な場所にいられるようにしてあげるとよいでしょう。
水とトイレの置き場にも配慮
他に気を付けたい点として、水がどのお部屋にいても飲めるような環境を作ってください。また涼しくしている部屋から少し暖かい部屋に避難していたとしても、それぞれの部屋からのトイレへのアクセスは良いように考えてあげましょう。例えば同居犬がいたとして、犬が寝ている場所を通らないとトイレに行かれないような導線であれば、トイレを1つ増やさないといけないかもしれないですね。
もしたくさんの猫さんがいる場合は、みんなが好きで快適な場所にいられるように、寝床など、涼しい場所、風の当たらない場所、少し暖かい場所などそれぞれの猫さんが好みで選べるような環境を作ってあげるとよいかと思います。
愛猫の様子をよく見て臨機応変に
いろいろ偉そうに書いていますが、こんな暑い夏は我が家も経験したことがなく、冷房を付けつつも、猫に最適な場所は日々愛猫のことを観察して、対応していくようにしています。食卓に乗っていることがよく見受けられるので風の向きなど何かあるのでしょう。「食卓テーブルの上で寝るのは禁止令」は、この夏は撤廃し、撤廃にあたり、テーブルクロスの上に、猫さん用の敷物を用意し、食事のときに猫の毛を食べてしまわないように、日々工夫しています。
猫の行動や様子を見ていただいて皆様の猫さんたちが快適な夏を過ごせますように。
そして猫も人も酷暑の夏、バテずに元気に乗り越えられますように。
(次回は9月10日公開予定です)
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