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猫の要求鳴きへの対応は? 「ひとり遊び」と猫がわかりやすい「ルール決め」がカギ

 猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回は「猫の要求鳴き」について、入交先生が答えます。

飼い主のことが大好き!

 秋が徐々に深まってきました。紅葉も始まっていますね。食欲も増す季節で、体重計に乗るのが怖い季節が本格到来です。

 さて、「愛猫ちゃんがずっと鳴いてしまう」というお悩みをいただきました。多くの場合は、猫さんが大好きなご家族の関心を求めていて、一生懸命話しかけている状態だと思います。

 しかし、例えば高血圧とか、甲状腺機能亢進症という病気などでも、ずっと鳴いたり騒いだりするような行動が見られるときがあります。特に高齢の猫さんの場合は、動物病院で健康診断をまずはしていただきたいと思います。

 今回のご質問は、若い猫さんが対象で、身体の病気がないことを前提にお答えします。かわいい、かわいい、甘えん坊の猫さんたちには、どう対応したらいいのでしょうか?

ひとり遊びができる知育トイとルール決め

Q1. 2歳の成猫を迎えてもうすぐ半年。猫も我が家に慣れた今、私が家にいるときは四六時中ストーカーのようにつきまとい、深夜や早朝、また日中も、時間を問わず私のことを見て、大きな声で鳴いてきます。仕事や家のこと、また睡眠など……ひとりで静かにしていてほしいと思ってしまうことがあります。猫の要求鳴きはやめさせられますか?

 ご相談者様のことがとっても大好きな猫さんなのだと思います。ずっと見ていてほしいのかもしれません。また、たとえ叱られているとしても、大きな声で鳴くと関心を引けるので、つきまとって、少し鳴いてみて、反応がないと大きな声で鳴くのだと思います。

 まず、かまってあげられないときは「知育トイ」という、おもちゃにおやつを入れてひとり遊びをさせてもよいでしょう。ひとりで遊んで待つことを教えてあげてください。「ちゅ~る」のような液体系のおやつを入れるおもちゃもあります。

 ウェブサイト「わんにゃん暮らしのアドバイス」で少し猫のおもちゃを紹介しています。手作り知育トイのページも見てみてください。

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 夜間に関しては、猫さんを部屋に入れないようにできますか? 夜間は完全に猫さんを無視いただいて、ひとりで遊べるように知育トイなどのおもちゃをリビングに置いておいてあげましょう。ドライフードやおやつをリビングのあちこちに隠しておいて、夜間ひとりで宝探しゲームをしてもらってもよいでしょう。

 夜間に鳴く行動に対して、ご家族が起きて声をかけたり叱ったりすると、「鳴くとみんながかまってくれる!」と猫さんが学習して行動が悪化しますので、“夜の12時を過ぎたら人間家族は朝まで何もしません”、というルールをしっかり教えるために、完全に無視することをおすすめします。

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Q2. 愛猫が鳴いて訴えてくることがとても多く、やりすごすことに苦労しています。短い時間であっても外出から帰ったときはとくにひどく、他にも食べ物がほしい、かまってほしいなど、理由はいろいろありそうです。私は在宅勤務をしており、いつでも相手をできるわけでもなく……。改善するためのいい方法はありますか。

 お出かけからの帰宅時にとくに鳴くとのこと、ご家族のことが大・大・大好き!な猫さんなのですね。さみしかったよーと鳴いている姿を想像して、ほほえましくなりました。しかし、対応するご家族も大変だろうなと思う気持ちもあります。

 Q1でもお答えした内容と同じで、かまってあげられないときはひとり遊びができるように知育トイを使ったり、ひとりで宝探しをさせたりしましょう。

 また、お出かけの後はどうしても甘えん坊になるものです。甘えさせてはいけないと言う方もいらっしゃいますが、あまり厳しく考える必要はなく、猫さんがちょっとくっついてくるのは許してあげましょう。

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 在宅勤務の最中の行動に関してですが、仕事中は扉を閉め、知育トイを渡しておき、鳴いても無視して、お部屋に入れないようにするしかないと思います。「仕事部屋の扉が閉まっているときは遊べないんだ」と猫さんが理解するようになります。

 たまにかわいそうになってかまってしまうと、今度は「鳴き叫べば何とかなる」と学習するのでやめましょう。「ドアが閉まったら人は絶対に相手してくれない」、「ドアが開いたら遊んでもらえる」とルールをしっかり決めてわかりやすくすることで、猫さんがルールを理解してくれるようになります。

 無視をするのはなかなか難しいことですが、猫にとってはわかりやすい合図となります。猫さんも「今はダメなんだ」と覚えることで、無駄な「かまって!!!」の努力をしないで済むようになります。「ドアが閉まった、しょうがないから寝よう」と学習していってくれます。

 猫さんたちのためにもルールを作ってあげてください。知育トイはいろいろ試していただけると思います。

 最後に、双方のご質問者さまにお伝えしたい大切なことを。

 猫さんはご家族のことが大好きです。遊びが大好きで、人と遊ぶことも大好きです。

 まずは、お忙しい毎日ではあると思いますが、必ず猫と遊ぶ時間をとってあげて、その時間は思い切り遊んであげてください。遊ぶ時間を設けることで、猫さんたちも「この時間が来れば遊べるからダメなときは待とう」と学習してくれます。

 これから寒くなり、猫が布団に入ってくる季節ですね。布団に入ってくれる猫さんがいるご家庭にとって、ちょっとうれしい季節です。秋から冬も猫との暮らしを楽しんでください。

(次回は11月10日公開予定です)

【前の回】猫が前脚でする「ふみふみ」 エスカレートするときは脳の機能障害や病気の可能性も

入交 眞巳
獣医師。東京農工大学 特任准教授。どうぶつの総合病院・行動診療科主任。旧日本獣医畜産大学卒業後、米国パデュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医の資格を有する。

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この連載について
ねことの暮らし相談室
 獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が、どうやって猫と幸せに暮らすかのヒントとともに、猫たちの困った行動への疑問に答えていきます。
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