ペットロスで生きる意味を見失った飼い主 闘病をあきらめなかった愛犬を思い出して…
いつか来るペットとのお別れの日――。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。
2019年5月にキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルのココちゃん(享年11歳)をお見送りした由美さんに、ココちゃんの闘病について、また、死を通して考えた生きることについてお聞きしました。
心臓弁膜症から多臓器不全に
――由美さんは愛犬のココちゃんを2019年に亡くされたそうですが、ココちゃんはなぜ亡くなったのでしょうか?
多臓器不全でした。心臓弁膜症を8歳のときに発症し、そのころからずっと薬を飲んでいて、毎月、心音を聞きに動物病院に行っていました。徐々に薬が増えていき、結果的には継続して服用していた薬が腎臓や肝臓などに負担をかけてしまったのではないか、と獣医に言われました。
――8歳から12歳の直前まで、4年近く薬を飲み続けていたようですが、ココちゃんが亡くなると由美さんが感じたのはいつごろからですか?
亡くなった年の2月半ばに「最近たくさん水を飲むな」と思い、病院で血液検査をしたところ腎不全だとわかりました。点滴をしたり、薬を飲ませたり、手作りご飯に変えたりして数値をコントロールしていたのですが、3月半ばころに「ちょっと厳しいかもしれません」と獣医に言われたのですが、信じられなくて……。
でもそこから食いしん坊だったココの食欲が落ちてきて、10キロあった体重が6.5キロくらいまで落ちてしまいました。4月の中ごろには私もこれはちょっとまずいなと実感しました。
最期まで見守ることができて幸せだった
――ココちゃんの最期はどのような様子でしたか?
もともとお散歩がそんなに好きな子ではなかったので、外はあまり出ていませんでしたが、家の中では自分で歩き回っていました。脚力は弱っていたのでコテっと転んでしまうことがあったのですが、亡くなるその日まで、自力でペットシーツまで行き、排泄(はいせつ)をしていました。
――みとることができましたか?
亡くなる前の2週間は会社を休んで、付きっきりで看病していました。亡くなる2日前には肺水腫で呼吸が荒くなったので、酸素ルームをレンタルしました。ちょうど令和に切り替わった日の朝7時半ころ、私の目の前で呼吸が止まりました。大切なココを最後まで見守ることができて、それは幸せなことだと思いました。
生きる意味を考え続けたが、「意味は必要ない」
――事前に回答いただいたsippoのアンケートに、「生きている意味を見失いました」と書かれていましたが、そのようなペットロスの状態からどのように立ち直りましたか?
日にち薬というのでしょうか。日を追うごとに気持ちの変化がありました。どうやって立ち直ったのかは自分でもわからないのですが、ココが亡くなってから喪失感が大きすぎて、毎日、毎日「なんで自分が生きているのか、生きるってどういうことなのか」を考えてしまっていました。
そんな中、ココは闘病中も生きることを最後まであきらめていなかったことを思い出し、その姿を思い返したことで、「何かの目的のために生きる」ではなく、「ただ生きる」ということでいいのかなと考えるようになりました。
生きる意味を突き詰めることは必要なく、ただ生きるということ。勝手な解釈かもしれませんが、息をして、生活をしていく、命があるということが生きるということなのかなという答えにたどり着きました。
――ココちゃんの死から学ぶことがあったのですね。
ココが死んでいく姿を見て、逆に生きていくことを真剣に考えるきっかけになりました。死んでいくことは大げさなことではなく、必ず通る道、それに向かって生きる。誰もが死に向かって生きていると知りました。
今はペットロスから立ち直り、保護犬の「ボウ」を迎えたので、次はこの子を最後まで見守れるよう、まず自分が健康に生きていかなければならないと意識して生きるようになりました。
<取材を終えて>
由美さんは「ココはわがままな子で気が強い女の子でしたが、本当に大切でした」と涙を流しながらつらい記憶を思い出し話してくれました。新しく迎えたボウくんと由美さんの生活が幸せでありますように。
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