毛皮農場のショッキングな映像が公開 ノルウェーでは最後の毛皮農場が閉鎖に!

フィンランドの毛皮農場で飼育されるキツネたちの悲惨な実態が映像で暴かれた

 今回は、こちらの記事に続き、毛皮農場に関する話です。

<フィンランド>負傷し、病気にかかり、共食いする毛皮農場のキツネたち

 2023年1月19日、フィンランドの毛皮農場のキツネたちが、涙を流し、目と耳は感染症にかかって腫(は)れ、尾は負傷して血まみれというショッキングな映像が、フィンランドの動物保護団体「Oikeutta eläimille」と「Humane Society International/Europe」によって公開されました。

 映像は、品種改良によって巨大な皮膚のひだを持つ肥満の「モンスターキツネ」と、死んだ兄弟姉妹を共食いする子ギツネも映し出しています。

品種改良によって巨大な皮膚のひだを持ち肥満にさせられた毛皮用のキツネ

「Oikeutta eläimille」は、2022年6月から11月にかけて、フィンランド西部のOstrobothnia地域で無作為に選んだ6つの毛皮農場で撮影しました。同団体の、キャンペーンおよびコミュニケーションマネージャーであるKristo Muurimaa氏は次のように述べています。

「フィンランド人の大多数は、毛皮のために荒れた檻で動物を飼うことを禁止したいと考えていますが、フィンランドの政治家がこの残酷な行為に終止符を打とうとしません。EU全体で禁止すれば、動物福祉よりも金銭欲が重視されてしまっている他の加盟国でも、動物が救われるでしょう」

 フィンランド原産のキツネの毛皮(フォックスファー)は、フェンディ、イヴ サロモン、ウールリッチ、エルマンノ シェルヴィーノ、マックスマーラなどのブランドで使用されています。

2023年1月に動物保護団体によって公開されたフィンランドの毛皮農場の映像(日本語字幕)

*英語字幕版
Undercover investigation on six fox farms in Finland revealed suffering of countless animal

<ノルウェー>最後の毛皮農場の檻が空に!

 2023年1月中旬、ノルウェーで最後のミンク農場の閉鎖によって、この国から毛皮農場がなくなりました。ノルウェーの動物保護団体「NOAH」は、1989年以来、毛皮農場を終わらせるために活動してきました。次の目標は、ノルウェーが毛皮製品の輸入を禁止することであり、政府は現在、この禁止提案を検討しています。

 2018年、ノルウェー政府は動物福祉への懸念から毛皮動物の飼育を禁止することを決定し、2025年施行となりました。「NOAH」のディレクターで獣医師のSiri Martinsen氏は、次のように述べています。

「期限の2年前に檻が空になったという事実は、それだけ早く何千もの動物を苦しみから救ったということです。30年に及ぶ戦いが終わり、ついにノルウェーから毛皮農場がなくなりました。毛皮製品の輸入を禁止するための活動を継続し、将来的に毛皮農場を禁止する国を増やすための活動に貢献することが重要です」

世界の国と地域における毛皮に関する法規制(2022年10月時点、毛皮に反対する動物保護団体の国際連盟Fur Free Alliance作成/JAVA訳)

 現在、19のヨーロッパの国々がすでに毛皮農場を禁止したり、禁止を決めています(うち14はEU加盟国)。EU加盟国においては、フィンランドを含む少数の国だけが未だに毛皮農場を許可しており、今こそEU全体で禁止する時です。これまでに120万人以上のEU市民が、EUでの毛皮農場と毛皮の販売を禁止するよう欧州委員会に求める請願書に署名しています。

(次回は5月8日公開予定です)

【前の回】あなたが進学する学校に解剖実習がありますか? JAVAが解剖実習に反対する理由

JAVA
NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)。1986年設立。動物実験の廃止を求める活動を中心に動物の権利擁護を訴え、世界各国の動物保護団体と連携しながら活動している市民団体。
この連載について
from 動物愛護団体
提携した動物愛護団体(JAVA、PEACE、日本動物福祉協会、ALIVE)からの寄稿を紹介する連載です。
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