元野犬がとうとう譲渡!? お世話をしていた預かりボランティアの複雑な気持ち
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬2匹と生活をともにしています。第21回は「預かりボランティアの複雑な気持ち」をお伝えしていきます。
預かりボランティアは悲しまない?
うちの場合はすでに犬・猫の飼育数がオーバーしていたので(動物愛護団体ミグノンの飼育制限頭数は大人1人に対して1匹まで)、保護犬を譲渡することはできないと言われていました。
なので、動物を助けたいということだったら「お散歩ボランティア」や「預かりボランティア」、そして時間もなく家でも預かれない人は「お金の寄付」など、いろんな支援方法があることを教えてもらいました。
私はとにかく1匹でもいいから助けたいという気持ちで「お散歩ボランティア」を1年間していましたが、だんだんミグノンへの行き来の時間がもったいないという気持ちになり、「預かりボランティア」に変更したのです。
少しの期間でも保護犬を預かれば情が移ります。そして、別れの時が来ることを覚悟していても、譲渡が決まったときは悲しい気持ちになります。でも預かっていた子が譲渡されれば、また新しい子を預かることができるのです。
預かりボランティアは悲しまない? いいえ。ちゃんと悲しんで、そして我が子のように送り出しているんです。
譲渡会に預かり犬を出す
ミグノンの譲渡会に出せば譲渡の機会は増えますが、我が家で預かっていた元野犬のドーはとても怖がり、そしてドーも、兄妹のシャーも車が苦手でした。かわいそうに毎回移動中は嘔吐(おうと)してしまいます。ごはんはミグノンに行ってから取るようにしても、なかなか解決しませんでした。
あちらこちらの「預かりボランティア」さんのところから譲渡会に集結した動物たちは、堂々としている子、怖くて隠れようと身を小さくしている子、全く動じずに寝ている子、ほえ続けている子など性格は様々です。希望者さんたちには動物にむやみに触ったりしないよう注意を施しながら、係のボランティアさんたちが案内していきます。
ドーとシャーの様子は、案内をしてくれるボランティアさんから、「移動中に気持ちが悪くなり結構ぐったりしていて、譲渡会の後半ごろからはよくほえていた」と聞いていました。
ある若い夫婦が甘えん坊のシャーに申し込みをしてくれた時、私はとうとうこの日が来たか~っと喜び半分、寂しさ半分の気持ちになりました。子犬から預かっていただけあって正直寂しさは大きかったです。
シャーは性格的にも飼いやすいだろうと心配はありませんでしたが、とても甘えん坊だったので離れがたい気持ちはありました。
とうとう譲渡!?ボランティアの複雑な気持ち
シャーに申し込みをしてくれた方は、すぐにトライアルの日が決まり、住居確認の付き添いに行きました。譲渡会で話してもわからないことが、家に行くことでわかるのです。
珍しく夫も「ついて行く」と言って来たのですが、道中ですすり泣いていました……。私はなんとか感情を抑えていましが、夫は可愛い子犬をなんで人に譲らないといけないのか、ちょっと気持ちの整理ができなかったのでしょう。
申し込み者さんは新婚のご夫婦で、新居から犬が飼えるマンションを選んでくれていました。申し分のないご夫婦で条件はきちんと満たしていました。びっくりしたことに、シャーが2人にデレデレ。帰る時も、もうここは「私の家」とわかったのか、寂しがるそぶりが一切なかったのです。
きっとすぐに正式譲渡の日が来てしまうんだろうなと、予想がつきました。
そしてもっと驚いたのは、私よりも夫が悲しんでいたことでした。つい2カ月前からシャーのお散歩の係になっていたのです。私がドーを、夫がシャーを連れて散歩に行っていました。
老犬を預かることが多いところに子犬の預かり犬がやって来て、すぐにもらわれるだろうと思っていたのに、その頃9カ月が経っていました。すっかり情が移ってしまったんですね。
次回は「臆病犬ドーちゃん頑張ろう!」という話をしたいと思います。
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