ネコは人の表情や感情を読み取れる? 飼い主が幸せそうな雰囲気だと寄ってくる
以前、ネコの表情を調査した論文を紹介しました。あまり表情に変化がないと思われているネコですが、痛みについてはしっかりと表情に変化が現れることがわかりました。
ではネコ自身は、人の表情を区別したり感情を理解できるのでしょうか? 今回は人の表情や感情をネコが読み取れているかを調べた論文 " Man’s other best friend: domestic cats (F. silvestris catus) and their discrimination of human emotion cues "を紹介します。
怒っている顔と幸せな顔を見分けられる?
イヌは人が指さした先にあるものを理解したり人の表情を区別したりといった人とのコミュニケーション能力に長けています。ネコにも同じように、人の身ぶりを読み解く能力があるものの、表情を区別しているかどうかはわかっていませんでした。そこでオークランド大学の研究チームは、ネコが人の表情をどのように区別しているかを調査しました。
ひとつめの調査は、12匹のネコを対象に飼い主さん宅でおこないました。飼い主と見知らぬ人がそれぞれ怒った顔とうれしそうな顔の表情をみせて、ネコの行動を記録しました。
怒りの表現は、あぐらをかいた状態で拳をにぎりしめ、姿勢はやや前かがみ、眉毛に力をいれて、口は閉じます。とても緊張した状態です。幸せな表現は、同じくあぐらをかいて座り、腕はゆるくひざにおき、目の幅は狭くなり、ほほ笑みながら歯をみせます。こちらはリラックスしている雰囲気です。2メートル離れたところにネコがいる状態から3分間の行動を記録しました。
ふたつめの調査は、26匹のネコが参加し、研究室の部屋でおこないました。飼い主さんは渡されたポジティブな内容の台本とネガティブな台本をそれぞれ読み、キャリーの中にいるネコがキャリーから出てくる時間や部屋を動きまわる時間などを2分間記録しました。
ネコは飼い主の表情は区別してる!
ひとつ目の調査の結果、ネコは飼い主が怒った表情をしている時よりも幸せな表情をしている時に、より飼い主に近づくということがわかりました。また幸せな表情の時にはポジティブな行動も多くみられました。ところが、見知らぬ人の怒った表情と幸せな表情には差がありませんでした。
これらの結果から、ネコが人の顔自体を細かく見分けて区別しているのかはわかりませんでした。むしろ、飼い主がうれしい顔をしていたらおいしいご飯がもらえる。怒っていたらおやつはもらえない。といった、表情と行動との関連で区別ができるようになった可能性が考えられます。
ふたつ目の調査では飼い主も見知らぬ人も、感情の違いによる行動の差はみられませんでした。ただ、見知らぬ人よりも飼い主をじっとみる時間が長かったとのこと。研究室という不慣れな場所で、いつもと違う飼い主の動きに注意深くなっていたのかもしれません。
ネコの表情を読み解くことがなかなか難しいと感じるかもしれませんが、ネコは飼い主の表情は区別がついているようです。人と同じく、幸せそうな雰囲気を出していればネコも寄ってきてくれるのではないでしょうか。
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