ネコが何を考えてるかわからない? 耳やマズルで表情の変化を読み取れます
「ネコは表情が読めないから何を考えているかわからない」なんて、言われたことはありますか? ネコ好きとしては反論したくなりますが、実際にはヒトやイヌに比べて顔まわりの筋肉が少なく、さらに顔全体が毛で覆われているために表情が読み取りにくいといわれています。
とはいえネコを飼っている人は、愛猫がさまざまな表情をみせてくれることを知っていることでしょう。そこで今回は、ネコの痛みに関する表情を調査した論文" Facial expressions of pain in cats: the development and validation of a Feline Grimace Scale"を紹介します。
痛みの表情を測定する
顔の表情はヒトに限らず、さまざまな動物の感情や状態を表す指標として使われています。カナダ・モントリオール大学の研究チームは、ネコの痛みの表情に注目し、調査をおこないました。調査には、以前まばたきに関する記事で紹介した顔の筋肉の動きと表情を測定する「CatFACS(キャットファックス)」を用いました。
ネコの痛みの表情を調べるために、耳の位置、目の開き具合、マズル(口元)の緊張度、ヒゲの動き、頭の位置の5カ所の特徴を記録しました。それぞれの特徴ごとに痛みの具合を0から2までスコア化します。スコアが4以上の場合、ネコが痛みを感じていると評価します。著者はこの測定方法を「ネコのしかめっ面スケール“the Feline Grimace Scale (FGS)”」と呼んでいます。
調査は大学の附属動物病院でおこなわれました。飼い主さん同意のもと、31匹の猫が避妊去勢手術などの痛みをともなう治療の後と鎮痛剤投与後に、病院内のゲージにいる表情をビデオカメラで撮影しました。また手術をおこなっていない20匹のネコについても同じようにゲージにいる際の表情を撮影しました。撮影した画像をもとに、耳や目、マズルの位置を測定しました。
表情の変化は耳やマズルをチェック
測定の結果、苦痛を感じているネコは耳の位置が下がり、目が閉じ気味になり、マズルがやや膨らむという表情をみせることがわかりました。ネコも痛みの段階によって、表情が細かく変化していたのです。
この論文が発表された後、別の研究チームが猫種によっても痛みの表情が異なることを調査したり、別の測定方法を用いより細かな表情を分析しています。今後研究がすすめば、よりさまざまなネコの表情を見分けることができるようになることを期待します。
ちなみに、参加した黒ネコは表情の測定ができなかったとのこと。実際、カメラやスマートフォンなどで黒ネコを撮影しようとすると、黒い塊になってしまうことがあります。黒ネコの表情を見分けるには別の測定方法が必要かもしれません。
今回ご紹介した論文
Facial expressions of pain in cats: the development and validation of a Feline Grimace Scale
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