はじめての保護活動 野良猫の母子それぞれの幸せについて考えた
サーフィンやスケボーが得意な愛犬コーダと保護猫フィーユ、ガロと暮らすドッグトレーナー浅野さんの犬猫日記。今回は第4、5回の続きとなる「はじめて保護した野良猫たち、母猫はTNRをし子猫は譲渡へ」をお伝えしていきます。
母猫を子猫から離していいか
親戚による、野良猫への無責任な餌やりを目撃し、人生で初めて、子猫3匹と母猫1匹を保護しました。考えた末、母猫は避妊手術をしてTNRのR(=元いた場所に返す)をすることに。
もちろん、母猫を家で飼うことはできないだろうかという思いはありましたが、野良猫はそう簡単に人になれません。自分からすり寄ってくるような子でない限り、逆に猫をストレス下におくことになります。そのためこの時は母猫を思ってTNRを決意しました。
準備が整い、捕獲した場所で母猫が入っているクレートを開けると……。母猫は出てきた瞬間Uターンして、子猫たちを探して鳴きはじめてしまいました。
ケージの中にいた子猫たちは母猫の声を聞き、脱出しようと鳴いて暴れまくっています。
しかしこの時すでに、子猫たちの譲渡先候補がありました。今は子猫たちにお母さんが必要だけど、あと2カ月もすれば独り立ちして離れていきます。
そして譲渡先が決まった子猫たちは、もう、飛んでいる虫を食べたり、緑色になった水を飲んだり、アリにまみれた総菜を食べなくてよくなりますし、うんちから寄生虫が出ることもなくなります。体調が悪くなっても飼い主にケアしてもらえるし、おいしいご飯や気持ちのいい寝床をもらえます。
母子の鳴き声に胸が張り裂けそうになりましたが、何度も別れを繰り返すよりはいいと、お互いを会わせないようにぐっとこらえました。
家族が決まった子猫たち
つらい別れから何日か経つと、ノミだらけ、うなりまくりで激暴れしていた子猫の駆虫が済んで、「ご飯ちょうだい!遊んで~!出して~!」とアピールしてくれたり、近づくとゴロゴロとのどを鳴らしてくれるようになりました。1匹は抱っこができるようになり、他の2匹も少しずつなれていきました。
インスタグラムで譲渡先の募集をしていたのですが、名乗り出てくださった愛知県にお住まいのご夫婦が、幸いなことに、兄妹が離ればなれにならないように3匹まとめて迎え入れたいと申し出てくれました。
猫たちの成長過程もインスタグラムで見ていてくださり、お迎えする前から飼育環境の準備もバッチリでした。猫たちのお部屋は5階建てのキャットケージで、室内はエアコン付き、トイレが2つ。
引き取り当日は、愛知県から、子猫たちのいる千葉県まで迎えに来てくださり、大切にクレートを抱えて帰られました。
悩むことはあるけど知ることが大切
今、3匹の子猫たちは立派な成猫になり、何不自由なく優しく育ててもらい、幸せに暮らしています。
一方、母猫は、半年間は元居た場所に住み着いていたので、なれなくてもいいからうちの子にしようと決心して捕獲を試みたのですが、その日からもう来なくなってしまいました。たまに遠くの方で見かけたので、声をかけたりご飯をあげていたけれど、今はもう姿すら見せません。
お家のない猫の生活は過酷なのです。寒い冬の日、厳しい夏の暑さ、雨の日……。母猫をリリースせずにうちの子にすれば良かったのか、今でも考えます。
今回のように猫が親兄妹との別れがあるのは、無責任な餌やりや避妊去勢手術をしないで屋外飼育をする人がいるなど、野良猫を増やす原因があるからです。避妊手術をしていないメス猫は、またすぐにオス猫に見つかり交尾が始まり妊娠します。
初めて野良猫の保護をしてみて感じたのは、私たち人間はもっと知識をつける必要があるということでした。
野良猫がどんな風に生きているのか、猫の保護はどうやるのか、保護活動はせずとも地域猫を正しい知識で見守る人が増えたら、そしてひとりでも多く同じ志を持った人が増えたらと思います。
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