愛犬との関係が大事 ドッグトレーナーが愛犬をドッグランへ連れて行かない理由
サーフィンやスケボーが得意な愛犬コーダと保護猫たちと暮らすドッグトレーナーの浅野さんから見た、犬や猫たちとの暮らしをつづります。
多くの飼い主がドッグランにモヤモヤ…
「ドッグランってどう思いますか?」と私のドッグスクールの生徒さんに、トレーナーとしての意見を聞かれることがよくあります。
ドッグランに連れて行く前に心構えが知りたいという方や、ドッグランに連れて行ったら少しモヤモヤする出来事が起こってしまったという方、そんな方々が「どう思いますか?」と質問されるのかなと思います。
そんなとき私は、飼い主さんにいくつか質問をします。
「ドッグランでの愛犬の様子はどうでしたか?」
「愛犬は他の犬とどんな風に関わっていましたか?」
「飼い主さんと愛犬とのコミュニケーションはその時どうでしたか?」
その答えには、以下のようなものがありました。
・地面のにおいをかいだり、飼い主のそばでじっとして動かない。
・他の犬が来ると避けたり、隠れたりする。
・他の犬と一緒に走って遊んでいたが途中から興奮してほえ出したのでやめさせた。
・他の犬がうちの犬にマウンティングしてきた。どうしたらいいかわからなかった。
・うちの犬が他の犬にマウンティングしたり、追いかけたりしてしまう。
・他の犬と仲良く遊んでいたのに、途中から入ってきた犬に追いかけられてかまれた。
・うちの犬が追いかけられているのに、相手の犬の飼い主はやめさせなかった。
・他の犬とけんかしそうになってハラハラした。
・他の犬のボールをくわえて離さなくなり、とりあげようとしたらかまれた。
・大興奮して走り回っていた。これでいいのだろうかと不安になった。
・おいで(呼び戻し)がまったくできない。
・他の飼い主の子供に追いかけまわされて、親が止めないので不満だった。
・いつものメンバーと違う犬が来た時、どんな犬かわからなくて緊張感が漂った。
皆さんのモヤモヤを集約すると、大体こんな感じなのです。
さらに私は、ドッグランになぜ行きたいのか尋ねると、「犬の友達を作ってあげたい」「走りまわって運動させたい」「他の犬に慣らしたい」といった答えが返ってきました。
皆さんの理想、ドッグランじゃなくてもかなえられますよ!
ドッグランへ行かない理由
飼い主の思う“ドッグランでの理想”がかなった犬は、ドッグランにいるときはうまくいっているかもしれません。ですが、犬の友達がいて、他の犬にも慣れており、ノーリードで他の犬と走り回っている犬は、じつは飼い主さんよりも犬に魅力を感じてしまうことがあります。
飼い主さんよりも他の犬と関わる方が魅力的だと、散歩で見たすべての犬に近寄りたがり、興奮したり、ドッグランではノーリードで自由に他の犬に近づけるのに、散歩中はリードにつながれていることでフラストレーションもたまるでしょう。
そんな状況下の犬は、名前を呼んでも振り向いてくれない、呼び戻しもできないし、リードも引っ張るしで、飼い主さんは大変な思いをしているのではないでしょうか。
結局、散歩は大変だからとドッグランへ連れて行き、愛犬とのコミュニケーションの機会は他の犬にお任せになってしまう……なんてことも。そしてドッグランには他の飼い主さんもいるので、人間同士のコミュニケーションが生まれます。この「犬は犬同士」「人間は人間同士」といったドッグランでの状況を、私は避けたいのです。
それは、飼い主が愛犬にとっての「一番の存在」でありたいし、そうあってほしいからです。愛犬にとって一番魅力のある存在になって、一番の友達で、一番一緒に運動をして、たとえ他の犬がいても飼い主がいれば不安や恐れを感じることがなく、平然としていられるようにサポートしたいのです。そういった信頼関係があってはじめて、ドッグランでも散歩中でも、どんな場所へ行っても犬は落ち着いて行動できるものなのです。
私自身はドッグランへ絶対に愛犬を連れて行かないわけではないのですが、わざわざ行こうとは思わないのにはそんな理由があります。
犬のサインに気づけるようになろう
とはいえ、「やっぱりドッグラン行きたいよ」という方におすすめしているのが、犬のストレスシグナルやボディーランゲージについて知っておくことです。犬が嫌がっているか、困っているかどうかを確認するひとつの指標として、知っておくといいと思います(初心者向けで私がおすすめしている書籍はこちら。
愛犬にストレスシグナルが現れている時は、いま置かれている環境を変えてあげるのが飼い主の役割です。モヤっとしたら直ちにリードをつけて、ドッグランから出ればいいと思いますよ。そしてモヤっとした原因が見えたり聞こえたりしない場所まで愛犬を連れて行き、リラックスした状態でいられることを助けてあげてください。
では、ドッグランに行かずにどうやって愛犬にとって1番魅力のある存在になれるのか?
どうやって愛犬を楽しませ、運動をさせられるのか。「スケボーやサーフィンなんて言われても困るよ? なんかないの?」という方にとてもオススメなドッグスポーツがあります。
どこでもできて、お金も必要なくて、どんな年齢でも犬種でも楽しめます。それを次回はお話ししたいと思います。
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