ドライブで犬はどこに乗せている? 後部座席にした私の場合とその理由
先代犬の富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らすライターの穴澤 賢さんが、犬との暮らしで悩んだ「しつけ」「いたずら」「コミュニケーション」など、実際の経験から学んできた“教訓”をお届けしていきます。
犬の車酔いに悩んだ日々
車酔いしない犬と、する犬がいる。前者が大吉で、後者が福助だ。車に乗せると、吐く。ちなみに先代犬の富士丸も車酔いするタイプだった。だからといって、車に乗るのが嫌いなわけではなく、ドアを開けると「やった! お出かけだ!」と喜んで飛び乗る。で、しばらくすると吐く。決まって「ングッ、ングッ」という前兆があり、その後に吐く。一度吐いたらスッキリするらしく、人間の船酔いのように何度も吐いてグロッキーになることはない。
当初はどうしたものかと思い、運転に気をつけ、発進もブレーキも遠心力もなるべく感じさせないよう注意した。もともと荒い方ではなかったが、彼を乗せるようになってからは常に温厚で譲りまくる仙人のような運転になった。そのせいかどうかは分からないが、富士丸も次第に車酔いしなくなっていった。
福助もまったく同じである。今でもたまに吐くことはあるが、ほとんど克服したようだ。犬の車酔いは「慣れ」も関係しているのだろう。でもなぜか大吉は子犬の頃から平気で、一度も吐いたことはなく、いつもキラキラした目で景色を眺めている。
犬の車酔いに悩んだ日々
さて、本題のドライブ中に犬をどこに乗せるかだが、色々なケースがあり、クレートに入れてカーゴスペースに乗せる人もいれば、ドライブボックスに入れる人もいる。ではわが家はどうしているかというと、後部座席にしている。シートから落ちないように「ドライブシート」を付けて、その上に長いクッションを敷き、そこに大吉と福助を乗せている。これが正解というわけでないが、これには私なりに理由がある。
まずカーゴスペースを避けるのは、こんな経験からだ。若い頃、仕事で同僚と三車線ある高速道路の一番左を走っているときのこと。それまで順調だったのに、あるところから渋滞していた。
速度を落としノロノロ運転していると、右隣で突然「ドッカーン!」とものすごい衝撃音がした。驚きながら見ると、横を走っていたセダンに後ろからトラックが追突していた。幸いセダンを運転していたご夫婦は無事そうだったが、トランクの部分が見事に潰れてぺしゃんこになっていた。
また別のある日、仕事で大阪の新御堂筋を走っていると、合流で渋滞していた。速度を落とした次の瞬間、衝撃と共に乗っていたバンのリアウインドが粉々に割れて車内に飛び散った。
このときは自分が運転していた車が後ろから追突されたのだ。断っておくが、急ブレーキをかけたわけではない。渋滞してるなぁと、徐々にブレーキを踏んで減速して止まったときだった。どちらのケースもそのことに後ろの車は気付いていなかった、ようするに前方不注意だ。
以上のような経験から、トランクやカーゴスペースは後ろから追突されたときに危険だと思っている。交通事故というのは、いくら注意していても避けられないことがある。だから私はカーゴスペースに犬を乗せない。
常に悪い方を想定する
私は自分の運転技術が優れているとは思っていない。むしろ下手だと思っている。反応が遅れて、何かに正面からぶつかってしまうこともあるかもしれない。
ちなみに、山の家がある八ヶ岳の原村あたりは鹿が道の真ん中にいる、なんてことはよくある。特に夜が多いが、なぜか道のど真ん中にたむろしていて車が近づいても逃げない。かと思えば、突然脇の林から飛び出して道を横切ることもある。恐ろしすぎる。
あの辺りの交通量はとても少なく、対向車とすれ違うことすらほとんどないときもあるほどだ。直線も多いから知らず知らずのうちにスピードを出してしまいがちだが、私は60キロ以上は出さない。いつどこで鹿が出てくるか分からないからだ。交通事故で鹿を殺したくないこともあるが、ぶつかったらこっちもきっとえらいことになる。
鹿に限らず、市街地でも何かに衝突することがあるかもしれない。自分に否があるないに関わらず、交通事故にあう確率はゼロではない。
だからもしものときに備えて、犬たちは常に車内でもハーネスにリードを装着して、ヘッドレストに付けている。多少自由に動けた方がいいだろうからガチガチに固定はしてないが、何かあったときに車外に放り出されないように。外の景色が見たい大吉のために窓は少し開けるが、体が出るほどは開けない。
助手席の窓から上半身を乗り出している犬や、運転席のひざの上に犬を乗せている人をたまに見かけるが、私は絶対にやらない。何かあったときに取り返しが付かないことになる可能性があるからだ。というように、私は運転についてはとても臆病だ。常にビビっているといっても過言ではない。妻が運転するときも「相手が止まってくれると思うな、出てくるかもしれないと常に疑え」と言っている。
ビビリすぎかもしれないが、運転はそれくらいの方がいいと思っている。よく考えると重たい鉄の塊の車が走るのは、かなり怖いことなのだ。だから細心の注意を払いながら犬とドライブする。

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