365日欠かさずウンチを拾う日々 妻のはできないが愛犬のは嫌だと感じない謎
先代犬の富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らすライターの穴澤 賢さんが、犬との暮らしで悩んだ「しつけ」「いたずら」「コミュニケーション」など、実際の経験から学んできた“教訓”をお届けしていきます。
そこにある境界線
365日、私は毎日欠かさずウンチを拾っている。こう書くと異様に感じるかもしれないが、大吉と福助のウンチ限定である。ウンチ袋を手にかぶせ、そのままつかんで拾う。犬(猫)と暮らしたことがない人は信じられないかもしれないが、犬飼いにとってはそれが日常なのでなんともない。ただそれも大福限定であり、他のウンチであれば、たとえ家族であってもやりたいとは思わない。なのに、大福のウンチに対しては嫌悪感すら抱かない。この境界線はすごいなと思う。
脱線するが、ゲロも同じである。猫ほどではないが、犬もたまに吐く。体調が悪いわけではなくても、黄色い胃液を吐いたりする。そして多くの犬は吐く前に、ウッ、ウッ、という前兆がある。大福がそうなった場合、フローロングなら吐くまで待つが、カーペットやラグの場合、スライディングして両手で受け止める(素手)。これが仮に妻だったとしたら絶対やらない。ここにも境界線がある。
ウンチに戻る。さすがに素手では拾わないが、いつも気にかけている。うちは家の中でも用を足せるようにトイレスペースを設置していたが、大福は頑として外でしかしない。
散歩は朝夕の2回なので、そのときにタイミングを合わせているらしい。なぜそんなに便意がコントロール出来るのか謎だが、決まって散歩のときにウンチをする。が、特に福助はしたそうで何度かウンチングスタイルになるのに、何がかしっくり来ないのか結局しないことがある。
そうすると、すごく気になる。それが朝であれば、次の夕方まで。夕方であれば、翌朝まで便意はあるのに我慢していることになる。自分に置き換えてみると耐えられないので、いったん大吉だけ家に置いて、福助だけもう一度散歩に連れていくこともある(それでもしないことがある)。
便で健康状態をチェック
さらに、便の状態も気になる。少しゆるいくらいならまだいいが、下痢が続いたりするとすごく心配になり、健康なウンチに戻ったときは「やった!」となる。
このように、ウンチを観察するのは大切なことだと思っている。なぜならウンチは健康のバロメーターだからだ。カイチュウ博士として知られ、共著も出させていただいたこともある故・藤田紘一郎教授もそう言っていたように、ウンチは腸内環境の状態が分かる貴重な情報源なのだ。しかも腸内環境は免疫力の約7割を担い(メンタルが3割)、さらに幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」などの物質の多くも腸内で作られるため、精神状態にも大きな影響を与えるといわれている(ヒトと犬は違う種だが、腸内環境が大切なことは同じ)。
だから、茶色でほどよい硬さで臭いが少ないウンチだと安心するし、黒っぽくて緩めだと食べた物やストレスがあったのかなど、原因を考える。そんなことは自分にもしないし、妻にも「今日のはどうだった?」なんて絶対聞かないのに。
こうして彼らのウンチを拾う日々が、少しでも長く続いてくれたらなと思っている。そして、一日も早く戦争が終わってくれることを願いながら、今日もウンチを拾っている。
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